115年の歴史に幕…「JR留萌線」ついに全線廃止 愛された鉄路の記憶をつなぐ人々と廃線後のマチの未来
2026年 4月 1日 12:30 掲載
また一つ、鉄路が消えていきます。
依田英将アナウンサー
「きょうラストランを迎えますのは、石狩沼田~深川間の14.4キロ。片道およそ20分の旅です。列車は市街地を抜けますと、すぐ畑の中、田園地帯をコトコトと進んでいきます」
留萌線は、国鉄だった1980年代には、すでに採算性と存続について議論されていました。
JR北海道は、2016年に留萌~増毛間、2023年に石狩沼田~留萌間を廃止。唯一残った深川~石狩沼田間での営業を終了し、留萌線はあす(4月1日)、全線廃止となります。
【留萌線とともに歩んできた「ウロコダンゴ」】
115年の歴史に幕を閉じる留萌線。にぎやかだった時代の記憶のかけらが、いまも沿線のマチに残されています。
留萌線の歴史を振り返るうえで外せない名物が、深川市の老舗和菓子店に。
三角形が特徴の「ウロコダンゴ」。味は、あんこ、プレーン、抹茶の3種類です。
依田アナウンサー「おいしい。もっちもちです。噛めば噛むほどじんわりじんわり優しい甘さが出てきて、口の中でお餅のツヤも感じますね。優しい味です」
かつて、貨車に大漁のニシンを積んで走った留萌線。車両に張り付いたウロコに形が似ていることがその名前の由来だといいます。昔ながらの味を100年以上守り続けてきました。
高橋商事 高橋博樹社長
「寂しいは寂しい。深川の名物として(ウロコダンゴを)なんとか守っていきたい」
【旧国鉄車掌が再現した留萌線の記憶】
旧国鉄OB 新木収さん
「ここが深川車掌室。トイレとかお風呂とかロッカールーム」
深川市出身の新木収さん、70歳。旧国鉄でおよそ15年、留萌線などの車掌を務めた後、テレビ番組のセットなどを手がける美術会社に就職しました。
駅前のホテルのロビーに展示された留萌線のジオラマ。美術製作の経験を生かし、留萌線の22駅を実物の150分の1サイズで再現しました。
旧国鉄OB
「現役時代を思い出すね。すごいね」
旧国鉄の先輩たちも模型を見に来てくれました。新木さんの模型は、在りし日の記憶を呼び覚まします。
旧国鉄OB
「昭和炭鉱の鉄道、石炭専用の貨車を切り離して機関車につなぐとか。車掌が一部やっていましたので、そういうことが脳裏をかすめる」
旧国鉄OB
「吹雪で止まって何日も缶詰になった時がある。そういうのを思い出してなんか寂しいなと。心は寂しいですよ。我々の生きる糧でしたから。活気がありましたよ。高校生から大人までたくさんいましたから」
新木さんはこの模型を作るために、過去の資料を集め、時には現地に足を運びました。仕事の傍らで作業を進め、5年ほどかけて完成させました。
旧国鉄OB 新木収さん
「無くなったら『じゃあ、これを見てくれよ、こういうものがあったんだぞ』ということを知らない人たちに教えてあげたいなと」
【地元中学生にも愛されたJR留萌線】
記憶を繋ごうとするのは、大人だけではありません。
依田アナウンサー
「何か売っています。こんにちは。これ、みんなは何を売っているんですか?」
沼田中学校の1年生「中学生がデザインしたオリジナルキーホルダーを売っています」
留萌線最後となる冬が訪れるとともに、石狩沼田駅で販売が始まったキーホルダー。沼田中学校の1、2年生たちが「留萌線を忘れないように」と、駅舎や駅名標などをデザインしました。
沼田中学校の1年生「友達と一緒に深川とか旭川に列車に乗って行って、お買い物をしたことが思い出に残っています」
沼田中学校の1年生「速いし、特別感があって、楽しい。列車は楽しくて好き」
【廃線後のマチの未来は…】
子どもたちに楽しかった記憶を残し、その役目を終える鉄路。廃線後は、バスがその役目を担います。
2600人あまりが住む空知の月形町。少し前までこのマチにも鉄道が走っていました。2020年、JR札沼線の北海道医療大学~新十津川間が廃線となり、バスに転換。
町は、地元の事業者と協力し、隣の当別町や浦臼町までの代替バスを運行しています。
利用者
「助かっています。札幌に出る手段がバスしかないので、車を持っていないとバスがだいぶ便利でありがたいなと思います」
利用者
「病院でも自分の好きなもの買い物に行くのでも、このバスがなかったら好きなようにできないから。だから大事。ものすごく大事。私らにとっては。自分で好きな行動をとれるというのが幸せ」
通学や通院の際に、無くてはならない公共交通。取材した月形町から当別町までの片道およそ25キロの道のりで、利用者は3人でした。
下段モータース 其田貴樹さん
「お客さんの運賃だけでは全くペイできる状態ではないというのは明らかです。我々運転手もみんな高齢化しちゃって、私63歳ですけれど、新しい運転手は全く入ってきませんし、そういう部分では今後どうなるかなと心配はしています」
廃線から20年間は、JRからの支援金で運行を続ける計画ですが、ここ数年、運行にかかる経費は増加傾向にあり、先行きは不透明です。
月形町企画振興課 松本信也さん
「バスの運転手の待遇改善とともに、原油価格の高騰等もありますので。なんとか20年持たせられるように、総意工夫して皆さんに利用していただいて、なんとか維持をするということで頑張っています」
駅舎跡地の利活用も課題です。
月に2回のカラオケの集い。浦臼町は5億円ほどかけて駅があった地区を再整備し、新たな交流施設を造りました。麻雀や子どもが遊べるスペースも人気で、年間1万5000人が利用しています。
浦臼町民
「楽しいですよ。自分で積極的になれない時があるが、歌いたいから寄ってくるもんね」
浦臼町民
「浦臼にあまり演芸的な所がないので、歌の好きな人が集まって声を出してお互い歌うというのはいい事だなと思って」
人口減少とともに姿を消していく鉄路。沿線のマチは今、歴史にひと区切りをつけ、未来を考える出発点に立っています。



























