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【北方領土を小説に】芥川賞候補作にも選出 根室市出身の小説家 島への思い

近くて遠い、あの島。北方領土・貝殻島の「いま」を書いた小説があります。

貝殻航路(文藝春秋)
貝殻航路(文藝春秋)

タイトルは「貝殻航路(かいがらこうろ)」。
2025年、第174回芥川賞の候補作にも選ばれ、高い評価を得ました。

小説家・久栖博季さん
小説家・久栖博季さん

「とにかく貝殻島の灯台がずっと心の中にあってそれをいつか書きたいと思っていたんですよ」

根室市出身の小説家、久栖博季さん。小説の主人公の女性、凪が暮らす釧路でこの物語を執筆しました。

「貝殻航路」は釧路と根室を舞台に、ロシアに拿捕されて漁師を辞めた父、突如姿を消したアイヌにルーツを持つ夫、そして孤独を抱える主人公の凪が幼いころに見た貝殻島の灯台の光に導かれるよう道東の歴史を辿る物語です。

「あの灯台の存在を忘れないでいることがこれからも北方領土を忘れないでいることと結びついている、つながっている気がしていますね。」

執筆から3年。「北方領土」を書いた意味を確かめるために。久栖さんは自分の生まれ故郷で小説の舞台となった地を訪れました。

物語の背景にあるのは戦後81年たったいまも解決をみない北方領土問題です。

久栖さんがこの日、根室を訪れた理由のひとつが、元島民の故郷に対する思いを、自分の耳で確かめることでした。

写真左:小説家・久栖博季さん/写真右: 歯舞群島勇留島 元島民・角鹿泰司さん
写真左:小説家・久栖博季さん/写真右: 歯舞群島勇留島 元島民・角鹿泰司さん

歯舞群島勇留島出身・角鹿泰司さん
「島が返ってきたら、実際の島に足を踏みつけて、姉が眠る墓地に行って、まずお参りしたい」

小説家・久栖博季さん
「子ども時代の遊んだ話とか、島から脱出するときの緊迫した様子というの話を聞いたのは初めてだったので、大変心に残りました」

歯舞群島勇留島出身・角鹿泰司さん
「私らの年の人たちがいま頑張っている人は根室では数えても10人足らず。今の後継者の方々にどう伝えていけるか」

納沙布岬からわずか3.7キロ。元島民の思いを聞き、近くて遠いあの灯台を目にし、島を語ることへの責任と意味を感じていました。

小説家・久栖博季さん
「やっぱり書くということは人に広く広がる、広まることだし、何よりも残ることなんですよね。この時代の私が感じている空気感とかそういうものをできるだけ正確に自分の内面に嘘をつかないで実直に書いて残していきたい。」

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