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番組審議会だより
北海道テレビ放送では、番組審議会委員10名の方による放送番組審議会を設け、毎月1回(8月と12月を除く)審議会を開催して、放送番組の内容をはじめ、放送に関する全般的な問題についてご意見を伺い、番組制作の参考にさせていただいております。
番組審議会でのご意見は,番組モニターの方のご意見とともに、2ヶ月に一度第4日曜午前5:05から放送の「あなたとHTB」でもご紹介していますのでどうぞご覧ください。
第474回北海道テレビ放送番組審議会概要
日時
2015年5月29日(木)
15:00~16:30

審議対象番組
HTBノンフィクション「道を創るのは・・・」
出席委員
平本健太 | 委員長 |
作間豪昭 | 副委員長 |
閔 鎭京 | 委員 |
渡辺淳也 | 委員 |
福津京子 | 委員 |
高橋留智亜 | 委員 |
森田良平 | 委員(レポート) |
古郡宏章 | 委員(レポート) |
遠藤香織 | 委員 |
喜多洋子 | 委員 |
会社側出席者
代表取締役社長 | 樋泉 実 |
常務取締役 | 田中英也 |
取締役 | 寺内達郎 |
役員待遇CSR広報室長 | 国本昌秀 |
編成局長 | 川筋雅文 |
報道情報局長 | 東 直樹 |
CSR広報室部長 | 岡 仁子 |
番組担当プロデューサー | 河野暁之 |
番組審議会事務局長 | 四宮康雅 |
【会社報告】
- 役員人事について
- 組織一部改編と人事異動について
- HTB詐欺撲滅キャンペーン「今そこにある詐欺」が第52回ギャラクシー賞報道活動部門入賞
【審議対象番組についての委員意見要旨】
【評価点】
◇冒頭からタイトル画面が出るまでの頭出しの部分はコンパクトに編集されていて、大変すっきりしていた。
◇開票直後に知事選を振り返り、迅速に報道するテレビならではのホットな速報性と継続的な取材に基づいて視聴者に考えさせる事実を積み重ねたドキュメントの両面を持つ充実した内容。候補者や両陣営関係者にかなり近づいて丁寧に取材していることがうかがわれ、折々の関係者の表情や肉声をよく捉えていた。
◇30分番組としてコンパクトにまとまっており、知事選とはこういうことだったのかと理解することができた。また、2人の候補者に対してどちらかに偏ることなく、フェアな編集であったと思う。
◇知事選は、北海道民気質は選挙で未来を変えることなどは無理なのかなど、もやもやとした後味の悪さが残るものだった。番組の後味も、同様であったが、番組を見終えて、制作者の意図はそこを考えてほしかったのではないかと気づいた。
◇総じて、番組の進め方も丁寧でわかりやすく、見ていても疲れなかった。内容も両極に偏ることなく、描写も淡々と事実を見詰め、2人がどのような選挙活動をしていたのかという点を忠実に映像化していた。
◇密着取材により、本人達の生の言葉をうまく反映していた。さらに、他者のコメントを挿入することにより、選挙において、政治家がどのように考え、行動しているかがしっかりと伝わってきた。過度のスキャンダル的な要素を前面に押し出す番組よりも好感が持て、人間の誠意やエネルギーを感じる取材だった。
◇「なぜ届かなかったのか」という言葉にぐっと引きつけられた。選挙の経過をわかりやすくまとめているだけでなく、表題にもあるように、道をつくるのは、政治家だけではなく、選んだ私たちにも責任があるのではないかという問いかけをしているところが素晴らしい。
◇投開票日の当日、当選確実が打たれたタイミングで、選挙戦を振り返るという意味で、意義のある番組であった。また、取材クルーが両候補を長期間にわたって丹念に追っていた成果も、例えば取材対象者の取材者に対する信頼感として、映像を通してあらわれていた。各候補者に対する視点や捉え方も公平であると感じた。
◇放送時間直前の両候補者の当落の様子までを編み込んで番組をつくり、深夜ではあるが、興奮冷めやらぬうちに放送したことに敬意を表したい。
◇全国的にも注目されていた道知事選の道のりを30分弱の枠にコンパクトにおさめたものを見ながら、そうだ、そういえばこういうことがあったとおさらいをすることができた。
【疑問点・改善点】
◇全体にそつなく流れに沿ってまとめられているが、日々、知事選の記事を紙面で発信していた同業の立場からは、目新しい内容は見受けられなかった。
◇番組では、40年ぶりの一騎打ちや前人未踏の4選が強調されていたが、現実にこれらが選挙戦の重要な論点になっていたのか、テーマとして有権者の関心の的になっていたのかといえば、個人的にはかなり疑問である。その意味で、報道する側の問題意識やフォーカスが有権者である道民のそれからずれていたということはないだろうか。
◇開票直後以外に番組の放送タイミングの選択肢はなかったのか。あるいは、スピーディーな報道よりも重視すべきものはなかったのか。せっかく1年間という時間をかけて取材されてきた材料が開票に合わせた深夜の一瞬で消費されてしまったのは、ちょっと惜しい気がした。
◇選挙に無関心な若者、投票に足を運ばなくなる選挙離れの危惧も、この番組のコンセプトの一部であれば、有権者の声をもっと取り上げてほしかった。この番組を見た後に、やはり選挙に行かなくてはと思う人は少ないと感じ、残念に思った。
◇両陣営のさまざまな局面を描く場面において、高橋知事の支持率や、選挙運動期間中における輿論調査での両候補の支持率がどのように推移したのかなどの客観的な統計も提示する必要があったのではないか。人気は高いなどというナレーションとともに映像を流すだけではほんの一部分を切り取っているだけにすぎず、単に客観的な根拠を持たない印象だけがひとり歩きするだけに感じた。
◇低迷する投票率、特に若年層における政治への無関心が取り沙汰される中、少しでも政治への関心を高める意味でも、自分たちの生活と選挙がいかにリンクしたものであるかを訴えるという手法もあったのはないか。
◇両陣営のマニフェストの比較が少し浅かったように感じた。原発、教育や人口流出防止策はもちろんのこと、道内の課題は道民が共有するものなので、さらに具体性を持った内容を報道してもよかった。
◇冒頭のインタビューで、道民の方々が「可もなく不可もなく、10年前と変わらない」という本質を貫く言葉を述べていた。なぜこんな貴重な有権者の声にフォーカスせず、一意見として扱ってしまったのか、もったいない気持ちで一杯。
◇佐藤氏が野党統一候補になっていくプロセスでの、民主党推薦に難色を示し続ける横路孝弘氏の言葉、共産党が支援表明した後の鈴木宗男氏の演説のあたりは、バタバタした人間ドラマとして見どころだったので、もう少し突っ込んで取材してほしかった。
【提言】
◇今後も、「政治は私たちの生活に密接していて大切なのだ」という意識を高めるような番組制作を希望する。
◇地方自治は民主主義の学校であるとも言われる。地域のテレビ局は、その学校で使われる使いやすい教材を提供するという立場として、有権者である国民、住民に対し、選挙の事前にも事後にも、十分な情報提供をなすことは、テレビ局の大事な役割だと考える。ぜひ、今後もその伝え方を工夫し続けていただきたい。
※次回の放送番組審議会は、2015年6月19日(金)です