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番組審議会だより


 北海道テレビ放送では、番組審議会委員10名の方による放送番組審議会を設け、毎月1回(8月と12月を除く)審議会を開催して、放送番組の内容をはじめ、放送に関する全般的な問題についてご意見を伺い、番組制作の参考にさせていただいております。
番組審議会でのご意見は,2ヶ月に一度第4日曜午前5:35から放送の「あなたとHTB」でもご紹介していますのでどうぞご覧ください。

第536回北海道テレビ放送番組審議会概要

日時

2021年7月21日(水)15:00~16:30

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審議テーマ

「ジェンダー平等のためにテレビのできること」

出席委員
岡田美弥子 委員長
斎藤 歩 副委員長
貝澤珠美 委員
気賀沢祐介 委員
穴澤龍治 委員
森平和歌子 委員
桜木紫乃 委員
及川華恵 委員
会社側出席者
代表取締役社長 寺内達郎
常務取締役 森山二朗
報道情報局長 伊藤伸太郎
編成局長 橋本秀利
番組審議会事務局長 斎藤 龍
番組審議会事務局 佐藤浩章

【審議テーマについての委員意見要旨】

≪ジェンダー平等の認識≫

●「平等」を考えることで、何も言えなくなったり、何もできなくなったりすることがある。この問題を口にするときに、曖昧な「平等」というものを論じるのではなく、「不平等から生じる不利益や不都合」をきちんと表して、一般論で語るのではなく、個別具体的に語らなければならないのではないかと感じている。

●量の平等と質の平等、機会の平等と結果の平等、言い換えるとスタートの平等とゴールの平等など、平等を考える視点は複数ある。ジェンダー平等について考えるには、機会の平等と結果の平等に分けて検討する必要がありそうだ。

≪「報道ステーション」のWeb CMに関して≫

●何度か繰り返し見たが、何が言いたいのかがよく分からなかった。ジェンダー平等以前の問題として、良くも悪くも、もっとストレートに伝わらないとCMとしては意味がないのではないだろうか。

●ネットでの批判を受けてCMが削除されたことで、テレビ朝日のテレビ局としてのアイデンティティはどうなっているのかという疑問を抱いた。テレビには、ネットの声に過敏に反応することなく、ジェンダー平等に悩み、答えを見いだそうと考えている視聴者に対して、考える材料となる情報を発信し続けてほしい。

●報道ステーションのCMはある意味、わざと波風を立てたのだと思っていた。報道ステーションが、その責任所在を明確にして、議論する場を作ったのだとばかり思っていたのに、そうではなかったようで、驚いた。あのことで、この問題を避けるようになることが最も危険なのではないか。

≪アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)に関して≫

●五輪組織委員会の森喜朗会長の発言は、問題の所在が明らかなので、メディアとしても取り上げやすく批判しやすい。しかし、ジェンダー平等の社会を作っていく上でより必要なのは、悪意のない、潜在的な意識から出る偏見をどのように変えていくのかではないだろうか。

●潜在的な意識を変えていく、真の平等を実現するのは、非常に難しいことである。抽象論にとどまるのではなく、具体的な出来事を取り上げて、様々な視点から議論する。不平等により不利益を被っている人を救う、そのような状態をなくしていくということが必要ではないかと思う。

≪番組における 先入観や偏り出演者の男女のバランス等について≫

●「女性はこうあるべきだ」とは、テレビだけの影響ではない。インターネットでも様々な情報だらけ、それが良いものなのか悪いものなのか、これを我々は必死に判断していかなくてはいけない。では、せめてテレビの情報は信じたいと思う。

●出演者の男女比は、あまり問題ではなくて。誰が本音で正直な意見を言うのかを考えると、役割分担を考えた段階で、ジェンダー問題に触れそうな気がする。敵を作らずにものが言えるのは、性別をあいまいにしている人で、そこにバラエティー要素を入れたのがニューハーフ全盛期だったと思う。彼女たちがすべて本音だったかどうか、テレビはそろそろ答えを出してもいいのでは。

●新たな役員を選ぶ際には女性をとか、執行部における女性会員の割合を何割にするなど順位が高い、割合が高いことがこの問題を理解していることに直結するような考え方になってはいけないと思う。割合を目的として掲げてしまうと、一部の女性に負担をかけることにもなったり、逆に、男性の機会を奪うことにもなりかねないように思う。

≪ジェンダー平等の推進に向けどのようなコンテンツが必要か≫

●一見すると、リアルな世界を相手にするニュースやドキュメンタリーよりも、バーチャルでクリエーティブな分野の方が潜在意識を投影しやすいように思うが、潜在的な意識は報道の何げない現場の中にもあるように思う。

●身体をこうすると美しい。こうすると格好良い。モテる。を表現するCMやドラマや映画を無くす。まず無理だとは思うが、減らすことは出来るかもしれない。

●ジェンダー問題に欠けているのは、男の視点、あるいは本音だと思っている。いいも悪いも、建前ではなく、本音を言える男性が出てきて欲しい。男社会とひとくくりにしないで、「俺たちもいろいろあります」というところを見せてほしいと思う。

●「男らしいこと」「女らしいこと」というのは、男女の違いというよりは、個人の性格の違いというところなのだろう。男でも「女の仕事」が、女でも「男の仕事」が出来ることを広く伝えることがテレビには出来ると思う。

●「ドラマ、アニメなどで間接的に表現する」「アナウンサー、コメンテーターなどに女性やトランスジェンダーの方を積極的に登用する」「役員の女性比率を高める」以上が、私の考える「真の男女平等社会を実現」する為にテレビができることだと考える。

≪テレビ局としての姿勢・体制はどうあるべきか≫

●2021年「女性が活躍する会社」ランキング1~20位にもメディア関連会社がはいっていないことも正直驚きを隠せない。まずはここから取り組むことで、様々な手法で報道する際に説得力が出るのではないか。

●テレビ局が、はっきりと「うちの局はこういう考え方です」と言ったケースはない気がする。問題は、ジェンダーよりも責任を取る人の不在にあると思う。そのくらい、デリケートな問題にしてしまったのも、メディアだと思う。

●多様な感じ方や考え方を持つ複数の人たちが共存する社会全体に降り注ぐメディアであるテレビには、多少乱暴であっても、問題提起を続けて欲しい、恐れずにやり続けていただきたい。

●感覚、常識は時が経つにつれて変わっていくだろうが、今現在のジェンダー差別の実態がどうなのか、その何が問題なのか、社会はジェンダーについてどの方向を目指しているのかなどの問題を番組制作者のみならず、テレビ局の全社員、番組の全ての出演者も身につけておく必要がある。

●弱い立場にある人の存在を世の中に知ってもらう必要があるのは理解できるが、クローズアップしすぎることで、弱者が自分たちの置かれた立場を必要以上に意識したり、弱者以外の人たちが反感を持つようになったりして、かえって差別や偏見につながる場合があると感じている。

≪自己体験≫

●精神科医として、30年ほど前の駆け出しの頃から精神障害者に対する社会の態度には憤りを感じることが多かったが、だいぶましになったと思う。精神障害は誰にでも起こりうるもので、特殊な人がかかるものではないと、マスコミが継続的に取り上げてくれたのが大きかった。マスコミが障害者に寄り添う姿勢を続けることにより、差別や偏見の緩和が進んだのは事実である。

次回の放送番組審議会は9月22日(水)開催予定です。

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