札幌のシンボルとも言えるこのタワー「さっぽろテレビ塔」が3月１３日に正式に国の登録有形文化財になりました。いったいどこが評価されたのでしょうか。その魅力を探りました。

《１９５７年開業》
さっぽろテレビ塔はテレビの電波を送信する「電波塔」としてまずアンテナ部分が作られ、１９５７年（昭和３２年）８月に展望台が完成し、観光拠点として開業しました。設計は、大阪の通天閣や東京タワーを手がけた「塔博士」こと建築家の内藤多仲。いまのテレビ塔の顔とも言える「時計」がついたのは開業からさらに４年後の１９６１年になってからでした。開業当初にはプラネタリウムがあり大人気でしたが、開業５年後の１９６２年１０月に泥棒に入られ機械をこわされて廃止になりました。
周りの建て物が高層化するにつれて、電波塔としての役割はなくなりましたが、札幌市のランドマークとしてたくさんのイベントが行われています。過去には夏休みの小学生による「エレベーターガール体験」や、最新技術を使った音と光のショー、開業６０周年を記念して地上２７ｍから飛び降りる「テレビ塔ダイブ」も行われました。「令和」が始まる瞬間は多くの人がテレビ塔の時計と共に新たな節目を迎えました。一方、コロナ禍では自粛でその明かりが消えたこともありました。札幌の変わりゆく景色を見守り続けて来たさっぽろテレビ塔は、今年６８年目を迎えようとしています。

《お色直しと色鮮やかなイルミネーション》
これまでに塗装の塗り替えは８回。最初はシルバーだったそうですが、汚れやすかったり、周囲の景色とのバランスでリニューアルしてきました。２００６年に多機能イルミネーションが完成し、季節やイベントに合わせて約２０ものパターンで彩ります。点灯時間は毎日午後５時半から午前０時まで。その日、どんなパターンなのかはホームページで確認できます。

《展望台からの絶景》
さて、さっぽろテレビ塔の展望台へ行くには１階からエレベーターで３階へ向かいます。ここでチケットを買います。入場料は大人１０００円。ここから直通エレベーターで空中散歩に出発です。３階から展望台までおよそ６７ｍを１分で昇ります。エレベーターを降りてまず正面に見えるのが創成川イースト地区です。地上からおよそ９０ｍ。札幌の街並みが一望できます。少し北側にはＨＴＢの入るさっぽろ創世スクエアとたくさんのタワーマンションが見えます。西側は雪解けの進む大通公園と市街中心部。そこには再開発で変わりゆくいまの札幌の姿がありました。
■菊池遼太さん「さっぽろテレビ塔にですね『登録有形文化財』という歴史的で文化的な付加価値をつけて、みなさんからまた愛されるタワーであり続けたいと思っています。札幌市民の方にも展望台にたくさん来ていただきたいと思っております」

《２階は穴場？》
展望台にはマスコットのテレビ父さんの神社やお土産コーナーがあり、訪れるのは観光客が大半ですが、実は札幌市民に人気の場所もあるんです。地下にあるのはテレ地下グルメコートという飲食店街。連日ランチタイムはサラリーマンでとってもにぎわいます。現在８軒の飲食店が入るテレビ塔の地下には、開業当時お土産店や美容室のほかなんと映画館があり１９７１年まで営業していました。
穴場と言えるのが２階です。貸し会議室やホールがありパーティーもできます。ホールの予約がない日は「ワンコイン自習室」として２時間５００円で開放しています。冷暖房とＷｉＦｉ完備です。

《国の有形文化財とは》
「有形文化財」ですが、国が決めるものには「国宝」「重要文化財」「登録有形文化財」の３つがあります。「国宝」と「重要文化財」は国からの強い保護の対象となります。札幌市には国宝はありません。札幌の「重要文化財」は札幌市時計台（旧札幌農学校演武場）・道庁赤れんが庁舎（北海道庁旧本庁舎）・豊平館など１７件です。
「国の登録有形文化財」はそれにつぐちょっとゆるやかな保護の対象です。建設から５０年以上が経過した貴重な建造物で、保存して地域の資産として活用しましょうと国が登録すます。知事公館・北海道大学古河講堂・日本基督教団札幌教会など、札幌の主なものはこれまで２６件でした。「さっぽろテレビ塔」が１３日に札幌市では２７番目の「国の登録有形文化財」になりました。

《登録のメリット・デメリットは？》
登録のメリットは、修理や活用事業の費用の半分を国が補助・相続税や固定資産税の減免などがあります。デメリットは、制限など・色や形を変える場合国に届け出が必要で、管理や修理については国から指導が入ることもあります。

《お得な登録記念イベント》
さっぽろテレビ塔では記念イベントを予定しています。
■１７日（月）、１８日（火）は展望台入場無料（※通常大人１０００円）
■１９日（水）～２２日（土）道民限定イベントとして入場料大人３００円＋非売品の記念切手プレゼント（毎日先着２００人）など。夏に向けて第２弾・第３弾も企画されています。この機会に訪れてみてはいかがでしょうか。