now onair

NEXT

HTB 北海道テレビ放送 会社案内

TOP > HTBについて - 番組審議会だより

番組審議会だより


 北海道テレビ放送では、番組審議会委員10名の方による放送番組審議会を設け、毎月1回(8月と12月を除く)審議会を開催して、放送番組の内容をはじめ、放送に関する全般的な問題についてご意見を伺い、番組制作の参考にさせていただいております。
番組審議会でのご意見は,2ヶ月に一度第4日曜午前5:35から放送の「あなたとHTB」でもご紹介していますのでどうぞご覧ください。

第503回北海道テレビ放送番組審議会概要

日時

2018年4月27日(木)
15:00~17:00

画像
審議テーマ

テレメンタリ―2018「嘘塗りの骨~アイヌ人骨返還問題の悲痛~」

画像
出席委員
平本健太 委員長
斎藤 歩 副委員長
鳥居マグロンヌ 委員
深江園子 委員
稲井良介 委員
高橋多華夫 委員
佐賀のり子 委員
嶋田知紗 委員(レポート参加)
佐藤 敦 委員
会社側出席者
代表取締役社長 樋泉 実
常務取締役 國本昌秀
取締役 森山二朗
役員待遇コンテンツ事業室長 川筋雅文
報道情報局長 大羅富士夫
CSR広報室長 岡 仁子
編成局長 福屋 渉
番組担当プロデューサー 沼田博光
番組担当ディレクター 立田祥久
番組審議会事務局長 斎藤 龍

【会社報告】

  • 「カムイの鳥の軌跡~オオジシギ 2つの物語~」が第5回グリーンイメージ国際環境映像祭・審査員特別賞を受賞
  • 4月7日開催「HTBイチオシ!春まつり」約3万人がご来場
  • 放送番組の種別の公表制度に基づき、(2017年10月~2018年3月)の各第3週の個々の放送時間の種別、種別毎の放送時間等について報告した。

【審議番組についての委員意見要旨】

《評価点》

●アイヌの方々の人骨が、学術研究目的で掘り返されたこと、海外にまで持ち出されていたことを番組で初めて知った。このような事実を調べ伝えることは、マスメディアとしてとても意義深い。

●この地の放送局にしかできないテーマだったと思う。

●評価したのは、「差別」「強制的に奪われた」など、そのまま事実を伝えているということだ。その差別の歴史、及び現在を伝えることが重要だ。

●遺骨訴訟の詳細な経緯を知ることができ、また、アイヌ民族の部落それぞれの方の表情や言葉に触れられたことに満足した。

●アイヌの方々には、痛切なこの自分たちの問題を発信する場が不足している。番組で取り上げることによって、私たちも一緒に考える大切な機会を得た。

●過去の「強制不妊手術」、「ハンセン病隔離政策」と今回のテーマに共通するのは、過去のある時点では容認、推進されていた研究や政策が、今は明らかに人権上の問題があるということ。我々はそうした過去にどのように向き合うべきなのかという問題が浮かび上がってくる。

●アイヌ文化に敬意を払いながら、この問題においてアイヌをことらさらに社会的弱者としない姿勢があるように感じられ、共感を持った。

●現在行われている研究のずさんな一面を指摘する一方で、アイヌの中にも、科学的にルーツを解明し理解が広がることで差別がなくなっていくと考える人もいるという点をきちんと押さえて点がフェアでよい。

●アイヌ民族独特の死生観について、アイヌ語が流れ説明されていた。短い文だったが、アイヌ語の音の美しさなどが感じられた。

 

●アイヌの人々共通の祭りの作法と感じ方はわかりやすく、身近に感じることができた。想像力をもって隣人のことを知ることができるのは、映像の格別にパワフルなところだ。

●白老町にできる「民族共生のための象徴空間」に、全国の大学に残る遺骨を集めるという国の方針にアイヌの人々が強く反発する理由も腑に落ちた。

●自分の祖父の遺骨が、先祖が別の民族だからという理由で返してもらえない状況があったらと、わがこととして想像すると悲しく、アイヌの人々にとってとても大切な問題だとわかった。

●海外から日本について考えた場合、なかなかアイヌの話が出てこない。フランスでは、アイヌを研究する人が増え、漫画「ゴールデンカムイ」のフランス語版が出版されるようになったことで、ますますアイヌに関する知識や理解が増えている。

《改善点・要望点》

▲冒頭、インタビュアーが川村さんに質問し答えを得るが、相槌を打つのみだった。インタビューする側の準備不足、あるいは無知をさらけ出していて残念。

▲歴史的な内容や今ある他の問題についての内容が乏しく、人骨返還問題に特化したためか、全体としての内容は少しわかりにくかった。

▲タイトルから、北大が何か重大な嘘をついているのだろうと思って注意を払って見たが、最後まで「北大の嘘」が何なのか判然としなかった。

▲頭の骨をめぐるナレーションで「再鑑定した結果、記録と15ミリ違っていると担当者が言い出します」と言うが、「15ミリの違い」がどこの部分を指しているのかきちんとした説明がなく、消化不良の感が残る。

▲150年以降の人骨の持ち出しはダメで、江戸時代の人骨の研究は良い。札幌医科大学の江戸時代の根拠が無いという追求はあるが、なぜ江戸時代の人骨は良いのかの理由を明確にてほしかった。

▲アイヌ側に立っていることが明確すぎる形になっているように感じた。報道機関としてもう少し冷静な内容でもよかったのではないか。

▲遺骨の収集が適法に行われているのかの問題。許可を得た場合もあったということだが、誰のどのような許可を得たのかという点は番組ではわからない。

▲白老町の民族共生象徴空間の取り上げ方が中途半端だ。アイヌの文化や死者に対する考え方を大いに無視したものであり、是非が十分に問われるべきだ。

▲科学的ルーツを解明していくことは学術的に正しいと思うが、そこに差別という考え方をインタビューで入れることは、研究を否定的に捉えさせようという意図があるのではと穿った見方をしてしまう。

▲昭和の時代には、各地に、言葉にしないアイヌ差別があったこと、部落によって人々の習俗や意見心情が違うものだと言うことなど、こうした側面情報にも触れてほしかった。

《提言》

☆アイヌ文化は、魅力溢れる北海道にとって欠かせない要素だ。それが現代の搾取になるか否かは、まず知ることからだと思っているのでこうした番組に今後も期待する。

☆「カムイの鳥の軌跡」でもアイヌを取り上げたように、アイヌが北海道の社会の中で大事な存在だということを感じさせるこのような番組をこれからも作ってほしい。

※次回の放送番組審議会は5月24(木)開催予定です。