札幌の住宅街にひっそりとたたずむ創業85年の小さなスーパー 親子で営む老舗店に密着
2026年 9月15日 12:08 掲載
何やら見慣れない名前の野菜に、箱からはみ出すほど大きな野菜も。大根は赤や、中まで緑色のものなど6種類が並んでいます。
札幌・宮の森の住宅街に佇むのは『フーズバラエティすぎはら』。こだわりの品揃えには根強いファンがいます。
杉原俊明社長「食べ応えあると思います。皮を剥いて、種取って飴色になるまで火を通す感じです。」
客「目的のものを買いに来ても、他にもあれこれ新しい商品なんだろうみたいな感じで、どんどんどんどん奥の方に足が進んじゃう。」
個人経営で85年続く、わずか100坪の小さな店。その長い歴史の中には、たくさんの紆余曲折がありました。
スペースが限られた売り場に、こだわりがぎゅっと詰まった品ぞろえの店内。札幌の小さなスーパー『フーズバラエティすぎはら』。
この店の3代目社長は、杉原俊明さん62歳です。
俊明さんは大学で建築を学び、大手住宅メーカーに就職しましたが、24歳の時に実家を継ぐことを決めました。
最初、店を任された俊明さんが実家を繁盛させようと始めたのは『大量に仕入れて、安く売り出すこと』。
杉原俊明社長「しばらくしたらもう全然売れなくなっちゃって。安売りを始めると、周りのお店も対抗措置として、競合店もどんどん安売りをスタートして、体力的にうちなんかは小さなお店でかなわず。」
もう一つ、俊明さんを悩ませたのがお店の立地です。フーズバラエティすぎはらは、宮の森地区の住宅街の目立たないところにあるのです。
杉原俊明社長「なんでこんな場所で先代はやったかなというふうに、ちょっと恨みました。」
立地の悪さに加え、安売りでは競争に勝てない。何度も経営危機を迎えました。そこで方針を180度変えました。価格は高くても目利きの店主が選び抜いた『良いもの』だけをそろえる店を作ることにしたのです。俊明さんは、生産者の声を聞き、その日1番良いものを店頭に並べます。
杉原俊明社長「お芋でも、焼きたいのか、マッシュポテトにしたいのかによって違ってくる。それぞれ性格が違います。お客さんのセレクトに合うものをお渡ししたいというのがあるのとちゃんと確認して買っていってもらいたいそういう思いで品揃えをしております。」
開店前の午前9時。
杉原俊明社長「来た来た来た。またでかくなってきたんじゃない?すごいもう、今食えって。今食べて欲しいって顔してるね。多分ね、糖度が20ぐらい出てると思うんですよね。この顔つきはね。絶対美味しいやつだね。」
この日も農家から直接仕入れたこだわりの野菜が届きました。
杉原俊明社長「なかなか北海道で、美味しい水なすというのがなくて、この方の水なすを食べてびっくりしたんですよ。水分がいっぱいなんで、ずっしり重いんですよ。もう本当取れたてですね。」
客「こだわりの仕入れのお野菜とかって、味がやっぱり全然違う。初めて食べさせるものは、美味しいものからスタートしたいなっていうのがあって。好き嫌いにならないといいなと思いながら、美味しいものを。今日はしゃぶしゃぶ食べます。」
生産者から届いたものを、一番いい状態で提供する。
そんな『すぎはら』に配達をお願いする店も。
この日、近くのカフェに食べ頃を見極めた『秋メロン』をお届け。
杉原俊明社長「これでだいたい1週間以上寝かしています。食べ頃にしてから納品しております。」
こちらが秋メロンを使ったクリームソーダ。旬の果物の魅力が詰まっています。
生産者と消費者、その間をつなぐこと、それが俊明さんが大切にしている店の役割だと言います。そして、もう一つこの店ならではのこだわりが。
客「知らない野菜でもこうやって食べるのかってヒントが書いてあったりするので、参考にしてます。」
店内に並ぶ、手書きのポップ。食べごろや、特徴が詳しく書かれています。そんな「知って」「選べる」楽しさがお客さんを引き込みます。
このお店には、頼もしい後継者がいます。俊明さんの息子、一成さん36歳です。店長を務めています。一成さんが担当するのは調味料や、菓子類などの食品類。
杉原一成店長「醤油はお湯でちょっと割ってから飲んでみると、すごいそれぞれの良さが
際立って面白いんですよ。香りとかそのお醤油の特徴とかをよく感じやすくなりまね。」
一成さんも自分の舌で味を確かめたものを、全国各地から仕入れています。
杉原一成店長「こちら秋田の伝統調味料で塩こうじみたいな使い方ができるんですけど、塩こうじより甘みと旨みとコクが強いんです。」
父が野菜や果物を、息子がその他の食品を。目利き力で選んだ逸品が並ぶのがここ「すぎはら」の魅力です。
杉原一成店長「もともと食べるのが好きなので、新しい商品とか美味しいものにいっぱい出会えるので楽しくやってます。」
地域の人に支えられ、親子でつないできたマチのスーパー。
その先に見据えるのは。
杉原一成店長「なんとか目標の100周年を目指して頑張りたいです。」
経営危機を乗り越えて創業85年。地元に愛される小さなスーパーの挑戦は、これからも続いていきます。



















