【裁判ルポ】江別市大学生強盗致死事件(上) あす(5日)共犯の女に求刑
2026年 6月 4日 13:05 掲載
2024年、江別市の公園で、大学生の長谷知哉(はせ・ともや)さんが激しい暴行を受けて死亡した事件。共犯とされる川村葉音(かわむら・はおと)被告(21)への求刑公判があす(5日)、札幌地裁であります。取材を続けている中川宙大記者からの報告です。
「あなたの言っていることは理解ができないんだけど」
裁判長からの言葉に、川村被告はまっすぐ前を向いたまま黙り込んだ。
それは質問の意味を理解しようと、答えを探しているようにも見えた。
彼らはどこまで理解しているのだろうか? 私がここまで裁判を傍聴していて疑問に思ったことだ。
■死刑か無期懲役が原則の「強盗致死罪」
2024年、江別市の公園で大学生の長谷知哉さんが激しい暴行を受けて死亡した事件。
長谷さんの交際相手の①八木原亜麻(やぎはら・あま)被告、②友人の川村被告、③瀧澤海裕(たきざわ・かいと)被告、④川口侑斗(かわぐち・ゆうと)被告、⑤当時16歳と⑥17歳の少年ら合わせて6人は、長谷さんからクレジットカードなどを奪い、暴行を加えて死亡させた強盗致死などの罪に問われている。
5月25日から川村被告、瀧澤被告、当時16歳だった少年の裁判員裁判が始まった。
3人は起訴内容を認めていて、量刑が争点となっている。
強盗致死罪は原則、死刑か無期拘禁刑だ。
検察側は、長谷さんの死因は、全身の血液の20~30%が流れ出たことによる外傷性ショックだったと指摘したうえで「長谷さんの服に指紋が残らないよう全裸にしたうえで、たばこの火を押し付けるなど、暴行は2時間に及ぶ圧倒的長時間で執拗なものだった」と主張。
一方、弁護側は、3人は主犯格とされる川口被告に同調して暴行をしたと主張している。
川村被告の弁護士
「川村さんの犯行は財物を盗る目的ではない。目の前のことを何も考えずに行動していただけ。川口(被告)に金品をとらせたら終わると思っていた」
■明らかになる事件当日の動き
そもそも事件の背景にあったのは、長谷さんと八木原被告との間での「交際関係」のもつれだ。
長谷さんは道外の会社に就職することを考えていて、八木原被告に1年後に別れることを
告げた。八木原被告がこのことを川村被告に相談したことが、やがて事件へと繋がっていく。
裁判では、事件当日の動きが詳しく明かされていった。
川村被告は、川口被告ら少年とともに、飛行機を見るために新千歳空港で遊んでいた。到着したときには展望デッキは閉まっていて、窓ガラスから空を飛ぶ飛行機を眺めていたという。
そこへ、川村被告のスマホに八木原被告から電話がきた。
電話をしているうちに、川村被告は苛立ちを見せていった。川口被告はそれを見て、楽しい雰囲気を「壊された」と感じ、川村被告から電話を受け取った。そこから聞こえてきたのは八木原被告ではなく、男の人の声――長谷さんだった。
<川口被告の供述調書>
雰囲気を壊されていると感じたので高圧的な態度で話した。
「何やったの?」と聞くと「1年以内で別れる話」と言われたので、「は?」と言った。
(中略)
被害者にどこにいるのか聞くと、ローソンということだったので「ローソンね、そこに行くから、なにもしないから」と言った。(八木原)亜麻の言い分も聞きたいし、二人の別れ話を解決したいと思っていた。
川村被告ら5人は、車で新千歳空港から江別へと向かうことになった。
川口被告は車の中で、川村被告に長谷さんの特徴を尋ねることになる。
川村被告「『どんなやつ?』に対しては、(川口)侑斗より身長低いと答え、『年齢は?』については、八木原さんから年上だと聞いていたので『21、22ぐらい』と答え、どんなやつに?に対しては『たぶんボクシングをしている』と答えました」
弁護士
「実際に被害者(長谷さん)はボクシングをしていましたか?」
川村被告
「いいえ」
弁護士
「なぜ川口被告にそれを言ったんですか」
川村被告
「川口くんはボクシング経験があるので、共通の趣味で会ったことがある人かもと思ったからです」
川口被告はこれを聞いて、江別市に着いてから公園でシャドーボクシングをして、体を温めることとなる。
■止まらない暴力
公園に着いてから、川口被告は、長谷さんに別れる理由を聞き始めたが、長谷さんの言い分を理解できず暴力を奮い始めた。
検察官
「なぜ暴力が始まったんでしょうか」
川村被告
「突然始まった。暴力を奮う意味は?とは思っていました」
検察官
「止めようと思わなかった?」
川村被告
「何も考えていなかったです。暴力が始まってびっくりして後ろに下がってからは、八木原さんに話しかけられて、そこから話していた」
検察官
「止めようとは思わなかった?」
川村被告
「何も考えていませんでした」
6分間の暴行を続けた後、長谷さんの血が川口被告の服についたことに因縁をつけて、川口被告が金品の要求をし始める。そこに川村被告も「うちもつけられたかもしれない」と同調した。
裁判長
「あなたは(八木原被告と長谷さんが)交際を続けたいと願うのが一番では?」
川村被告
「はい」
裁判長
「あなたはどうしようとしていたのですか?」
川村被告
「事件の日は………公園に着いたときは解決しようと……」
裁判長
「だったら(交際を続けると願うための)具体的な行動をしていたのではないでしょうか?」
川村被告
「その……していません」
裁判長
「こんなに怖い人と付き合っていると分かったら付き合いたいと思いませんよね?」
川村被告
「はい」
裁判長
「あなたが言っていることは理解できないんだけど」
川村被告
「………」
裁判長
「思っていることと行動していること矛盾していますよね?」
長谷さんは暴行の最中、現金とクレジットカード、キャッシュカードを川村被告らに奪われた。被告らはクレジットカードを使って大量のタバコなどを購入した。
<(下)に続く>



















