明日は我が街?”負債85億円”北海道室蘭の市立病院が閉院へ…地域医療と行き場失う公務員700人の今後
2026年 7月 2日 18:40 掲載
人口7万2000人。
ピーク時の半分以下にまで減少した鉄の街で
市立病院の閉院が決まりました。
患者
「まさか無くなるとは思わなかったですよね。
市立病院が無くなるという発想はなかったですよね」
「寂しいですね。やっぱり。気軽に自分の悩みを言える」
マチの医療を支える500床以上の市立病院が閉院するのは、
北海道で初めてです。
新井一病院事業管理者
「無念です。僕自身も悔しいし、申し訳ない」
市立室蘭総合病院の職員は公務員です。
原則、失職することのない700人余りの勤務先がなくなる
異例の事態となりました。
新井管理者
「製鉄(病院)で働くっていうことは考えます?」
相談者
「条件見ながら…」
病院事業管理者の新井一さん、63歳。
市立室蘭総合病院の経営トップです。
2028年3月の閉院まで、
病院の機能を他に移す事業や、
職員の再雇用先の確保を担当します。
新井管理者
「地域医療を守っている人間を守れない地域は、
絶対に地域医療なんて守れない」
閉院が明らかになったのは今年2月。
青山室蘭市長
「製鉄記念室蘭病院へ統合することを目指し、
統合後、室蘭市病院事業は会計閉鎖をする。
数年後、室蘭市が財政再生団体に転落するような
危機的状況をなんとしても回避するために
もはや残された選択肢は他にはないとの判断に
至ったところでございます」
負債はおよそ85億円。
公務員として長く働く職員が多く、
人件費比率が民間より高くなりました。
また、公立病院に求められる救急や災害医療など
不採算部門を受け持つため赤字が膨らみました。
市内の総合病院は3つ。
人口減少などを見据え8年前から再編協議を続けてきました。
市立病院が担ってきた脳神経外科や救急など
緊急性の高い医療を民間の製鉄記念室蘭病院に統合します。
新井管理者
「(再雇用相談の)対応者を
事務局の職制の方にお願いをしたい」
事務局長
「事務局の管理職中心にその都度輪番で対応していきたい」
課題は職員の再雇用先です。
市立病院の職員はおよそ700人。
しかし、製鉄記念室蘭病院の受け入れは
300人程度と言われています。
残り400人の受け入れ先は白紙の状態です。
相談に来た看護師
「休みの数とか公務員ならではの手当が充実していたので。
今後何かを我慢したりして選んでいかなきゃいけないのかな」
市立病院の1日の外来患者は平均で500人ほど。
閉院までは、いまの医療を維持しなければなりません。
しかし、4月から先月までに
すでに職員25人が病院を去りました。
薬局では薬剤師が不足し始めました。
5月から当直体制を廃止。
患者の入退院の時期や費用などの相談を担う社会福祉士は
多い時で7人いましたが、2人にまで減りました。
現在、市役所から1人が応援に入って機能を維持しています。
社会福祉士 渡辺勇貴さん
「不安ではありますけれども、
落ち込んでいても仕方ないかなというところで。
入院する患者さんは
日常と違う環境に身が置かれてしまうので、
悩み不安があれば
一緒に考えて支えていきたいなと思っています」
医師(整形外科) 石川一郎さん
「残ってくれたスタッフは
2年後のこともやっぱり考えながら、
でも地域医療のことは
やっぱり見捨てられないなという思いで
みんな残って頑張ってくれていますので。
なんとかなんねえのかなという気持ちは
正直いまだにありますけれど、しょうがない」
新井さんは、就職先を確保しようと
全道の医療機関を行脚しています。
これまでに訪ねたのは30ヵ所以上。
新井一管理者
「雇用枠の拡大ということで今動いているんですけれども、
果たしてそれだけでは
本当に足りるのかということを心配しています。
一人一人の生活、
人生がかかっているのでなんとか希望に沿うように」
新井管理者
「OT(作業療法士)の1人と面談をしたが、
見学に来たいと」
聖ヶ丘病院院長
「もしうちで良ければ大助かりですので、
ぜひ見学に来ていただければ」
交渉でネックとなるのは、
病院が閉じる2年後の就職ということ。
新井管理者
「我々としてもいてほしいということもあって、
採用試験をできるだけ
前倒ししてやってほしいなというのが希望なんです。
じゃないと(2028年)3月31日まで
安心して働けない。
職員を背負っているということを考えると、
どうしてもお願いせざるを得ない。
勝手な、勝手なことだと分かっているんです」
聖ヶ丘病院 副院長 大久保潤一さん
「できる限り協力していきたいとは思っています。
(2年後の)採用の状況は正直読めないことの方が多いので
その状況になってみないと分からないかなと思います」
病院の閉院はマチの経済にも暗い影を落とします。
70年以上続く地場の印刷会社。
市立病院の広報紙や入院案内などの印刷物を
請け負ってきました。
信田印刷 信田有子さん
「うちにしては結構大きな取引先なんですけれどもね。
(閉院の)影響は少なからずというところ。
(売上)の5パーセント以上はありますもんね」
3月に病院事業管理者の任期を終えるはずだった新井さん。
再任をこわれ、
最後まで患者や職員と向き合うことを決めました。
新井管理者
「職員の中にはいろんな意見を持っている方が
いらっしゃると思いますけれど、
それでもまだ僕ができることがあるのであれば、
最後、この病院のシャッターを下ろして終わるのが
仕事なのかなと思ったりして」
Q閉院について
「ちょっとつらかったんですよね。だけどやり切ります」



















