【解説】旭川女子高校生殺害事件 なぜ「無期」ではなく「懲役27年」の求刑なのか?元検事の見解を詳しく
2026年 6月19日 19:58 掲載
旭川市の神居大橋から女子高校生を転落させ殺害したなどの罪に問われている内田梨瑚被告について、来週22日に判決が下されます。
懲役27年を求刑した検察側の意図、無期刑ではない理由を、元検事の弁護士に聞きました。地上波の限られた枠では放送できなかった部分まで、詳しくお伝えします。
内田梨瑚被告(23)は、2024年4月、当時19歳の女と共謀して留萌市の女子高校生を車に監禁し、旭川市の神居大橋に連れて行き、裸にさせて暴行を加えた上橋から転落させ殺害したとして、「殺人」、「不同意わいせつ致死」、「監禁」の罪に問われています。
先月から始まった裁判員裁判で、内田被告は「私に殺意はありませんでしたし、橋から落下させていません」と、「殺人」と「不同意わいせつ致死」について否認しました。
▼対立する主張をどう評価?
裁判では、既に懲役23年の判決が確定し受刑中の当時19歳の女が、証人として出廷しました。最も主張が対立しているのは、女子高校生が橋から転落した場面です。
当時19歳の女は「梨瑚さんは、被害者の子の肩甲骨のあたりを、両手のひらで押しました」と証言しています。女の主張によりますと、橋の欄干の上に川のほうを向いて座らせた女子高校生を、内田被告と2人で押して欄干の外側に立たせ、「落ちろ」「死ねや」と2人で何度も怒鳴ると、女子高校生は大きく深呼吸をして上体を前に倒し、その背中を内田被告が押したということです。女子高校生はロープのようなものに掴まったあと姿が消え、「キャー」という叫び声と「バン」という何かにぶつかったような図太い音がしたと主張しています。
一方、内田被告は橋の欄干にまたがっている女子高校生を当時19歳の女と2人で押すと、女子高校生はロープにつかまり橋の欄干の外側に自力で上がってきたと主張しています。「うちら帰るから」と言って女子高校生をそのままにして立ち去ると、後ろで「キャー」という声と「ダン」という音が聞こえたと話しました。
客観的証拠がない中、対立する主張をどう評価するのでしょうか。
元検事の中村浩士弁護士)
「落ちた直接の原因が不明だとしても、もう落ちざるを得なかったんだと、内田被告らの行為のせいで落ちたんだという部分を全体として殺人の実行行為と捉えて評価して起訴している。(それまでの内田被告らの言動の)動画があり、関係者の証言、本人たちの供述から、殺人の実行行為全体としては十分認定可能な事案だと思います」。
▼主犯格か否か?
検察側は、内田被告を「首謀者」かつ「主犯」であるとして、共犯の中で最も重い責任を負うべきだとしています。一方、弁護側は、女子高校生が内田被告に月に5万円を支払うという話でまとまっていたにも関わらず、女子高校生がコンビニエンスストアで助けを求めたなどとして、計画性のない偶発的な事態によって事件が進行したとして、全てが内田被告の責任とは言えないと主張しています。
元検事の中村浩士弁護士)
「様々な弁解が出たとして、やはり重視すべきは客観行動。終始、車から逃がさないようにしている。コンビニで逃げようとした被害者を、暴行まで加えて逃げないように連行しているという見方が、やはり普通だと思います。犯行現場に偶発的要素が重なっていってしまったという弁解は、なかなか採用される話ではないと感じます」。
▼懲役27年を求刑。
ー無期刑ではない理由は?
検察は「心身ともに極限まで追い込むとともに人格の尊厳を踏みにじった挙げ句、最期まで苦痛を与え続けながら確実に死に至らしめ、その痕跡すら残らない方法で殺害しており、極めて残虐・悪質」だとして、懲役27年を求刑しています。
過去に無期懲役となった「殺人」および「強制わいせつ致死」の事案は、いずれも性欲を満たすためのものであり、内田被告は「制裁」のために裸にさせているという目的の違いを考慮すべきだとして、有期刑の最長である懲役27年の求刑に至ったと説明しています。
Q検察の求刑についてどのように受け止め?
元検事の中村浩士弁護士)
「主従関係としては内田被告が主であり、内田被告の求刑を重くすべきである一方で、やっている(犯行の)中身としては実質かなり等しい刑責、重たい行為をともにしているというところで、なかなか差を設けるという要素が難しい事件でもあると思います」。
Qなぜ、無期刑ではなく有期刑の求刑に?
元検事の中村浩士弁護士)
「強盗致死や不同意わいせつ致死になぜ無期懲役が入っているかというと、強盗や性犯罪に死亡の結果が伴いやすいため、それらの犯罪を抑止するために極端に刑を重く定めています」。
「この事件の本質が、性犯罪なのか、あるいは制裁目的での殺人事件なのか。殺人で無期刑あるいは25年を超える求刑というのは、相当なことがないと打てるものではありません」。
「被害者のことを思えば、性犯罪でしかなく、そこは軽視しているわけではないですが、どちらが本質かというとやはり殺人制裁だというところで、無期刑の選択というのは躊躇して有期刑の選択をしたと。無期求刑から有期に認定が落ちるというところを、警戒して回避したかったという検察の狙いがあるのかなと率直に感じます」。
懲役27年という求刑に対し、どのような判決が下されるのか。判決は22日午後3時から、一般傍聴の整理券配布は、午後1時から1時半です。



















