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地域で守れ!行方不明の"認知症"高齢者
2017年7月 5日放送
認知症で行方不明になる高齢者を、地域ぐるみで助けようという町がある。
長沼町だ。行政と住民の連携プレーが、88歳の男性を救った
長沼町に住む会社員の男性(42)。
先月、認知症とみられる88歳の男性を保護したことで、栗山警察署から感謝状が贈られた。
男性は栗山町の会社に勤めている。
6月26日、会社の事務所に1枚のファクスが届いた。
「長沼町の88歳の男性が自転車に乗って行方不明になっている」という知らせだった。
長沼町では警察に届け出があると、行方不明者の特徴などを書いたファクスを、近隣43の会社や介護施設などに送り情報提供を求めている。今年4月から始めた「長沼町SOSネットワーク」だ。
その日の午後9時半ごろ、男性が車で帰宅している途中のことだった。
「ずいぶん遅い時間に、人が自転車に乗っているというのが最初の印象。近くなってくると年配の人で自転車の特徴が(ファクスの情報と)似ている気がしたので、気になって戻ってみました」(男性の話)
街灯がない暗い夜道。男性は車から降りて、歩道でノロノロと自転車をこぐ高齢の男性に声を掛けた。
「大丈夫ですか?と声を掛けたら、ちょっと遠くまで来ちゃってという話でした。住所を聞いたら(自宅まで)結構距離がありました」(男性の話)
名前や電話番号については答えられない。男性は行方不明者だと確信し、すぐ役場に通報した。行方不明から9時間半。自宅から5キロ以上離れた場所で高齢男性は保護された。
「その日結構寒かったので、もし声をかけていなかったら、万が一ということもあったかもしれません。(助かって)良かったです」(男性の話)
道警によると、認知症またはその疑いで行方不明になった人は、統計をとり始めた2012年には年間150人だったが、2016年は308人になった。4年で倍増したのだ。
2016年の308人のうち、295人が発見されたが、25人は死亡していたという。
長沼町の「SOSネットワーク」。
行方不明者の情報提供をファクスで呼び掛ける取り組みは、道内で広がり始めている。