秋サケ不漁・マイワシ水揚げゼロ 海水温の上昇と「親潮」の弱まりで北海道の海に“異変”か
2026年 9月10日 12:24 掲載
高橋海斗記者
「水揚げされた魚が船の上に上がってきました。勢いよく跳ねるサケを
船の上でその場で締めています」
十勝の大樹町で先週から始まった、秋サケの定置網漁。港から1キロ先の漁場で前日に仕掛けた網が引き上げられました。この日、大樹漁港に水揚げされた秋サケは、漁に出た5隻合わせておよそ6.8トン。歴史的不漁だった去年よりは500キロほど多い数字ですが、決して手放しで喜べる状況ではありません。道総研によりますと今年、道内沿岸への秋サケの来遊量は、過去最低となった去年よりも半減し、およそ365万匹と予想されています。水揚げされた魚には秋サケ以外の姿も―。
高橋記者
「いま取れた魚の仕分け作業が行われています。サケの他にブリやカレイの姿も多くあります」
第八共栄丸・三宅高志船頭
「毎年ブリも増えてきています。今年はフグがいたり、ここ数年はヒラメが増えてきたり前まではいなかったですけどね。海が変わってきていますね」
港町・釧路は実に16年ぶりの異常事態に陥っていました。
高橋海斗記者
「全国有数のマイワシの水揚げ量を誇る釧路港では例年この時期に最も水揚げの量が多くなりますが、港は閑散としています。漁が始まってから2カ月、いまだ水揚げがありません。」
6月に解禁された太平洋道東沖でのマイワシ漁。これまで道外の2隻の
漁船が操業しましたが、解禁から2カ月、いまだ釧路港での水揚げはありません。
地元の人
「異常だね。(例年ならマイワシ漁船で)びっしりだからねここね」
「イワシ釣りもするから(漁船が)来ないとちょっと寂しい」
道東沖のマイワシの漁獲量は、1988年の118万トンをピークにその後、減少。1994年からは17年連続で水揚げゼロ。2010年からは
回復傾向にありました。釧路港での水揚げ量は2023年と2024年は
全国1位。去年は千葉県の銚子港に次いで全国2位でした。
食用のうちおよそ3割が加工品として流通するマイワシ。影響は水産加工会社にも―。
兼由・濱屋高男社長
「もともとイワシに関しても、サンマが不漁になって始めた事業だったんですけど、今月をもって一時休売にしようと思っている」
北海道の水産物をメインに加工する根室市の「兼由」では、出荷する商品の1割ほどがイワシのレトルト商品です。しかし、イワシが入荷できないため今月で店頭での販売を一時休止することに決めました。
濱屋社長
「道産メインで今までやってきていたんですけど、北海道以外、もしくは海外の魚介類も視野に考えていかないといけないのかなと思う」
道内の漁業を襲う不漁の波。北海道の海で、いま何が起きているのでしょうか。
北海道大学低温科学研究所・黒田寛准教授
「1つは魚の量自体が少ないということ、もう1つは魚を取る漁場の環境、水温がいま大きく変化している」
先月25日の海面の水温を表した気象庁のデータでは、北海道周辺は本州に比べ海水温が低いように見えますが、平年との差を見てみると、道東沖やオホーツク海で4度から5度ほど水温が上昇しているのが分かります。
水温が上がる原因の1つが、冷たい海水を運ぶ「親潮」の勢いが弱まっていることだと言います。10年ほど前までは道東沖まで来ていた親潮が、
近年は道東沖を避けて太平洋に戻っていきます。海水温の上昇が原因なのか、冷たい海を好む秋サケは寄り付かず、大群で押し寄せていたマイワシも突如、姿を消しました。
北海道大学低温科学研究所・黒田准教授
「2000年くらいから温かい状態が続いていて心配なのはいま階段を上がったような感じだがもう一段あがるのではないかという恐怖心を持っている。2020年代の道東沖の高水温これは非常に異常」
札幌市中央区の海鮮料理店「うぉんたな」。こちらの店では取れる魚の変化に合わせて、提供する料理も変わり始めています。3年ほど前から提供を始めたのは「ブリ・ニシン丼」。道産のブリとニシンをふんだんに使った海鮮丼は道内外の方から注文が相次ぐ人気メニューです。
うぉんたな 志田渉店長
「近年、イカとかサケが取れなくなってきているので、道産のもので客に喜んでいただけるようなものを出したいと思ってブリ・ニシン丼を作りました」
刻々と変わりゆく北海道の海。海の異変がもたらす波は、私たちの食生活にまで押し寄せ始めています。
オクラホマ河野真也さん
「海水温の平年値が5度高いって、人間もお風呂の温度が5度違ったら気づきますから、魚にも影響は出るでしょうね」
森唯菜アナ
「海の異変としては、北海道のオホーツク海や日本海で近年とれるようになり、水揚げ量は10年で倍増、北海道が全国で1番の水揚げ量を誇るものがあります。フグです。道内でとれるフグのうち9割がマフグで、高級なトラフグとは違い比較的安く取引されています。このたくさんのマフグを課長使用と動き出した自治体もあります。斜里町ではふるさと納税の返礼品としてマフグの商品を設定していたり、網走市ではフグを取り扱うための毒の処理の認定試験の費用を最大で4万円補助しています。飲食店や自治体も海の異変の様々な対策に動き出しています」



















