【ヒグマ最前線】「今年は好機…」猟犬ルーツのベアドッグにドローン等…各地の新たな対策は
2026年 7月14日 12:16 掲載
茂みの中からこちら見つめ突然向かってくるクマに、住宅街の道路を車と並走するクマ。今年も道内各地でクマへの警戒が続いています。
札幌市内の今年4月から6月のクマの目撃件数は36件。過去最多の363件の出没があった昨年度の同期間の目撃件数は68件と今年はおよそ半分に減少しています。
札幌市によりますと、昨年度に過去最多の19頭を捕獲したことや、クマの餌のドングリなどが凶作ではないことが減少の理由として考えられるということです。
専門家は、こういった傾向が全道的にも見られる今年を好機と捉えています。
酪農学園大学・佐藤喜和教授
「今年のように静かな年の間に使えるものをいくつか組み合わせながら地域の特性に応じて先進技術からみんなの力を合わせてやるような個人レベル町内会レベルでできることまで組み合わせてやっていくことが大事。」
いま道内各地で進む、あらたなクマ対策を追いました。
「うわ座った、なんで動かないのかな。」
1年前、新聞配達員の男性がクマに襲われ死亡する事故があった道南の福島町。
前田愛奈記者
「住宅が広がる場所と山との間を区切るように電気柵が貼られています。この電気柵はずっと海の方まで続いています。」
町では4月、市街地周辺に5キロにおよぶ電気柵を設置。これまでのところ、設置エリア付近で、クマの出没は確認されていません。
さらに、町内の建設協会がクマの身を隠す場所を少なくしようと草やぶを刈り取るボランティア活動を行うなど、地道な対策もあわせて進められています。
千歳市の林道でクマの痕跡を探していたのは、クマのにおいや気配を察知する特別な訓練を受けた犬=「ベアドッグ」です。フィンランドやロシアでクマなどの大型獣を追っていた猟犬がルーツだといいます。
羆塾・岩井基樹さん
「どこかにクマがいるかもしれない緊張感がある。」
ベアドッグを取り入れたクマ対策の専門家、岩井基樹(いわいもとき)さん。自治体や民間企業からの依頼を受け、2009年からベアドッグと共に活動を続けています。
この日のパートナーはオスの飛龍(ひりゅう)7歳。
羆塾・岩井基樹さん
「一般的なイヌってパニック状態でワンワン吠えたりという風になるけどうちのイヌって全然何?という感じでクマだねっていうぐらいの感じ。」
昨年、マラソンコース周辺の市街地でクマの出没が相次いだことをうけ、今年の開催が中止となった「千歳JAL国際マラソン」。来年の再開を目指し、実行委員会はコース周辺からのクマの追い払いや調査のために「ベアドッグ」を取り入れました。
千歳JAL国際マラソン実行委員会阿部拓真さん
「安全面を重視してランナーやボランティアの皆さんの安全を最大限守るためにベアドッグを取り入れていまして大会期間中にはクマが出没しないような対策を行っていきたいと思います。」
今回のパトロールでは
羆塾・岩井基樹さん
「なんですかね足跡っぽい、結構大きいからクマかもしれない。」
いつクマと遭遇してもおかしくない緊迫感の中、飛龍は特別な役割を担っています。
羆塾・岩井基樹さん
「例えば(ベアドッグの)においだけでもクマはいなくなったりとかする、人間に対して警戒心がなくなっているクマに対して警戒心を植え付けるという作業がうちのイヌの一番の作業です。」
無警戒のクマに匂いなどで恐怖心を植え付けることで、人里に近づくことを未然に防ぐ役割を担っています。
羆塾・岩井基樹さん
「結局捕獲しても入れ替わるだけなんですクマ、むやみにとってしまったらわけにも分からないクマが入ってくるまた別の教育も何もしてないわけですから。」
駆除のみに頼らない、予防対策を伝えるために。岩井さんとベアドッグの活動は続きます。
一方、最新技術を取り入れる地域も。大手通信会社と連携協定を結んだ空知の新十津川町では3月からドローンを活用した対策を開始しました。
役場の屋上に発着場を設置して、行政からの依頼があった際には直ちに離陸。カメラを搭載したドローンがクマを追跡しその位置情報を猟友会や行政へ共有します。
KDDIスマートドローンアカデミー小林寛之さん
「これからフライト開始します、左側のマップに白い線が表示されているんですが、自動でこのルートは機体が飛び続けてくれるので操縦者はカメラの角度や機体の向きのみを変更して周囲の状況を確認します。」
上空から一気に広い範囲を見渡すことで、人間が近づけない危険が伴うようなエリアも監視することができます。更にドローンにはこんな機能も。
KDDIスマートドローンアカデミー小林寛之さん
「事前の設定などで温度領域を設定することで対象物を容易に捜索しやすいような設定も可能です。」
機体のカメラには、熱を検知する機能もありクマが茂みなどに隠れていても見失うことはありません。この日もカメラがシカの姿を捉えていました。駆除の際に安全かつ正確に位置を確認することができるといいます。
KDDIスマートドローンアカデミー小林寛之さん
「上空から見る映像データによって現地に入られる方の安全確認とか周囲の状況を即座に共有できるというような運用の仕方で貢献していきたいなと思っております、弊社としても民間レベルで協力できることをしていきたい。」
動物をパートナーとする取り組みから、最新技術を用いたものまで。住民の暮らしを守るための様々な試みが各地で続けられています。



















