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ヒグマ最前線

オシャレで障害者を後押し!「リーゼント福祉理美容師」 看護師の顔も…目指すは「普通の暮らしを幸せに」

森田浩幸さん
「もともとリーゼントだからね。
トレードマークみたいになっちゃって
やめられない感じ」

福祉理美容師の森田浩幸さん、59歳。
オシャレの力で障害のある人たちを後押しし、
実現したい未来があります。

森田さん
「きれいにしてあげて前向きになって
表に出たいと思ってもらえればな」

帯広市を拠点に活動する森田さん。
この日、市内に1人で暮らす女性のもとを訪れました。

「こんにちは」
「こんにちは~どうも~」

森田さん
「美容師さんになります」

障害や高齢が理由で外出が難しい人のために、
自宅や病院に赴いて髪を整えるのが、
福祉理美容師の森田さんの仕事です。

女性は、20年ほど前に突然、脳幹出血で倒れ、
左半身が思うように動かせなくなりました。

転倒など移動のリスクを感じ、
美容室には行けなくなったと言います。

森田さん
「くるくるドライヤーでもプロがやったらきれいになる」
利用者の女性
「すっきりしたじゃんね。
髪だけは伸びるんですよね、年取ってもね。
だから、定期的に来てもらうって感じかな」

森田さん
「20歳ぐらいの女の子に訪問呼ばれて髪を切って。
切り終わった後に『ありがとう』って文字盤で言われた。

娘さんがお母さんに『美容師さん呼んでくれて
ありがとう』と言って。お母さんが泣いちゃって。

『ありがとうの重みがすごい。普通の『ありがとう』と違う。
その重みがやりがいになるって感じかな」

高校を中退し、
16歳で理美容師の世界に飛び込んだ森田さん。
20代の頃に訪問した病院での経験が転機となりました。

20代の頃 病院で髪を整える森田さん
20代の頃 病院で髪を整える森田さん

森田さん
「呼吸器ついている人とか体が拘縮している人とか。
寝たきりとか、いろんな状況で髪を切らなければいけなくて。
その時に、このままやっていたら
事故を起こしてしまうかもしれないと思って」

どんなに重い障害があっても、
利用者の髪を整えてあげたい。
そう考えた森田さんが、30代から始めたことがあります。

森田さん
「おいしいですか。どうですか、きょうのお味は」
患者
「おいしいよ」

看護師の仕事です。
森田さんは、36歳から勉強を始め、38歳で准看護師に。
その後、51歳で正看護師の資格も取りました。

森田さん
「なんで鼻からチューブが入っているか分かる。
入っていると何に注意しなきゃいけないかも分かる。
もし理美容師で入っている時に何かあったら
どうすればいいか、自分で分かるから」

今は、理美容師の仕事の傍ら、
足寄町の病院で月6回ほど夜勤に入っています。

森田さんは、全国で福祉理美容師の養成講座を開いて、
後進の育成にも取り組んできました。
これまで受講したのは、およそ2000人。

森田さん
「現役でやって、最前線の情報。あとは自分の感覚。
常に看護師として働いているその感覚を
きちんと受講生に伝えたいから。
だから現場を絶対離れない」

理美容師と看護師の仕事で多忙な毎日。
しかし、森田さんにはさらに別の顔もありました。

車いす利用者に負担をかけることなく、着物を着付ける、
「福祉車いす着付師」の顔も持っています。

「そのままでいい。せーの」

この日は、札幌で車いすの夫婦が
フォトウエディングを撮影することに。
着付けには細心の注意を払います。

森田さん
「しわや帯のでこぼこは床ずれの原因になるので
なるべく背中を平らにして帯を巻くようにしています。
栄養が低下している人、ちゃんと取れていない人は
皮膚の血液の循環も悪くなるので皮膚が脆弱になる。
脆弱になったところに圧迫があると
すぐに20分ぐらいでも(床ずれに)なる」

新婦の愛さんは
30歳の時、転落事故で車いす生活となり、
新郎の拓弥さんは、16歳の時、
バイクの事故で下半身が動かなくなりました。
成人式では、はかまを着ることを諦めたと言います。

藤平拓弥さん
「車いすで着物を着られると思っていなかった。1度ははかまとか着てみたいなと思っていたので」

藤平愛さん
「健常者でも大変なのに、きっと難しいんだろうな。
無理なんだろうなと諦めていた部分があったので
今回着せてもらってうれしいです。
誰かの力を借りながらでもできることが増えるって
自分たちには大きな一歩というか」

車いす着付けでフォトウェディングを実現した藤平さん夫婦
車いす着付けでフォトウェディングを実現した藤平さん夫婦

森田さん
「諦めないでほしいというか
みんなどうしてもできない所を探すけれど
できないところじゃなくて、
できることを探してどうやったらできるか。
ちょっとした工夫をすればできる」

森田さんは、札幌や帯広で車いす着付け講座を開き、
技術を広めています。

「引っ張りすぎるとどうなのかな」
「それは大丈夫」

オシャレの力で、
障害のある人たちが外へ出るきっかけを増やしたい。
そうすることで、
誰もが暮らしやすい社会に近づくと信じています。

森田さん
「(外で)気づいて問題提起してくれれば、
表の環境が良くなる。
段差がなくなったり、道路がきれいになったり。
車いすだけではなくて
ベビーカーとか高齢者も一緒に使いやすくなる。
福祉って『普通の暮らしを幸せに』。
それが福祉ってことだと思う」

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