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猟銃をめぐる7年間の裁判 砂川市のハンターの想いは?クマ駆除の現場は今後どう変わるのか…

空っぽの猟銃ケース。長い時間開けられることなく家の中で眠っていました。

北海道猟友会砂川支部・池上治男さん
Qいま銃はどこにある
「それは私が聞きたいくらい私にもさっぱり分からない。」

砂川市のハンター池上治男さん。最高裁での裁判は終わりましたが、全部で4丁あった猟銃がいつ戻ってくるのか、まだ分かっていません。

北海道猟友会砂川支部・池上治男さん
「(クマを撃った)当該の銃は猟友会の中で亡くなった人がいるんだ癌で。支部長俺の銃譲り受けてくれないかと言って亡くなっていった思い出の銃。

バツ印がひかれた猟銃所持許可証
バツ印がひかれた猟銃所持許可証

3年ごとに所持許可の更新が必要な猟銃。所持許可証にはバツ印がひかれています。

北海道猟友会砂川支部・池上治男さん
「これはもう(期限切れで)効力失ってるから。まだこれ終わってないことだから。(全てが)戻ってきて現状に復帰したと思うよ。」

歴史的な最高裁での逆転勝訴のあと池上さんは愛着のある猟銃が戻ってくる日を心待ちにしています。

春を迎えすでに出没を始めたクマ。しかしクマ駆除の現場では異変が起きていました。

猟銃がなくスキーストック見回りをする池上さん
猟銃がなくスキーストック見回りをする池上さん

3月下旬。北海道より一足早く桜が咲く東京で7年ぶりに池上さんの元に猟銃が戻ってくることが決まりました。

2018年8月、池上さんは砂川市の依頼で市職員らが立ち会う中クマを駆除しました。しかし建物側へ発砲したとして翌年4月に道公安委員会から猟銃の所持許可を取り消され、道に処分の撤回を求めてきました。

北海道猟友会砂川支部・池上治男さん
「危険なクマがいて駆除してくれと懇願されて現場に赴いて勝手に撃ったわけじゃない。」

札幌地裁が道側の処分は違法だったとして取り消した一方、道公安委員会が控訴した札幌高裁では銃弾が跳ね返り人に当たる可能性があったなどとして処分を妥当と判断。逆転敗訴した池上さんは最高裁に上告。

北海道猟友会砂川支部・池上治男さん
「1人で歩く時も何か棒を持っていないとだめだ。鉄砲あるわけではないから」

猟銃がない丸腰の状態でも現場に駆け付け一人のハンターとしてクマの駆除に貢献し続けてきました。

判決後の池上さんと弁護団
判決後の池上さんと弁護団

最高裁での判決の日がやって来ました。

北海道猟友会砂川支部・池上治男さん
「自分の命を使ってでも人を守るという気持ちをハンターみんな持っているから、そこを(最高裁に)理解してほしい。ハンターも、被害にあった人の家族もみなさんが納得する判決だけを望む、それだけ。」

この裁判は池上さん一人の問題だけではありません。各地のハンターにも反発の輪が広がり、クマ駆除の出動を拒否する猟友会支部も出ていました。そんな中最高裁が下した判決は

林道晴裁判長
「主文、原判決を破棄する。道公安員会の控訴を棄却する」

5人の裁判官が全員一致の意見。札幌高裁の判決を破棄し、池上さんに対する処分を取り消す判決を言い渡しました。きわめて異例の判決です。

北海道猟友会砂川支部・池上治男さん
「これ以上にない判決だったと思いますね。北海道だけじゃなくて、全国のハンターに向けても裁判長が理解を示してくれた。 長い戦いだったけど、ある意味で有意義な戦いだったと言えると思います。」

判決後に道公安委員会は「今回の最高裁判決を重く受け止めております。池上様に御不便・御負担をおかけしたことに対し、お詫び申し上げますとともに、速やかに猟銃の返還に向けた手続きを進めてまいります。」とコメントを発表。

北海道猟友会三笠支部・髙崎梨徒さん
北海道猟友会三笠支部・髙崎梨徒さん

道や行政が対応を急ぐ中これからの地域を担う若手ハンターは今回の判決をどう受け止めたのでしょうか。

北海道猟友会三笠支部・髙崎梨徒さん
「まずは一重にほっとしたなっていう、終わって良かったなっていうのが第一印象でしたね。」

猟友会三笠支部の高崎梨徒さん。安堵の言葉を口にする一方、札幌高裁の判決が現場に与えた萎縮の根深さを指摘します。

北海道猟友会三笠支部・髙崎梨徒さん
「所持許可を取り消すに値するっていう判決が(高裁で)出た以上、その判例ができてしまったので、萎縮したものが元に戻るまではかなり時間を要するんじゃないかなと思います。」

また去年市町村の指示で発砲できる緊急銃猟という新制度ができましたが、事故が起きた場合の責任については曖昧なままとなっています。高いリスクを背負ってまで命がけでクマ駆除の市街地対応を担い続けるべきなのか葛藤があると言います。

北海道猟友会三笠支部・髙崎梨徒さん
「基本的に猟友会は趣味の会。今一度組織としてこの社会においてどういう活動を主軸にしていくのかっていうのは、決め直すタイミングなのかなと思っています。」

組織のあり方が転換点を迎える中、「北海道ヒグマ保護管理検討会」では、道内のヒグマの推定生息数がこの30年余りでおよそ2.2倍に急増し、1万2000頭前後になっていることが報告されました。道は今後、生息数を減らすため毎年1370頭あまりを駆除する目標を掲げています。

ヒグマの駆除現場が待ったなしの状況でハンターを守る制度が追い付いていない矛盾。池上さんは判決を受けて謝罪した道公安委員会に対しても、言葉だけで済む問題ではないと訴えます。

北海道猟友会砂川支部・池上治男さん
「こそこそやったところで池上さんに謝ったとか鉄砲を返せば良いとかそういう話じゃない。大きな責任は私だけじゃなく国民に対して本当に信頼を失うようなことをやったということ。私の7年間の過去は取り戻せない。」

奪われた時間は戻って来ない。それでも池上さんは地域のために活動し続けたいと前を向きます。

北海道猟友会砂川支部・池上治男さん
Q長い裁判を終えて価値観は変わった
「変わんない同じだ。ヒグマの事故に遭わない人身事故が皆無なことを私は願ってるから。地域の人たちが安全に暮らせるようなことできる、ヒグマに対する知識がある我々にとって
そういうことができるのは喜び。」

ヒグマが冬眠から目覚める春。歴史的勝訴はゴールではなく社会全体で向き合うべき課題の始まりです。

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