4月で就任から1年が経った函館市の大泉市長。
新幹線の函館駅の乗り入れなど目玉政策の今とこの1年の評価に迫ります。

4月、サクラの見ごろを迎えた函館公園を訪れた函館市の大泉潤市長。
大泉市長）「こんにちは。どうもお疲れ様です」

集まった市民に声をかけられたり、写真を撮られたり就任から1年経ったいまもその人気は衰えることはありません。

2023年の選挙・第一声「もう函館は変わらない、閉塞する時代は終わらない。大丈夫です、リーダーが変われば、街が変わります」

＜進化する函館＞をスローガンに掲げ、急速な人口減少に対する危機感を訴えた2023年4月の選挙戦。市民の閉塞感を味方につけたほか、俳優の大泉洋さんの兄という知名度を生かして、9万8174票を獲得。
現職におよそ7万5000票の大差をつけて勝利しました。

大泉市長がこの1年、先頭に立って進めてきた政策があります。
「新幹線の函館駅乗り入れ」です。
坂詰怜記者「函館の最寄りの新幹線の駅、新函館北斗駅です。ここから函館まではあちらに止まっている在来線に乗り換えて、20分ほど乗る必要があります」

本州から伸びる新幹線は函館市の隣＝北斗市にある新函館北斗駅が終点です。
現在行われている延伸工事では新函館北斗駅から函館市を通らずに札幌に向かう計画です。
大泉市長は新函館北斗駅から函館駅までのおよそ18キロに新幹線を走らせる計画を打ち出したのです。

その最大の理由は「経済活性化の起爆剤」にするためです。
函館市の人口は年々減り続け1984年のピーク時に32万人だった人口は24万人となりました。

先月、「人口戦略会議」がまとめた報告書でも函館市は人口が減少し将来的に消滅する可能性が指摘されました。

大泉市長「新幹線の函館乗り入れ自体は手段でしかなくて何かのゴールではない」「起爆剤になりうるものはこれに限らず追求していかなければ人口減少を少しでも食い止めることは本当に難しいことだと思っています。」

函館市はこの新幹線乗り入れについて「技術的に可能」と結論付ける調査結果を3月に公表。
線路の工事や駅の改修などおよそ160億円で整備できるとしています。
ところが、実現に向けて協力が不可欠なJR北海道が難色を示しました。

JR北海道・綿貫泰之社長「承知の通り厳しい経営なので新たな赤字、負担を我々が負うことはできないと考えている」「車両の負担をどうするのかとかですね、営業主体がどうなっていくかというところを、これがはっきりしない限りは乗り入れが可能とは思わないです。」

JR北海道は、新函館北斗駅と函館駅間の交通網ついて2016年の新幹線開業時に快速電車を走らせたことですでに「結論が出ている」との立場を示しました。

大泉市長「全否定とか、否定的な印象を僕は持っているわけではないです。楽観的な人間って言われたらそれまでかもしれないですけど」

まず函館乗り入れについて足元を固めたい大泉市長は、先月、市議会各会派の代表者が集まる会議に自ら出席し、これまでの経過を説明しました。

大泉市長「調査結果を踏まえて、市として実現に向けて検討していくということをお話をしました」
函館市議会・吉田崇仁議長「乗り入れはほしいねという考えは圧倒的に多いですね、函館駅にいらないという人はいないですよ」「蜃気楼のような雲をつかむような状況じゃないですかね」

市は札幌延伸と同時期での開業を目指し、周辺自治体や国などに協力や理解を求めていく考えです。新幹線が注目されがちな大泉市政ですが、今年度からある政策が動き出しました。

大泉市長「うまい！好きなんだ俺これ」「もう一口いっちゃいますから！うまくいかないね（笑）」

去年12月、函館市の公式YouTubeにアップされた動画。
イカ刺しやスイーツなどふるさと納税の返礼品を市長自ら試食する動画を公開しました。
背景には市長が公約に掲げる「4年間でふるさと納税100億円」があります。
函館市のふるさと納税の寄付額は右肩上がりで伸びているものの、昨年度は15億円ほどにとどまっています。

大泉市長「令和6年度はふるさと納税の函館のふるさと納税の元年といっても、いいんじゃないかなと思っています。」

3月には市内の返礼品に興味を持つ事業者などを対象に勉強会を実施。
ふるさと納税増額に向けて、返礼品の充実を訴えました。

今年度からは寄付額が160億円を超える道東・白糠町など、全国でも寄付額上位の自治体が業務委託をしている民間業者と連携し、収入拡大を目指します。
勉強会に参加した創業40年余りの誉食品は、従業員30人ほどと中規模の水産加工会社です。

誉食品・寺沢浩営業部長「誉食品ってどうゆうもの作ってるんだろうって全国にもアピールできるいい機会なので、ぜひ参加させてもらおうかと思いました」市が寄付額を100億円にすると目標を立てたことで、チャンスを感じ、参入を決めました。

誉食品・寺沢浩営業部長「なかなか経済が苦しい中でいろいろ売っていくと、いいものは認められるし、函館市の財産になると思いますので」

この1年、大きな失策がないように見える大泉市政。
市長の周辺はこの1年間をどのように見ているのでしょうか選挙で大泉市長を支援した、老舗レストラン＝五島軒の若山豪社長に聞きました。

五島軒・若山豪社長「現状、私は70点だと思っていて」「組織改革とかですとか、大泉さんがやりたいところに予算を出していくですとか、そういったところが2年目から問われてくると思うので「そこに手を付けていったら100点が見えてくるのかなと思います」「勇気をもって改革をやっていってもらいたいと思います。そうじゃないと、町全体が生き残れませんので」

市民の大きな期待を背負ってリーダーの座についた大泉市長。
目玉政策の実現に向けて動き出す中、2年目は正念場を迎えそうです。

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