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介護職員の厳しい現状...道内の給与水準と待遇改善への課題
2016年2月 1日放送
札幌で行われた各企業合同の就職セミナー。
道内の有効求人倍率も上向きとなり、各ブースとも賑わいをみせるなか、
ほとんど学生の姿がないブースがありました。
介護事業所のブースです。
いま、介護の現場で介護福祉士の不足が深刻な問題になっています。
厚生労働省の試算では今から9年後には介護の人材が
全国でおよそ37万人、道内では1万2千人余りが不足すると予測されています。
介護職のイメージに対する世論調査を見てみますと、
マイナスイメージである「夜勤などがありつらい」「給与水準が低い」などが
多くを占めていて、「辛い仕事」というイメージが根強くあります。
この状況に札幌市は今年度から、
介護職を志す人と事業所側をつなげようという体験ツアーを開催しています。
これまでに5回実施し、のべ35人が参加しました。
しかし、賃金をみますと介護職員の給与は全国平均で月額23万8400円。
全ての産業の平均と比べるとおよそ10万円低い金額です。
道内の平均賃金はさらに低く、19万9091円です。
札幌市は「施設の収入源が限られているというのが原因。
介護報酬を引き上げるしかないが一足飛びには変わらない」と話しています。
一方、厚労省は現在、介護職の人材について
経験や資格に応じたキャリア段位制度導入を検討しています。
介護の仕事内容を客観的に判断できる指標を取り入れることで、
待遇の改善をしやすくするものです。
札幌の就職セミナーでは漫画の冊子を配付するなどして
介護福祉士の仕事を紹介しています。
従来のイメージにとらわれず、
介護福祉士を正しく知ることが人材不足に歯止めをかける一歩となりそうです。