JR北海道の赤字路線「黄線区」鉄路維持目指し自治体など取り組みも …「上下分離方式」は実現可能か
2026年 4月16日 12:25 掲載
■依田英将アナウンサー
「サプライズの花火が上がっています」
2026年3月に115年の歴史に幕を閉じたJR留萌線。
これをもって、10年前から段階的に
JR北海道が廃止を決めた「赤線区」と呼ばれる
5つの赤字区間の廃止が完了しました。
しかし経営の課題は未だ残ったままです。
■国土交通省 村田茂樹 鉄道局長(当時)
「事業の適切かつ健全な運営に間する監督命令」
2年前の3月、国はJR北海道に対し
経営改善への取り組みをより一層深め加速化するよう
「監督命令」を出しました。
■JR北海道 綿貫泰之 社長
「次の3年間が課題解決の最後の
機会として認識しまして 経営改善にしっかり
取り組んでまいりたい」
国への抜本的な経営改善策の提出期限まで
1年を切りました。
最大の経営課題が沿線自治体の費用負担を
前提に鉄路の存続を目指す赤字路線「黄線区」です。
8つの区間があり2024年度の赤字は
あわせて約148億円にものぼります。
「黄線区」のひとつ釧路駅と根室駅を結ぶ「花咲線」。
100円を稼ぐのに831円の経費がかかっていて、
2024年度の赤字額は約14億円です。
■高橋海斗記者
「根室駅前の看板には日本最東端とあります。」
1日10本の列車が発着する根室駅。
■札幌から列車できた
「湿原見たかったんです。厚岸の、きれいでした」
地元では鉄道の利用を盛り上げようとする団体も。
■夢空間花咲線の会 鈴木一雄代表
「花咲線を応援するような商品とかPRグッズを
作っています。
日本最東端の駅を売りに根室をJRで訪れる
鉄道ファンや観光客を増やしたいといいます。
根室駅前で洋食店を営む店の人は
■ニューモンブラン 佐野暢哉代表
「地元の足としてはあまり使われてないので
利用してもらうようにしていただきたい」
駅前旅館の女将は
■民宿えびすや
「車ですぱっと行った方が早いという感じがある。
なくさないで、というものの乗らないことには
存続は不可能だと思う」
宗谷線の稚内駅から名寄駅までの区間での
2024年度の赤字額は27億円にのぼります。
■名寄市 加藤剛士市長
「鉄路の高速で大量の輸送ということは、
ほかにはない輸送手段という意義がある」
名寄市の加藤市長はバスには代えがたいと
鉄路の重要性を訴えます。
■名寄市・加藤剛士市長
「高度な医療を受けるには稚内や名寄などまで
移動しなければならない」
JRは道北地域での通院にも大きな役割を
果たしているといいます。
■永山友菜記者
「JR宗谷線の名寄高校駅です。すぐ目の前には、
駅名となった高校があり、生徒たちが利用しています」
かつて高校から1.6km離れた場所には
東風連駅がありました。利用者のほとんどが
名寄高校生だったことから、
市が約6000万円かけて駅を移動し、
高校まで徒歩3分の場所に「名寄高校駅」を
4年前に誕生させました。
■名寄高校・今中勇希校長
「全校390人の学校です。
そのうち70人がJR名寄高校駅を利用しています」
JRを利用して北は音威子府村(おといねっぷ)、
南は和寒町(わっさむ)までの広い範囲から生徒が
通学しているといいます。
■剣淵町から通学
「だいぶ距離近いので通いやすいと思います。
時間も余裕できるので近いほうがいいです」
■美深町から
「便利なんで廃止しないでほしいと心の底から思っています」
東風連駅は1日8本しか停車しない駅でしたが、
名寄高校駅が誕生してからJRがダイヤを改正し
快速を含む24本が
停車するようになりました。
名寄市のようにJR北海道と自治体が協力して利便性向上に
取り組む地域はあるものの抜本的な収益改善には
つながっていません。
■名寄市 加藤剛士市長
「できることはやりたいとやっているつもりでありますけれど、
抜本的な国の支援がなければ維持は難しい」
JRが経営改善策として示した上下分離方式については
■名寄市 加藤剛士市長
「専門性が高いですよね。鉄道の維持管理はノウハウもないので
できないですねきっと。
上下分離方式について鉄道の建設や維持管理に詳しい専門家は
■鉄道工学リサーチセンター 綱島均副センター長
「地方自治体としてはJR北海道にまた委託するという形で
線路を維持管理していくことが一番現実的になる。
費用負担が非常に多額である。将来にわたって維持管理
できるような体制を作れるかが問題」
専門家は、黄線区の中には貨物列車が通っている
区間もあるため、鉄路の維持は沿線の自治体だけで
抱える課題ではないといいます
■鉄道工学リサーチセンター 綱島均副センター長
「農産物は本州に輸送されるわけですし、恩恵を受けているのは
北海道だけの人ではなく、日本全体の問題と考えられる。
全体を見る北海道自体が相当責任をもって維持管理をできるような
体制をつくることが重要」
JR北海道は、沿線自治体との協議を
進めていくといいますが合意を得るには、
多くの課題がありそうです。
JR北海道の綿貫社長は沿線自治体への説明は
13日までに終えていて、自治体からは
新たな財政負担は不可能、JRと自治体だけでの
鉄路の維持は困難、国や道の関与や支援が
不可欠という意見が多かったと会見で述べています。
「上下分離方式」の導入をめぐっての
自治体との合意は難航しそうです。



























