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代々家族で経営して70年 函館の遊園地「こどものくに」 親から子へ受け継がれる思い 日本最古の観覧車も

北海道函館市で、昭和から平成、令和と3時代続いてきたレトロな遊園地。市民に愛され今年で70周年、遊園地を守ってきた家族に密着しました。

函館市にある小さな遊園地、「こどものくに」。桜が満開の季節を迎え、多くの家族連れでにぎわっていました。空中ブランコに、メリーゴーラウンド。昭和の雰囲気漂うレトロな遊具が並びます。

”日本最古”の観覧車
”日本最古”の観覧車

中でも目を引くのが空中観覧車。「こどものくに」のシンボル的存在で、現役で稼働する観覧車としては国内最古です。

「こどものくに」が開園したのは、いまから70年前の1956年。戦後の復興が終わり、高度経済成長期に突入した時代です。

市民から寄せられた写真
市民から寄せられた写真

孫と来園した人
「(Q.昔もここに?)来てました、来てました。私の子どもたちも連れて。ほとんど変わっていない」。

息子と来園した人
「小さい頃に自分も親に連れて来てもらった。また来るとなると感慨深い。思い出なんですよ、親子の」。

70年にわたって、函館市民に愛されてきた「こどものくに」。実は代々家族で経営してきた遊園地でした。親から子へ…。小さな遊園地を守り続ける家族を追いました。

1992年撮影
1992年撮影

オープン前日、70周年を迎える準備が進んでいました。

加藤大地さん
「ずっと続けてくれたスタッフと来てくれたお客さんがいたから、いま成り立っているので、感謝と初心に戻るということで」。

市民から思い出の写真を募集し、写真展を開催します。企画したのは、加藤大地さん27歳です。「こどものくに」は、大地さんの曽祖父が始めた遊園地で、代々家族で経営してきました。

記念すべき70周年オープン初日、大勢の家族連れでにぎわいました。

子ども
「楽しかった!」
男性
「函館の子どもと遊ぶ原風景ですね」。

加藤大地さん
「これ以上ないような天気で、これ以上ないようなお客さんが来てくれてうれしい」。

加藤大地さん
加藤大地さん

ジェネラルマネージャーの大地さん。接客からアルバイト従業員の管理など、現場のトップとして、あらゆる仕事を任されています。

加藤大地さん
「家族経営なので『私が一番考えないと、私が一番動かないと』っていうところはあります」。

今は5歳年下の弟・周さん(22)が、マネージャーとして大地さんを支えています。

弟・加藤周さん
弟・加藤周さん

遊具の多くは昭和の時代、高度経済成長期に作られたもので、部品は特注です。

加藤大地さん
「大きく壊れてしまうと大変なので、少しずつ順番でメンテナンスするっていう考えでやると、1回の出費は抑えられるし、故障の回数も抑えられる。壊れてから直すのではなく、前もって前もって。汚れるし真っ黒になるんですけれど、9年やっていたらかわいく見えてきました」。

父・加藤健一さん
父・加藤健一さん

父・健一さん
「だからお前じゃだめなんだって」。

大地さんの父・健一さん(56)。4代目社長で、一線からは退いたそうですが、毎日必ず顔を出し園内を回って点検しています。

父・健一さん
「ちょくちょく来て、文句言って帰ってます。(兄弟)2人で1人みたいな感じで、ようやく1人前になるかなみたいな感じ」。

母・加藤智美さん
母・加藤智美さん

切符売り場を担当するのは、母の智美さん(56)です。

母・智美さん
「(Q.健一さんは厳しい?)厳しいです。本人は優しいと言っていますけど」。

健一さんが大地さんを呼び止め向かった先は、この日の朝、大地さんと周さんがメンテナンスしていたばかりの遊具でした。

健一さん
「半分戻せ」。
大地さん
「気持ち張りすぎたか…」。
健一さん
「お前分かってたんだろ」。
大地さん
「それで戻したんですけど」。

加藤大地さん(右)と父・健一さん(左)
加藤大地さん(右)と父・健一さん(左)

安全性に問題はありませんでしたが、健一さんから見るとチェーンの張り方が少し強すぎたようです。

父・健一さん
「妥協しないです。『この辺でいいか』というのがないっていうか。チェーンの張り1本、本当にこだわってやらないと営業は成り立たない」。

今シーズンの営業が始まって、およそ1カ月。募集していた思い出の写真が、大地さんのもとに届いていました。

加藤大地さん
「最初、私の子どもの頃の写真も多かったので。どんどんお客さん楽しい思い出に変えていければいいなって」。

親子3人で遊具をメンテナンス
親子3人で遊具をメンテナンス

「こどものくに」は家族できりもりしていますが、健一さんが息子たちに「継いでほしい」と言ったことはありません。社長になって35年、遊園地の経営は苦労の連続でした。

父・健一さん
「ずっと赤字だったと思います。ちょうど少子化が始まったくらいで。もう売り上げがどんどん下がるわ、遊具が更新できないわ」。

最大のピンチは2020年、新型コロナウイルスがまん延し、休園に追い込まれたことでした。

父・健一さん
「(息子たちが)いつ辞めてもいいし、いつ出ていってもいい。それはもう自分らの人生なんで、楽しい方に行ってもらえれば。どの親もそうだと思う」。

加藤大地さん
「家族でここに来て、点検をしながらこの椅子に座って桜を見たんですよ。それがすごい寂しかったのを覚えていて…」。

一時は、閉園も考えたという加藤さん一家。しかし、大地さんがクラウドファンディングを呼びかけたところ、2カ月で目標の1000万円を超える寄付金が集まりました。

加藤大地さん
「こんなにたくさんの方が応援してくれてるんだって。みんながコロナ禍で辛い中、お金を出してでもメッセージを送ってくれる方がたくさんいて。こんなに応援されているんだったら、このままの気持ちじゃ駄目だなと」。

加藤大地さん(右)、弟の周さん(左)
加藤大地さん(右)、弟の周さん(左)

今では、弟の周さんと2人でこの場所を守っていきたいと思っています。

加藤大地さん
「こどものくにの良さは昔からずっとあって、みんなの思い出の中にあるというのが一番の強みだと思う。70年間守ってきた雰囲気はこのまま崩さずに、さらに楽しくできるように、全国から子どもたちが遊園地デビューのために『函館公園こどものくに』に行こうと思ってもらえる営業を常にしていけるように、100年目指していきたい」。

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