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高齢者ケア編(2) 認知症の注目ケア ユマニチュード
2015年11月24日放送
65歳以上の4人に1人が患者とその予備軍とされている「認知症」。
いま、認知症のケアの方法として注目されているのが【ユマニチュード】という手法です。
フランス人専門家が考案したケアで「4つの動作」を軸とします。
まず、「見る」。
正面から見つめ、視線をそらさず優しい眼差しを送り続けます。
そして、「話す」。
話すトーンは穏やかな声で。
「これから手を洗います」「温かいお湯が出ますよ」といったように
いま何をしているかを実況中継のように、優しく語りかけるのです。
さらに、「触れる」、「立つ」。
相手に触れる時は、手や腕を上から掴まず、下から支えるようにします。
そして、出来る限り立って歩くことで筋力の低下などを防ぎます。
これらを徹底することで、症状は穏やかになっていきます。
そして、何より尊重しなければならないのが「人間らしさ」だということです。
釧路のグループホーム「さんぽみち」。
入居者の一人、布施英子さん(84)は8年前に認知症を発症しました。
この日、職員は布施さんをお風呂に誘うが「疲れている」と乗り気ではありません。
このとき、職員が「ユマニチュード」を実践します。
すると、布施さんは数十分後には明るい笑顔を取り戻していきました。
門田克己さん(82)の症状の特徴は「徘徊」です。
この日も突然、外へ出ようとするが職員はそれを止めようとはしません。
そこにはユマニチュードの根底にある思いがあったからです。
門田さんは、後からゆっくりついてきた職員を見つけると、自分から戻っていきました。
ユマニチュードの実践で入居者がいきいきと暮らす「さんぽみち」。
「人間らしさ」を大切に思う気持ちが入居者の心を開くことにつながっていました。