「当時の私が来たかった場所…」眠れぬ夜が続くママたちの駆け込み寺「夜泣きカフェ」の一夜 北海道芽室町
2026年 8月22日 12:20 掲載
十勝の芽室町にあるカフェ。おもちゃや授乳室まで完備されていて、日中は甘い香りが漂う親子連れを含む幅広い世代に人気のカフェです。
ここに週に一度だけ、夜に灯りがともります。
「大きいテーブルをそっちに。」
ここは「おやこのこや」。日曜日の夜にのみ、お母さんと赤ちゃんの居場所、夜泣きカフェに変わります。オーナーを務める野澤まどかさん。自身も、かつて我が子の夜泣きに悩まされた一人です。
おやこのこや・野澤まどかさん
「本当に頭がおかしくなるんじゃないかってずっと泣き続ける赤ちゃんがいて何しても駄目で、当時は本当にしんどかったから私のようなお母さんがどこかに一人でもいるんだったらここを開けていたいんです。」
終わりの見えない夜に悩む母親の助けになりたい。夜泣きカフェの一日が始まりました。
「夜泣きカフェ、必要な時にいつでも、どうぞ。」
静寂に包まれた夜の街に母親がほっと息をつける場所があります。ここは夜泣きカフェ「おやこのこや」。
オーナーの野澤さんは、4歳と1歳の子どもを育てる母親で、普段はカフェの営業をしながらこの場所を開いています。きっかけは、長女の夜泣き中にネット上でみかけた漫画でした。
夜泣きで眠れないママたちが集う架空の施設を舞台にした物語「よなきごや」です。
おやこのこや・野澤まどかさん
「こんな場所があったり、今すぐにでも行きたいのにって思って読んでて、(よなきごやと)同じように開放だけならできるかもしれないと思って当時の私が来たかった場所を開けたいなって思いで。」
夜泣きカフェの営業時間は午後9時から次の日のあさ6時まで。午前0時までは、夜泣きに限らず子育て中のお母さんが集います。
利用者
「8歳と5歳と3歳の(子どもがいます)、自分だけのゆったりとした時間の中で食べるのはすごい良いと思います。」
ボランティアとして、子育てを終えた地域の先輩ママも野澤さんや母親たちを支えます。
ボランティアスタッフ
「私も子育てしてる時あんまり話せる人がいなかったんです、頑張ろうと思って結構張り詰めてるお母さん多いなって思うから、お母さんたちが少しでも心をほぐせたら良いなと思って家がすぐ近くなので参加もらって。」
夜泣きによる慢性的な睡眠不足。専門家は、そのリスクについて指摘します。
こどもの睡眠相談室・川口リエ代表
「睡眠時間そのものが減ることが直接的に抑鬱になるというデータは 世界中で取られていて自分のコントロールができない赤ちゃんを対応するにはすごくストレスがきてしまうのかなと。」
睡眠不足や育児のプレッシャーなどが重なって起こる「産後うつ。実は母親だけでなく、父親も含めて10人に1人以上が発症するといわれています。だからこそ「直接人と会って話せる居場所」が親の心を守るセーフティネットになります。
こどもの睡眠相談室・川口リエ代表
「夜泣きカフェみたいに同じような状況の人とか話を聞いてくれる人に直接会ってお話しするのが1番気持ちも落ち着けますし、やっぱりママの気持ちの安定がお子さんの気持ちの安定になって上手く眠れるということもあるので。」
去年10月のオープンから、ここを訪れた親子は50組。芽室町内だけでなく、隣の音更町などからも母親が駆け込んでくる日もあるそうです。ドリンク代200円を利用者から受け取りますが、行政からの助成金などは受けずに運営を続けています。
おやこのこや・野澤まどかさん
「街のお金を使ってそこに投資していくことが 長い目で見た時にもっと必要な施設ができていくわけで、そこは必要ないですよって予算がつかなくなった時に必要だったはずの場所がなくならないといけなくなる、だから今日中カフェの営業をやってるんです。」
午前2時半すぎ。泣いていたのは野澤さんの1才の次女結(ゆい)ちゃんです。
おやこのこや・野澤まどかさん
「お腹空いた?寝んねする?」
あやすこと30分、結ちゃんはまた夢の中へ。
おやこのこや・野澤まどかさん
「3時ですね、どこかで同じママは沢山いるでしょうね。」
我が子が寝静まったあとも、野澤さんはお店の明かりを落としません。
おやこのこや・野澤まどかさん
「日中来てくれたお母さんがいてお礼されたんです、私もよなきごやの漫画を読んでことがあってこの当時に読んでた漫画が実現してる場所があるんだって思って当時の私が救われたんですって、今に向けてやってると思っていたけど過去のお母さんの救いになる時間になっているんだなと。」
お盆シーズンのためか、この夜、訪れる親子はいませんでした。そんな夜も、この明かりが灯っていること自体が、きっと誰かのお守りになっている。夜泣きカフェの夜は、そっと明けていきます。
午前6時。カフェが閉まる時間です。最後にこれからの想いについて、聞きました。
おやこのこや・野澤まどかさん
「知ってもらえて離れていてもきょう、自分も頑張ろうと思えるようなポジション作りを頑張りたいです。」



















