「橋から落下させていない」旭川女子高校生殺害の初公判で食い違う主張 難しい判断迫られる裁判の争点は
2026年 5月26日 12:05 掲載
旭川市で女子高校生が橋から落とされ殺害された事件で、殺人などの罪に問われている女の裁判員裁判が始まりました。
《「橋から落下させていません」殺人罪などを否認》
■裁判長「読み上げられた起訴状の内容を聞いて何か言っておきたいことはありますか?」
■内田梨瑚被告「私に殺意はありませんでしたし、橋から落下させていません。その他は弁護人にお任せします」
事件から2年。25日から始まった裁判員裁判で冒頭内田梨瑚被告(23)と弁護側は「殺人罪」と「不同意わいせつ致死罪」について否認しました。
起訴状などによりますと、内田被告は2024年4月、旭川市の神居大橋で当時19歳の女と共謀して、留萌市の女子高校生を全裸にして暴行を加え、橋の欄干から川に落として殺害した罪などに問われています。
■内田被告を知る人「感じのいい子だよ。後ろ姿でも挨拶するし前から見ても挨拶するし」
■一方で別の知人は「昔から年上や年下にケンカを売っていたり、自分からガツガツ行くような感じ。気に食わないことがあると行くみたいな印象」
《事件の経緯は》
事件のきっかけは被害者の女子高校生が内田被告がラーメンを食べる画像をSNSで無断使用したこととされています。これに腹を立てた内田被告は2024年4月18日夜、留萌市内で女子高校生を車に乗せて車内に監禁し、翌日未明、旭川市の神居大橋で「落ちろ」「死ねや」などと言い女子高校生を橋から転落させ殺害したとされています。
一月後の5月21日、約60キロ下流で女子高校生の遺体が見つかりました。
《なぜ転落したのか…食い違う主張》
犯行現場にいた2人の主張は大きく異なります。共犯で、既に懲役23年が確定している当時19歳の女の証言などによると、女子高校生は内田被告の指示で川の方を向き、橋の欄干に座らされました。そして内田被告と女が二の腕と背中を押します。高校生は欄干の外側に立ちますが、内田被告が背中を押し橋から落下したとされています。
一方、内田被告は「橋から落ちたかどうかは知らない。置いてきただけだ」という趣旨の話をし、「2人は高校生を橋の欄干の外側に川の方を向かせて立たせた。そのままの状態にして立ち去ると後ろからドンという音が聞こえた」としています。
《傍聴席を求め長蛇の列》
25日、裁判所の前には整理券配布の30分前から23席の一般傍聴席を求めて市民ら313人が朝から列を作りました。
■旭川市民「若い人たちの事件が最近多いのでどういう受け答えをしてどういう感じなのかな」
■小樽市民「実際に突き落としたのか。本当のことを言っているのか。防犯カメラもない場所なので真相が知りたいですね」
内田被告は黒のズボンに白いワイシャツ姿で出廷しました。内田被告は傍聴席の前で遺族に向かって深くゆっくりと一礼して証言台に立ちました。裁判長から起訴内容を問われると
■内田被告「私に殺意はありませんでしたし、橋から落下させていません」
内田被告の弁護士は監禁罪について認めたものの、残り2つの罪については成立しないと争う姿勢を見せました。内田被告の弁護士は「わいせつ行為と致死の因果関係は結びついていないと考えている」「殺意が不存在であり、また、殺害の行為はありませんでした」と主張しました
一方、検察側は冒頭陳述で「橋から落としたという実行行為がなくても、被告らのそれまでの言動のせいで実質的に女子高校生を転落させたのであれば殺人罪は成立する」「内田被告は本件の首謀者であり主犯で最も大きな役割を果たした」などと指摘しました。
《3つの罪と争点》
内田被告が問われている罪は、監禁罪、殺人罪、不同意わいせつ致死罪です。
◆殺人罪は成立するか
・検察:実際に突き落とした行為があったかどうかはわからないが、殺意をもって「落ちろ」「死ねや」などと何度も怒鳴るなど、それまでの被告人らの言動が原因で女子高校生を橋から転落させたと判断でき、殺人罪が成立する。
・弁護側:内田被告らは女子高校生を橋に置いて立ち去った。その後、女子高校生が転落した。つまり殺害行為は無い。
◆不同意わいせつ致死罪は成立するか
無理やりわいせつな行為をさせたことが死につながったのかという点について
・検察:はだかにさせて土下座させ、動画を撮影するなどのわいせつ行為が女子高校生の死に至った因果関係がある。
・弁護側:わいせつな行為をさせたことは認めるが転落死との因果関係がない、つまり不同意わいせつ罪に留まる。
■中村浩士弁護士「(殺害の)最後の決定打となった背中を押したという行為の物証が何もない。そうするとどうやって落ちたのか、ここが分からないまま殺人罪・殺害行為を認定していいものなのかどうか、なかなか類似の裁判例が少ない分野になるので、裁判員が裁判官の説明を受けながらいかに判断していくのか、かなり重たい求刑が予想されるので、求刑に見合った情状、一体何年の刑が相当なのか、過去の裁判例にも照らしてかなり難しい判断を強いられることになる」
■初公判を傍聴した永山友菜記者「内田被告は、裁判中全く表情が変わらず終始ゆっくりとまばたきをして大きく息を整えている様子でした。最も落ち着いているなと感じたのは内田被告のおじぎです。内田被告は入廷する際、両手を前にそろえ深く90度まで腰を曲げてゆっくりと一礼をしてから席につきました。さらに裁判がはじまると再び傍聴席にいる遺族に向かって同じように深く一礼をして証言台に立ちました。法廷ではコンビニの防犯カメラの映像が裁判員にだけ流されました。傍聴席には音声だけが聞こえ、女子高校生が従業員に助けを求める声や内田被告らが怒鳴りながら店の外へ引きずり出す様子がうかがえたのですが、傍聴席には遺族と思われる人がじっと耳を傾けながら涙を流す姿もありました。内田被告も音だけを聞いていましたが、全く表情を変えず、裁判を通して終始、「無表情」という印象を受けました
判決は来月22日です。



















