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【解説】知床沖観光船事故 運航会社社長に禁固5年判決 弁護士に聞く 判決のポイントは?

元裁判官の内田弁護士に解説をしていただきます。

今回争点となっていた部分、桂田被告が事故を予見できたかどうかというところについて見ていきます。

まず検察側は予見できたとしていました。運航基準を超える風や波の予報が出ていたこと、そして運航管理者として出港中止などの注意義務を怠ったとして、法定刑の上限である禁錮5年を求刑していました。

一方の弁護側は予見できないとしていました。事故の原因はハッチの不具合、さらに事前に船長と協議をし、天候が荒れる前に引き返す認識だったとして無罪を主張していました。

そして判決で裁判所が下したのは、検察側の求刑通りとなる禁錮5年の実刑判決だったというところなんですが、内田さんはこの判決を聞いたとき、どのように感じましたか?

内田弁護士)
社会的にも注目されていましたし、法的にも難しい論点を含むものでしたが、この結論自体は従来の判例に照らすと、十分あり得る判断だと感じています。

・驚きというのは逆に言うとなかったということなんですか。

内田弁護士)
専門家から見れば想定した範囲内の判決だとは思ってます。

・判決のポイントとなった部分はどこだったと思いますか?

内田弁護士)
どこまでの予測が出航までに必要かというところが本件の主戦場になっていました。過失が認められるためには予見可能性、つまり事故の発生を予測できることが必要になってきます。

予測というのは結局どれくらい具体的に必要なのか。ここをもって争いが起きていました。

弁護側としては、事故が起きたのはハッチの不具合が原因じゃないかと。ハッチの不具合は検査にも合格していて予測できなかった。そうである以上、この予見可能性はないんだという主張を展開していました。

これに対して裁判所は、いやいや、そもそも予見可能性はそこまで具体的にはいらないんだと。あくまで強風や高波で安全に運航できなくなって事故が起きれば、そういう可能性があると、そこは予見できればいいという判断にしました。

そして現に運航基準を超える中で出航させたわけなので、強風や高波でそういう事態が起きることは予測できたし、実際に起きた事象も、不具合が原因の1つとはいえ、結局は高波や強風の影響で浸水して事故が起きたということからすると、起きたことも予測の範囲内だと。予見可能性は認められるというのがまず1つですね。

・ハッチの不具合を主張していますが、ここから水が入ることも天候の荒れが原因であるということですよね。

内田弁護士)
ハッチの不具合を予見できたか、そこまで具体的に予測する必要はないというのが前提にあります。事前に引き返す認識だったというところについても、被告人の供述は不合理であり採用できないと、信用性をばっさり切ってるという判断になっています。

・弁護側は無罪を主張していた中で、検察側の求刑通りの法定刑の上限の判決っていうのはどのように感じていますか?

内田弁護士)
全体的にそもそも運航管理の状況がずさんだったということ、そして何よりも取り返しのつかない多くの命が失われた結果、そして法廷の態度も含めあまり反省が真摯とは言えない、これら事情が合わさって上限の5年という判決になっていると感じています。

・上限の5年の5年という数字はどう考えていますか?

内田弁護士)
これだけの取り返しのつかない結果が発生してますから、5年でも短いんじゃないかという意見があってごもっともだというふうに思います。ただあくまで法律上5年というのが上限ですから、司法としてはできる限り本件に向き合って、最大限責任を取ってもらうという判断をしたと私は見ています。

・懲役ではなく禁錮5年っていうのはこれなぜなんでしょうか?

内田弁護士)
ここは判決を見てもあまり理由が書いていないので分からないんですが、一般的に過失犯の場合だと禁錮刑が選択されることが多く、検察官の求刑自体もそうだったということで裁判所としては、そこは禁錮なんだけれども期間として上限を持つことで、しっかりと責任を取ってもらいたいという意思の表れかなと思ってます。

・業務上過失致死の中で最も重い5年っていうのなんですけど、ご家族の意見陳述といったもはしっかりと影響はされてるんでしょうか。

内田弁護士)
求刑に縛られないとはいえ、やはり裁判所として求刑通りの上限判決を出すっていうのはそれなりに勇気のいる判断だとは思いますので、そこはやっぱり踏み込んだことは、これだけの被害感情があってそれも被害感情としてはもちろんあると。それは仕方ない、当然のことだと、いう判断が当然背後にあったという風に思います。

・この4年前からずっとご家族の思いというものが、強くぶつけても桂田被告に対して届いてない感じがすごくしていて、ご家族の思いというものが一つ拳が当たったんじゃないかみたいな風に、ご家族にとっては少しは報われたということと捉えていいですか。

内田弁護士)
司法としては最大限気持ちに答えた結論だというふうに受け止めていただければと思います。

・今回の判決は今後に対しても影響はするものなんでしょうか。

内田弁護士)
こういう場合普通は船長、現場の船長の責任が第一次的にって言われるんですが、本件のように陸にいる管理者についても、法律上責任を負う場合があるということを判決が明示した点は大きいと思います。今後の判決はもちろん、現場の運航管理者も自分が現場にいないからということで満足しないで安全管理する必要があるということを改めて認識してもらいたいと思います。

・今後控訴審にもなるということも考えられますか。

内田弁護士)
控訴審になる可能性はもちろんあって、過失は評価の面が大きいので、結論がどうなるかは分からない面がありますが、裁判所としても起きた結果、そして事案の実態をちゃんと受け止めて、高裁でもちゃんとした判断をしていただきたいと、いうふうに思います。

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