2023年3月25日(土)放送
食のチカラ・特別編 小樽でコンブの今を学ぶ
「食のチカラ」です。
みなさん、突然ですが、出汁を取ったり食べたりしているコンブ、
世界で20種類ほどあるんですが、北海道には14種類も生息しているんです。
そのコンブの漁獲量が著しい勢いで減ってきているんです。
今回は、コンブの研究をしている北海道大学の施設に
『超楽はやクッキング』に出演の木村愛里さんと二組の親子が
コンブのいまを探りに行ってくれました。
北海道大学忍路(おしょろ)臨海実験所は、1908年(明治41)に日本で2番目の臨海施設として設置されました。
様々な海の生物の観察や調査、実験を行い日本の海洋生物の研究をリードしてきました。
特に近年は、海洋生態系の中で重要な役割を果たし日本の食文化を支える「コンブ」について研究しています。
先生は四ツ倉典滋(よつくらのりしげ)さんです。30年以上もの間、昆布の研究をしています。
みんな、しっかりと準備をして海に入ります。
四ツ倉先生「ここは、一年を通して百種類ぐらいの海藻が生えています」
北海道の多様な昆布の起源は、ロシア極東域。
北海道の誕生とともに連れて来られて広がったと考えられています。
これらの昆布は冷たくて栄養豊富な海で生きるのが得意です。
北海道を囲む海には暖流と寒流が流れています。その海流に変化が起きているのです。
四ツ倉先生「暖かい水の流れがどんどん強くなってる。水温が高くなって栄養が少ない暖流の影響が、
どんどん強くなってくると昆布にとってはかなり厳しい」
海の授業の最後は、標本を作るためにお気に入りの海藻を集めます。
四ツ倉先生が昆布の胞子を育成したものを見せてくれました。
四ツ倉先生「海で取ったコンブとは全然違う姿だよね。これも立派なコンブ、糸状の細胞があって小さいのがオス、大きいのがメス」
目の前に広がる海に昆布の森を作ろうと昆布オスとメスを種苗として海中に撒くための準備をします。
顕微鏡で見た昆布を細かく切って粘性の高い液体に入れ、よく混ぜ別の液体に落としてイクラのような状態にします。「
愛里「これだけやって一個うまくいけばいいかなという確率ですよね」
四ツ倉先生「でも一個できれば無数の胞子がでるんです。一個でも葉っぱができれば次につながる」
先ほど海で採取した海藻で標本作りです。真剣なまなざしが、海藻に注がれます。
きょうの思い出が、形として残ります。
四ツ倉先生「短い時間だったけどいろんなことを経験したと思うけど、
この経験したことをみんなに伝えていってあげて昆布ってこうなんだよ、大変なんだよ、守っていかなきゃならないんだよ、
昆布って種類によって味が違うんだよ。多くの人に北海道の昆布、日本の昆布を伝えていってもらいたい。
環境もぜひ守っていきましょう。自分たちのできることは、いっぱいある。できることをやっていきましょう」
四ツ倉先生によると
分かりずらいけど海の生物は、環境の変化にとても敏感で
水温が1度違うだけでコンブの森の様子は全然違うんだそうです。
コンブがないとほかの魚介類も育たない、漁業にも影響が出ます。
地域の産業を支えるという意味でも環境問題に取り組んでいかなければならないということでした。
そして、1分でも2分でも実際の様子を見て感じ取ってもらう、
今回のような取り組みを今後も続けていきたいと話していました