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番組審議会だより
北海道テレビ放送では、番組審議会委員9名の方による放送番組審議会を設け、毎月1回(8月と12月を除く)審議会を開催して、放送番組の内容をはじめ、放送に関する全般的な問題についてご意見を伺い、番組制作の参考にさせていただいております。
番組審議会でのご意見は、2ヶ月に一度第4日曜午前5:40から放送の「あなたとHTB」でもご紹介していますのでどうぞご覧ください。
第547回北海道テレビ放送番組審議会概要
日時
2022年9月22日(木)15:00~17:00
審議テーマ
出席委員
岡田美弥子 | 委員長 |
斎藤 歩 | 副委員長(レポート参加) |
穴澤龍治 | 委員 |
森平和歌子 | 委員(レポート参加) |
桜木紫乃 | 委員 |
及川華恵 | 委員 |
鍋島芳弘 | 委員 |
田村ジャニーン | 委員 |
樋口 太 | 委員(レポート参加) |
会社側出席者
代表取締役社長 | 寺内達郎 |
取締役 | 佐古浩敏 |
報道情報局長 | 伊藤伸太郎 |
編成局長 | 橋本秀利 |
報道部長 | 後藤雄也 |
番組担当プロデューサー | 濱中貴満 |
番組担当ディレクター | 井元小雪 |
番組審議会事務局長 | 渡辺 学 |
編成局付局長兼番組審議会事務局 | 佐藤浩章 |
【審議対象番組についての委員意見要旨】
≪評価点≫
・全体的にシンプルなストーリーで、わかりやすく問題意識を伝えながらも、暗くなりすぎることなく、前向きなトーンでまとめられていた。視聴者に対して問題意識、制作意図をよく伝えられていた。
・放送時間以上に見応えのある作品だった。高齢で働けず、日本語が話せない降籏さんと、英語を使って仕事やコミュニケーションができる若いガサノヴァ・エスミラさん。状況が大きく異なる ふたりに焦点を当てたことで、避難した人たちが抱える多様な問題を伝えられたからだと感じる。
・日本の難民、避難民に対する対応を改めて考えさせられる番組だった。政府がウクライナからの避難民を積極的に受け入れるとしながらも、国による支援が非常に不足しているという現状を知ることができた。
・タイトルの文字のところどころにある「かすれ」が、戦争のイメージを表していたと感じた。またウクライナの国旗の色を忍ばせていて、工夫がにじんでいた。
・2度にわたって戦火を逃れた降籏さんの表情が番組のなかで変化し、30分弱の短い中でも伝わった。30分番組で「ずいぶん長いものを見た」という気持ちになるときは、言いたいことが過不足なく盛り込まれている気がする。そういう点で、今回の番組は、とてもまとまっていたと思う。
・丹念に降籏さんを追った映像から伝わることは多く、これまでの苦労、新しい人生への希望が感じられた。例えば、公営住宅で照明をつけ、自分のベッドに笑顔をみせ、湯沸かし器からお湯を出す時の表情。その後のインタビューでの少し高揚したような話し方。まさに戦火を逃れ、日常生活を取り戻そうとしていることへの安堵感が伝わってきた。
・出入国在留管理庁の取材拒否の理由を明示したことも、その不十分さをうまく象徴させた。「ネガティブに捉えられる可能性があるのでインタビュー取材はお受けすることができません」と引き出し、名城大学・近藤教授のコメントで、情報開示に 及び腰な姿勢を浮き彫りにしたことは価値がある。
・世の中には理不尽なことが数多くある、その最たるものが戦争。そこから逃れてきた人たちの苦労や不安、周囲の人たち、公的機関、企業などの物心両面に対する支援の様子など、われわれの知りたいことが 描かれた番組だと思う。
・サハリンに残留日本人がいたことや、ウクライナからの避難民の方々についてほとんど知らなかったが、この番組がきっかけで、日本サハリン協会がなぜここまで熱い思いで活動するのか気になって調べたり、難民や避難民の支援が個人レベルでもできることがわかった。
・ウクライナのニュースは、2月から連日のように触れ人々の過酷な状況は知っているつもりだったが、特定の人に焦点を当てた 今回のような番組は、ニュースでは伝えきれない実態を通じて、われわれに多くのことを考えさせてくれるのだと実感した。
≪要望点・改善点≫
・物足りなさを感じている。番組は、日本サハリン協会の斎藤弘美さんが訴えている「日本に来た後の生活支援の方が大切だ」というアピールを軸に構成されていたと思うが、「情緒」に訴えることには成功しているものの、具体的な材料・事実に乏しい。
・降籏さん一家の強制就労、妻と一人息子を事故で失うことになった経緯について紹介してほしかった。それによって降籏さんの人物像が さらにリアルになり、避難民一人一人にそれぞれの人生があることが実感をもって伝わり、視聴者が、受け入れや支援について考えることにつながったのではないか。
・降籏さんを「不幸な人」というような伝え方をしていた点が気になった。降籏さんが常に前向きな言葉と感謝の気持ちを柔和な表情で語っていたのが印象的だったが、ナレーションや映り方が 憐れみを強調しているように感じた。多くの人々にウクライナからの避難民に関する問題提起をしたかったのは理解できるが、バランスが少し悪かった。
・ウクライナから避難してきたガサノヴァ・エスミラさんのパートは、中途半端な取り上げ方に感じた。徹底的に降籏さんにこだわり、さらに深掘りするほうが自然に思えた。
・出入国在留管理庁が「ネガティブなイメージを持たれる」として、取材拒否した点を深掘りしてほしかった。ただ不親切だという、ぼんやりとした印象しか残らない。なぜこのケースで そう言うのか解説が欲しい。
・ナレーションの「運命のいたずら」という言葉を安易に使うのはどうかと思う。なぜなら、そのひとことですべてが片付いてしまうから。便利な言葉はその場で完結するため、考えさせないし残らない。一石を投じる先がどこなのか。石を投げた先にあるものを、ただ安心させてしまう危険を感じた。
・番組では、政府のサポートが十分でないことを、実際に支援の手を差しのべているNPOなどの方々が やんわりと指摘していたが、もう少し具体的かつ厳しい批判があっても良かった。
≪提言≫
・ナレーション、音響、テロップに過剰感がなかったことに好感を持った。全体として、良質な丁寧な作りのドキュメンタリーに仕上がっており、こうした骨太の企画は、ぜひともこれからも力を入れ続けてもらいたい。
・続編を制作するなら、もっと入管法についての説明や新しく設置した支援団体の紹介を見たいと思う。
◆放送番組基準の変更について
・「民放連 放送基準」が一部改正されるのに伴い、HTB放送番組基準の変更が諮問され、「妥当である」との答申があった。
次回の放送番組審議会は10月18日(水)開催予定です。