嬉野です
「水曜どうでしょう」が今年で放送開始から30年だと騒いでいたら、なんとLAWSONさんは創業50周年だそうで、これはとんでもなくおめでたい。
我々「水曜どうでしょう」とLAWSONさんとの出会は2003年から始まった「水曜どうでしょうDVD全集」の発売がきっかけでした。
全国には、「水曜どうでしょう」DVD全集が出るなら買いたいぞ!という人がたくさんいることは分かっていましたが、HTBのような北海道の弱小ローカルテレビ局に全国に広がる販路なんかないわけですよ。
そこへ、「うちの店舗内にあるロッピーを使ってDVDの予約販売をされてはいかがですか」と、手を差し伸べてくれたのがLAWSONさんだったのです。これは真にありがたかった。
LAWSONさんだったら店舗は全国いたるところに展開しています。しかも24時間営業です。そんなLAWSONさんが、予約からDVDの受け渡しまでやってくださるというのです。
オマケにロッピーは予約のときに入金するシステムですから取りっぱぐれがない。
これは魅力!
2003年当時我々は、HTBの「水曜どうでしょう」ホームページの日記と掲示板で、全国に散っている顧客の皆さんに毎朝日記でご挨拶をし、掲示板で皆さんと語らいながらコミュニュケーションを密にする活動に、番組制作同様に多大な精力を傾けていましたから、顧客の皆さんと我々との情報共有の太いパイプは既に作り上げていたのです。
そこへLAWSONさんの店舗とロッピーという販路を得たことで我々のDVD事業は万全の体制となりました。
私はさっそくHTBの坂の下にあった(旧社屋)LAWSONさんの店舗へ出かけ実地に店舗内のロッピーをおっかなびっくり操作してみました。
だって近い将来、我々の「水曜どうでしょうDVD」を予約する顧客の皆さんの中にはロッピーを使ったことのない人も多いはず。その人たちに「気後れして予約に行けません」などと言わせるわけにはいかない。
だからわたしは、ロッピー初体験の顧客の気持ちになって、そのとき特に欲しいわけでもなかった商品を購入しながら(いやもちろん、ロッピーの商品がLAWSONさんこだわりのグッズばかりであることは承知しております、でも)、私はロッピーの操作手順を実地に確認していったのです。
そして間違いそうなポイントやら忘れそうな必要事項やらを逐一洗い出し、翌朝、さっそく番組ホームページの日記に、怖いことなんかひとつもないロッピー操作方法をイロハのイからうるさいほど懇切丁寧に書き記したのです。
そして全国数十万の顧客の皆さんに、ロッピーでのDVD予約の心構えを手取り足取り伝達したのでした。
それはまだ、スマホなんか影も形もなかった、誰もがガラ携とパソコンでインターネットにぶら下がっていたネット草創期の頃の話です。
そしてDVDの予約が近づくと、私は顧客の皆さんを景気づけようと日本の伝統にのっとって赤穂浪士の討ち入りよろしく「おのおのがた!明日の朝10:00から、いよいよ水曜どうでしょうDVDの予約が始まりまするぞ!とうとうその日はやって来たのでございます!目指すはLAWSON屋敷のロッピーただひとつ!かたがた!遅れをとりませぬよう!LAWSON屋敷にて本懐を遂げられますよう!ドンドン!」と、まぁ単にLAWSONさんに入ってロッピーで予約するだけのことなんですけどね、私は、「LAWSON屋敷へ討ち入りじゃ!」と、赤穂浪士に見立てて日記でさんざんに顧客の皆さんを煽ったものでした。たんなる行為を世界観のある物語へと見立てることは大事ですから。
加えて予約開始の夜と、そのDVDを受け取る夜には、「水曜どうでしょう」ホームページの日記と掲示板で、BBS祭というイベントを開催しましたよね。
まぁ具体的に書けば、私1人が深夜のHTBに居残って、夜通し会社のパソコンの前で孤独に全国の顧客の皆さんと掲示板で静かにコミュニュケーションをしていただけでしたが、
でも、始めてみればこれが正直、孤独でもなかったんですね。
顧客の皆さんが掲示板に投稿してくるテキストの文面は、どれもこれもたぎっていましたから。
だから、むしろ私は、深夜、会社のパソコンの前で、ひとり、胸を熱くしていましたよ。
だってね、「DVDを受け取りました!」という、皆さんからの喜びの声が夜通し掲示板に寄せられてくるんですもん。
でも、あの夜、顧客の皆さんは、何かを実感したのかもしれませんね。
つまりです。
我々は、番組ホームページで既に顧客の皆さんと脳では繋がっていました。でも、LAWSONさんの協力で、
LAWSONさんのロッピーでの予約と店舗でのDVDの受け渡しを得たことで、そこに、ひょっこりと肉体を得たような気分が顧客の皆さんの中に生まれたんじゃないだろうか、ということです。
そうです、それこそ日本中のいろんな町で「水曜どうでしょう」を見てくれていた名も知らぬ顧客の皆さん方が、DVD受け取りの日に、パソコンのある自室を飛び出して、家の近所という世間で火を灯すコンビニLAWSONの店舗に出向いて、そこでLAWSONの店員さんから「水曜どうでしょうDVD」を渡されたとき、不意に顧客の皆さんは、初めて我々からじかに番組DVDという具体的な物を受けとることができたと、そうイメージすることができたのではないでしょうか。そして、そのイメージがもたらす温もりが嬉しく思えて、すぐ手元の携帯から私の見守る夜更けの掲示板へ書き送りたくなったのかもしれませんよね、
「DVD、今、受け取りました」
「ありがとう」と、
まるで、我々の手から受け取ったものであるかのようにです。
それを思えば、DVD事業をはじめようとしたあのとき、LAWSONさんが名乗りを上げてくれなければ、「水曜どうでしょうDVD全集」の販売は、こんなにも遠大な時間のなかをここまで熱気を失わないままには続かなかったかもしれませんよね。
そんなことを、あれから23年も経った今、私はこのテキストを書きながら気づいた気がして、今ちょっと嬉しい気持ちです。
LAWSONさん、創業50周年おめでとうございます。
そして、本当にありがとうございました。心よりお礼を言います。
これからも、どうぞよろしく。