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釧路湿原周辺の太陽光発電施設問題 市長が『ノーモアメガソーラー宣言』 その効果は?

釧路湿原周辺で建設が相次ぐメガソーラー。自然保護をめぐる問題が相次いでいることを受け、釧路市は太陽光発電施設の設置を望まないという宣言をしました。果たして効果はあるのでしょうか。

太陽光パネルのそばを歩くタンチョウ
太陽光パネルのそばを歩くタンチョウ

■釧路市・鶴間秀典市長「自然環境と調和がなされない太陽光発電施設の設置を望まないことを、ここに宣言します」

今月1日付けで釧路市の鶴間市長が打ち出した「ノーモアメガソーラー宣言」。釧路市内の太陽光発電施設は、2012年の25カ所から13年ほどで560カ所に激増していて、市は今年9月に建設を「許可制」とする新たな条例案の提出を目指しています。その前に駆け込みで建設しようという事業者の動きを、この宣言で抑え込みたい考えです。

■釧路市・鶴間秀典市長「強制力とかそういうのは全くありません。しかしながら、我々が考えている自然に対する姿勢というものをノーモアメガソーラ宣言の中に盛り込んで作らせていただいた」

ノーモアメガソーラー宣言を発表する釧路市の鶴間市長
ノーモアメガソーラー宣言を発表する釧路市の鶴間市長

これに対し、事業者側は。

■日本エコロジー・大井明雄営業部長「再生エネルギーを推進していく立場。釧路市をよくするためにやるという方向性、これは一緒ですので」

釧路市内でメガソーラーと呼ばれる大規模な太陽光発電施設の建設を複数計画している「日本エコロジー」。市の宣言に強制力はないため、建設を取りやめる予定はないと言います。

■日本エコロジー・大井明雄営業部長「こちらとしてもここは断念できない。やり方に関してはきちっと、勝手なことは絶対にしませんので」

去年12月、建設予定地の一つにオジロワシの巣があることが発覚し、日本エコロジーは市教委から文化財保護法に基づき9月末まで予定地への立ち入り禁止を通告されています。さらにもう一つの予定地についても、ひなの生育に影響が出るおそれがあるとして巣から半径500メートル圏内にある部分は同じく立ち入りを禁止されています。

■高橋海斗記者「建設予定地の一部は巣から半径500メートル圏外にもあります。その場所での建設は行うというのが事業者側の方針です」

釧路湿原などの限られた地域に生息する、絶滅危惧種のキタサンショウウオ
釧路湿原などの限られた地域に生息する、絶滅危惧種のキタサンショウウオ

日本エコロジーは立ち入りを禁止されていない部分について、市が策定したガイドラインにのっとり手続きを進めようとしています。その一つが、絶滅危惧種キタサンショウウオの生息調査です。
ガイドラインは専門家の指導のもとで調査を行うよう定めていて、日本エコロジーは釧路市立博物館に相談のうえで調査を希望しています。しかし、博物館側は立ち入り禁止でない場所であっても多くの人が出入りする調査はオジロワシの営巣に影響を及ぼす可能性があるとして懸念を示します。

■釧路市立博物館・秋葉薫館長「土地の形状と様々な事情で、要はオジロワシから視認しやすい場所とそうではない場所によってその距離だけでは推し量れない条件というのがある。500メートル圏外につきましては、事業者に調査にあたっての留意事項をお伝えし、そのような協議を今進めている」

なかなか調査に入れない現状に、日本エコロジーの担当者は博物館側のやり方は閉鎖的だと話します。

■日本エコロジー・大井明雄営業部長「共存という考え方で希少生物を大切しながら、再生エネルギーということも、両方の折衷点を妥協点をお互いに協議しながらやっていきたいと思うけど。再生エネルギーと対立姿勢だけで終わることが変わらないのは非常に残念なことだと思いますね」

太陽光事業者にとって、釧路湿原周辺の地形・気象条件は「大きな魅力」
太陽光事業者にとって、釧路湿原周辺の地形・気象条件は「大きな魅力」

太陽光事業者が釧路湿原周辺でプロジェクトを進めたい理由について、専門家は地形や気象条件が整っているからだと話します。

■北海道教育大釧路校・伊原禎雄教授「日照時間が長いということと、平坦地が広がっている。道東は積雪がかなり少ないので年間を通して発電ができるというのは、電力会社としては大きな魅力なんだろうと考える」

“原野商法”で細かく分けられた、釧路湿原周辺の土地
“原野商法”で細かく分けられた、釧路湿原周辺の土地

加えて、土地を手放したい人が多いというこの地域特有の事情も。

■原野を所有していた女性「どうにかして土地を売ろう、売るほかないだろうと思っていたんですけれども」

釧路湿原周辺におよそ5ヘクタールの原野を所有していた女性です。値上がりの見込みがほとんどない原野や山林を「将来値上がりする」などといったウソの謳い文句で不当に買わせる「原野商法」。釧路湿原周辺は1970年代から80年代にかけてその舞台となり、区画はいまも細かく区切られています。

■原野を所有していた女性「4000万円で買った土地なんですね、父親が。もう200~300万にしかならないと言われました」

父親の死後は女性が毎年固定資産税を支払い、その総額はおよそ20万円にのぼっていました。そんな重荷となっていた土地を去年、買い取っていったのが太陽光発電事業者。評価額のおよそ10倍の価格をつけてくれたといいます。

■原野を所有していた女性「私が期待していた以上の金額を提示していただいて本当に嬉しかった。正直、売り手なんて探せないですから」

国が推進する再生可能エネルギー。その供給基地となりつつある釧路市で、豊かな自然環境や希少な生き物たちとの共生は実現できるのでしょうか。

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