【マチの分岐点】財政破綻から20年の夕張市 「メロンだけじゃない」借金完済後に描く未来の姿は?
2026年 6月 2日 11:57 掲載
北海道を代表する
初夏の味覚・夕張メロン。
初セリでは過去最高値となる
2玉580万円で落札されました。
夕張市・厚谷司市長
「先ほど競りの方の指の様子を見ていたんですけど、涙がでそうになりました。”厳しい20年”の中で、私たちに光を照らし続けてくれる存在でしたから」
財政破綻から今月で20年。
そして、借金を返済する
最後の1年でもあります。
財政破綻は、
市民の心にも影を落としてきました。
夕張市民
「庭のお花一つ植えるにしても、破綻の街でこんなバラなんか植えてもいいんだろうかとか」
再生へ向け、歩みを進めてきた夕張市。
借金完済の先に描く街の姿とは・・・
札幌から車でおよそ1時間半の夕張市。
炭鉱で栄えた歴史が今も
市内の各所に残されています。
かつて国内有数の石炭の
生産量を誇った夕張市。
最盛期の1960年、
人口は11万人を超えていました。
しかし、国のエネルギー政策の転換などの影響で、
1990年には全ての炭鉱が閉山。
市は炭鉱に代わる新たな産業をつくろうと、
バブル期の勢いもあわせて
観光を軸とした街づくりにシフトしました。
その後のバブル崩壊、長引く不況により
観光施設などへの過剰投資は
市の財政悪化の引き金となりました。
2006年6月、
市は「財政再建団体」への申請を表明しました。
(当時)夕張市・後藤健二市長
「法の適用を受けた財政再建団体となり、再生計画の策定に向けた重大な取り組みをする」
当時、税収は10億円に満たなかったにもかかわらず、
国への借金およそ353億円の返済に向けて動き始めました。
夕張市民
「これからジジババ死ねと言っていると同じじゃないか。なに理解できるんだ。なに協力できるんだ」
「国や道に対してなにも言わないんですか」
国の許可なく独自に
事業を行うことはできなくなり、
市の税金や施設使用料などは値上げ。
「日本一高い住民負担と最低のサービス」とも呼ばれる現実が待っていました。
当時、厚谷市長は市職員の労働組合長をつとめていました。
夕張市・厚谷司市長
「一番大変だったのはですね、やはりあの職員定数を削減しなければいけないということ。内容を見ました時に、職員の身分だけではなくて、行政が機関としてしっかり仕事をできないのではないだろうかという内容でございました。とにかく計画の内容を緩和していただきたいということの交渉をずっと続けていた」
緊縮財政と厳しい住民負担に街を後にする人も多く、
財政破綻を表明した当時、
およそ1万3000人だった人口は、
20年で5700人ほどまでに。
先月末に公表された
国勢調査の速報値で、
人口の減少率は道内で最も高いことが明らかになっています。
札幌市のおよそ7割ほどの面積に対して大きく減ってしまった人口。
この20年、
市は財政再建とともに、
これまで街の各地区で発展してきた住宅や公共施設などを中心部にまとめ、街をコンパクトにする計画を進めてきました。
2016年には、
当時の鈴木直道市長がそれまでの財政再生計画を大幅に見直し。
(当時)夕張市・鈴木直道市長
「課題を希望に変え、地域再生に向けた取り組みをこの同意を経て、しっかり加速させていきたい」
国の同意の上で、
老朽化した保育園と幼稚園を統合した認定こども園の整備など、街の再生に向けた取り組みも始まりました。
その取り組みの一つが
2020年にオープンした市の複合施設「りすた」です。
バス乗り場や市役所の一部窓口、図書館などの機能がまとめられています。
さらに、となりには2030年度を目指し、新たな市役所の移転計画が進められています。
そして、市は来年度以降の実質的なまちづくりの指針である「総合計画」をつくっていて、市は今後の街づくりに当たり、市民や議会と議論を深めていきたいとしています。
夕張市・厚谷司市長
「これまで財政再建中になかなか取り組めなかった事業とか、そういったものを計画的に進めていけるように、その準備をしていく。(総合計画は)本来議会の議決の必要ない事項ではあるんですけれども、これからのまちづくりを一緒に考えていただきたいという意味で、市議会の議決をいただけるようにしていきたい」
街の未来を考える取り組みは、市内の高校でも。
市は、唯一の高校である「夕張高校」の魅力を高めることを、未来に向けた中心政策と位置づけています。
生徒たちは週に3回ほど、夕張の歴史を学ぶと共に、人口減少や財政難などの課題解決に向けて取り組んでいます。
この日は夕張市の新たなご当地グルメを開発。
コンテストで賞を取ると商品化につながることから、
試作に力が入ります。
夕張高校3年・鈴木陽斗さん
「夕張と言ったらこれといったものをつくろうとしているので、夕張ってメロンだけじゃないし、人少ないってイメージだけじゃなくて。こんなおいしいものあるんだって知るきっかけになってほしい」
20年を経て、
自らの歩みを始めることになる夕張市。
「未来は明るく素敵な街になると思いますか?」
夕張市・厚谷司市長
「そういう目標がなければ、やはり街づくりはできないと思います。市民の皆さんからも高い目標ではないかと言われるかもしれませんけど、(夕張に)戻ってきておいでって言える街っていうのが、やっぱり目標にしていくべき」
街と、暮らす人々が経験した厳しい20年。
専門家は決して他人事ではないと指摘します。
北海学園大学・西村宣彦教授
「夕張ほどの巨額の赤字を抱えることになるわけではなくても、物価高ですとか、そういったことで財政が悪化するっていうことは、他のまちでもすでに起きていることですし、もっと悪化するという可能性もあります。行政の方でも頑張る必要はあるんですけども、行政任せでもなくて、市民の方も自分たちで何ができるのかっていうのを考えて取り組むことは、夕張の取り組みからも学べるところかと思う」



















