日本の“海外”ニセコのド派手な年越し 驚きのバイト事情 東京より時給高い!? 若者は何を求めてここへ?
2025年 1月 9日 20:33 掲載
元日の北海道神宮。しんしんと雪が降る中、多くの参拝客が新しい年への願いを込めて手を合わせていました。
一方、こちらは…。
「5,4,3,2,1…ハッピーニューイヤー!」

外国人客でにぎわうニセコの年越し。ド派手な音楽に、華々しいカウントダウン。まるで別世界です。
記者:「楽しいですか?」
男性:「めっちゃ、楽しいです」。
ニセコの1年で最も忙しい年越しを、アルバイトスタッフとして初めて経験する若者に密着しました。

この冬、東京からアルバイトとしてやって来た、土屋進之介さん(24)。ニセコエリアの倶安町にある飲食店で、11月から4月上旬までバーテンダーとして働きます。この店のアルバイトの時給は、1400円以上。土屋さんのように英語が話せるスタッフは、時給が上乗せされます。東京で働いていた店よりも待遇は良いそうです。
ステーキ&バーガー魂・土屋進之介さん(24):
「(実家がある札幌で)よく行っていたバーが、今働いているところの系列というか、札幌支店だったので。そこで『ニセコっていう楽しいところあるよ。英語も結構使えるよ。時給も高いよ』みたいなことを言われて、それで行きたくなって来ました」。

ホテルのフロントが、時給1550円以上。レストランのホールスタッフが、時給1600円以上に加えてチップもあり。こちらのキッチンスタッフは、時給1500円で毎月ボーナスあり。さらに、スキー券12万円支給。これら全て、ニセコエリアの冬季限定の求人情報です。
ニセコプロモーションボード・藤原花音さん:
「季節雇用の働き手に関しては、時給の高さを目当てで来られる方も多い。ホテルやコンドミニアムの清掃業の時給は2000円を超えるところが多いので、そこの時給は特に影響が出ているところかなと思います」。
求人情報のビッグデータを分析・提供する会社「フロッグ」によりますと、ニセコエリアの
アルバイトの平均時給は1308円。札幌の1170円と比べても高い水準です。

スキー場は、職場からも寮からも歩いて行ける距離。この日は、仕事の前におよそ3時間、スノーボードを楽しみました。ニセコで知り合った同世代の友達と一緒です。2人も、冬季限定のアルバイト。
東京から(25):「ほかの国の人といっぱい会えるので、それで会話したりとかしてとても楽しいです」。
オーストラリアから(22):「オーストラリアから来たので、ずっと日本に住みたいと思っていたから、(オーストラリアの)大学が終わった時にニセコで働いて、毎日スキーしたいと思って」。
幼少期をニセコで過ごした土屋さん。身近に外国人がいたこともあり、海外で働くことに憧れるようになったと言います。
土屋進之介さん(24):「このまま日本で大学出て、そのまま会社入ってもつまらないのかなって思って。じゃあ一回、10代のうちに遊びに行くわけじゃないですけれど、自分の知らない土地に行った方が、自分のためになるんじゃないかなって」。

高校卒業後はオーストラリアへ。およそ3年間、シドニーの飲食店で働きながら、英語を身につけました。将来の目標はまだ定まっていませんが、「英語を使った仕事をしたい」と、自由な働き方を選択しました。
土屋進之介さん(24):「海外の人は、すぐキャリアアップとか転職して、自分に合う場所を探しているイメージがあったので、そっちがいいなって思って行きました」。
1年で一番忙しい年越し。先輩からは、身動きが取れなくなるほど、混み合うと聞いていました。勤務は、元日の午前2時まで。長い1日が始まります。

記者:「いよいよ大みそかのカウントダウンイベントですが?」
土屋進之介さん(24): 「いやあ来ちゃいましたね。話でしか聞いていないんで、まだ想像つかないんですけれど、まあ楽しく年を越そうかなと思います」。
日中は、普段と変わらない様子で過ぎていきました。
土屋さん:「このテーブルを動かします」。
客:「これは?」
土屋さん:「全部です!きょうはお店にあるすべてのテーブルを向こうに動かします」。
午後10時からのカウントダウンイベントに向けて、店には次から次に人が訪れ、徐々に忙しくなってきました。イベントが始まる頃には、このにぎわい。すると、ちょっとしたハプニングが。
土屋進之介さん(24):「やばい。氷がちょっと…、足りないですね」。
店の氷が足りなくなり、土屋さんが系列の飲食店に分けてもらいに行くことに。結局、一晩で4往復もしました。

「5,4,3,2,1…ハッピーニューイヤー!」
記者:「年越しはどうでしたか?」
土屋進之介さん(24):「まぁ、楽しいですね!」
来シーズンも、またニセコで働きたいという土屋さん。「もっと大きなイベントを開きたい」という、新たな目標もできました。

外国人観光客でにぎわい、好景気に沸くニセコ。ただ、そこで働く若者にとっては、収入だけではない魅力があると土屋さんは話します。
土屋進之介さん(24):
「ニセコとかリゾートバイトだったら、自分の知らない土地に自分で行ってその土地で新しい友達を作れたり、知らない土地で自分の知らなかったものを見れたりするので、そういうのがいいのかなって思います」。