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番組審議会だより
北海道テレビ放送では、番組審議会委員10名の方による放送番組審議会を設け、毎月1回(8月と12月を除く)審議会を開催して、放送番組の内容をはじめ、放送に関する全般的な問題についてご意見を伺い、番組制作の参考にさせていただいております。
番組審議会でのご意見は,番組モニターの方のご意見とともに、2ヶ月に一度第4日曜午前5:05から放送の「あなたとHTB」でもご紹介していますのでどうぞご覧ください。
第459回北海道テレビ放送番組審議会概要
日時
2013年11月28日(木)
15:00~17:15
審議テーマ
HTB開局45周年記念特別番組
TOYAから明日へ!「氷の島のメッセージ グリーンランド 温暖化の最前線から」
2013年11月4日(月)13:55~14:52
出席委員
内田和男 | 委員長 |
新谷朋子 | 副委員長 |
烏日娜 | 委員 |
真弓明彦 | 委員 |
作間豪昭 | 委員 |
閔 鎭京 | 委員 |
西川祥一 | 委員 |
渡辺淳也 | 委員(レポート) |
福津京子 | 委員 |
髙橋留智亜 | 委員 |
会社側出席者
代表取締役社長 | 樋泉 実 |
常務取締役 | 田中英也 |
取締役 | 林 亮一 |
役員待遇CSR広報室長 | 国本昌秀 |
報道情報局長 | 寺内達郎 |
編成局長 | 川筋雅文 |
CSR広報室部長 | 岡 仁子 |
番組担当プロデューサー | 濱中貴満 |
番組担当ディレクター | 金子 陽 |
番組審議会事務局長 | 四宮康雅 |
【会社報告】
- 10月25日、新藤総務大臣より再免許交付
- 詩集「サイロ」朗読活動が、第51回ギャラクシー賞報道活動部門入賞作品候補に選ばれた
- HTBスペシャルドラマ「幸せハッピー」がABU・アジア太平洋放送連合主催の国際番組コンクールのABU賞2013でテレビドラマ部門入選
- アナウンサーによる地域貢献活動「onちゃんお話し隊」、北海道大学附属病院の院内学級で実施
- 広報お客様センターマンスリーレポート2013年10月
【委員の意見要旨】
◇ここ数年は、札幌でも異常気象の影響が色濃く感じられるようになってきた。とてもタイムリーで多くの視聴者が興味を持つテーマである。
◇原田知世さんのナレーションは非常にやわらか心地よく、ともすれば恐ろしい未来を予感させるテーマを扱った番組の中に救いと温かい印象を与えていた。
◇おそらく普通の人は一生足を踏み入れることがないであろうグリーンランドの地、苛酷な環境下、長期にわたりきめ細やかな取材を敢行した力作、開局45周年記念特別番組に相応しい高いクオリティの作品。
◇優れた地元大学の研究者と研究内容に着目したことは、地域に根差した放送局の活動として非常に有意義である。また、世界が抱える共通の問題の中で、まだ扱われていない内容を取材したことは、グローバルメディアとして一歩踏み込んだと高く評価したい。
◇視聴者の心理を深く読み込んだ構成台本が素晴らしい。加えて目と耳で楽しめる要素を随所にちりばめたことが、作品を立体的に感じさせてくれた。透き通ったアイスブルー、輝く氷山や極地での美しい風景、氷が解けるときの音など、とても興味がそそられた。
◇見るものを引きこむ、美しく、迫力満点、そして貴重な映像と音をベースに、雄大で神秘的な自然を引き立たせる音楽、落ち着いたナレーションで、実に深みと安定感を感じさせる作品。加えて圧倒的な自然の力と、身を任せることしかできない現実、研究者が見つめる変化と住民が日々の生活からとらえる変化など交互に織り交ぜた、優れたシナリオ構成に感服した。
◇氷河の中で起きている動と静を対比的に見せることにより、自然の急激な変化を際立たせることが出来ている。池やブルーアイス、急流のように流れ出る水、早回しでとらえた氷河の崩落、白夜の太陽など、技術を駆使した映像と音声に見入ってしまった。
◇北大低温科学研究所の研究活動を縦軸に据え、グリーンランドに住む日本人の生活紹介や、日本に多く輸出されるエビ加工工場長のコメント、さらには漁業の変化は、北海道でも起きているといったエピソードが横軸として紹介されており、最後まで興味を持続させることができた。
◇北大研究チームに同行してグリーンランドで長期取材する姿勢は道民にとって親しみがあり、氷の島の今を報告する意味は大きい。また2008年、脱温暖化宣言をしたHTBの、地球環境を守るメディアとしてのメッセージは強く伝わった。
◇クリオコナイトの存在、氷の解ける音、水の小さな泡など、とても珍しく印象的なシーンが散りばめられている。きめ細やかで地道な研究に勤しむ研究者、そしてスタッフの方々の取材姿勢に敬意の念を持った。
◇北大チームの研究者は、穏やかに調査目的を語り粛々と研究に臨み、漁師の大島さんも、自然界で大変な現象が起きている内容を淡々とした口調で述べていた。取材陣が温暖化は恐ろしいのだと強迫的に伝えるのではなく、極力冷静に伝えようとするスマートさと新しさを感じた。
◇グリーンランドの氷床が1年で80㎝減少していること、日中は10度を超えるなど、北極だけでなく地球全体が変化していることに気づかされた。地球温暖化については、海の温暖化自体が大きな問題を生むことが理解できた。杉山さんのコメント、地図やCGを駆使した説明、顕微鏡の映像など大変わかりやすく、未来を担う子供たちへの教材としても十分に価値がある貴重な作品。
◇最もどきどきした映像は、池の中にカメラをいれて映したシーンである。視聴者の好奇心をくすぐりながらゆっくりと奥へ進む様は臨場感に溢れ、3Dメガネをかけて見たような迫力あるものだった。
◇北極全体の地図を最初に示し、グリーンランドに導いてほしかった。そのうえでヨーロッパ、アメリア、日本を俯瞰することができれば、視聴者の理解が一層深まった。
◇研究者は仮説を立てたうえで研究をすすめ、それが立証されてこそ、初めて事実に近づく。低温研研究者の「今の氷河の流れがこれかも続くのか、止まるのかが分からない。それを知りたい」との言葉はかならずしも地球温暖化ありきという前提でこれらの現象を捉えていないと感じた。
◇「TOYAから明日へ!」というHTBの脱温暖化キャンペーンについて、2008年にTOYAで何が起き何が始まったのか、世界語「TOYA」の持つ力など、コピーの意味合について示す必要があったのではないだろうか。
◇筋とお話しが入り乱れている、同じ登場人物が分割して出てくる、期待させるとこととその答えが離れているなどが、内容をわかりにくくしている。小見出しの活用、エピソードをまとめる、答えに入る前に繰り返して丁寧に説明など、工夫の余地があった。
◇北海道にとっての温暖化問題は、基幹産業である農業、漁業に大きな影響を与えるものである。今後も「TOYAから明日へ!」のメーンタイトルのもと、地球環境を考えるきっかけを視聴者に提示するような番組作りを希望したい。
◇北大チームの研究も含め、貴重な日本における北極圏研究について、北極圏で起きている変化が北海道や日本、アジアに与えるものは何か、今後ともHTBとして追跡取材し、脱温暖化キャンペーンの中核として、一層充実した番組発信に期待。
※次回の審議会は、2014年1月23日(木)です。