「今さら!」と言うなよ。
「とりあえずこの前の第6夜からでいいですが・・・」と寝ぼけたことも言うなよ。
きっちり3週前の分から書くぞ。
「すると、まだ興奮さめやらぬ荒々しい男の話は、またずいぶん話題も冷え切ったころに書かれると・・・」
と、いうことも言うな。
さぁ、第4夜。
「グレイリング飯」をおみまいされた翌朝、3日目の朝からのお話だ。
やけにハイテンションでメイプルシロップをかけまくる大泉さんから、この日はスタートした。思い出したか?
この日は約25キロを漕いで、「フータリンカ」という場所へと到着した。
もう到着したぞ。
「パイク釣り」やら、「ピートメインの画」なんて話題もあったが、ここではもう「到着!」。
この「フータリンカ」というキャンプ地には、ゴールドラッシュ当時の警察署、いくつかの人家らしき建物が、残っておりました。
軒先には、「今ちょっと乾かしてんですよぉ」ってな感じで、フライパンが、ぶら下げてあります。もちろんサビだらけなんだけど、100年近く前の「生活臭」が、今も匂ってくるような場所でございました。
と、ミスターから声が上がりました。
「なんでこういうことするかなぁ・・・」
「なんだい?」
見ると、建物のそこらじゅうに「落書き」がございました。
それもすべて日本語。
「名前」が大きく書いてある。
でっかく「川崎カヌークラブ」って所属組織の名前も書いてある。
「あぁ・・・」
それまで盛り上がっていた我々は、なんだかとても悲しくなりました。
ユーコンにやって来る「自然派カヌーイスト」を名乗る日本人の多くが、結局「カヌーの聖地」を汚してんだ。
「多くが」と書いたが、そう思われて当然!というほど、そこいらの観光地より、ひどい落書きだった。
大泉さんは、「おい!全部消すか!」と息巻いていたが、自然派を自認する爆笑王は、「ははは・・・」と力ない笑いしか返せなかった。
もう!話は「その日の夕食」だ。
シェフ大泉「奇蹟の料理」だ。
「さぁ!今夜もシェフのお料理を!」と盛り上がるどうでしょう班の横で、いつのまにやら日加ガイド連合は、そそくさと、鍋に湯を沸かし、米をとぎ、フライパンをジュージューに焼き始めたのです。
「おっ・・・もう準備をしてますよ、あちらは・・・」
「おやおやおやぁ?」
しかし考えてみたら、そりゃそうだ。ガイドおふたりは、我々の命を預かる身。
自らを「シェフ」と名乗り、釣り上げた生臭い川魚を、米といっしょに炊き上げて、「グレイリング飯」などと命名し、あげくヒゲ男に「おまえ殴るぞ」と罵倒される男に、大事な料理など任せられるわけがない。
ガイド連合は結託し、
1.やつが魚を釣る前に、まず米を炊け
2.絶対にチキンは渡すな
3.渡していいのは、昨日の残りのブロッコリー
という日加調理協定を、いつのまにやら締結していたのだ。
結果、日本陣営に残された食材は、事前に用意した「カレーライス」「五目ご飯」「しじみ汁」「マーボ丼」「牛丼」「カツ丼」などのインスタント食品、そして「ブロッコリー」。
「かつてない厳しさ・・・」
「まぁ・・・五目ご飯に、ブロッコリー入れて、六目になるぐらいなもんだよ・・・」
「いや!そこを大泉さんなりのアイデアで!」
言ってはみたものの、
(別にもうピートのチキン食ったし・・・いいけど)
というのが本音だ。
悩んだ挙句、シェフの編み出した料理は、
「ビーフカレー&ライス」「ドライカレー」(放送ではカットしたが、これも投入していた)「ブロッコリー」入りスープ。
「ブロッコリー」入り、「マーボ丼」+「牛丼」+「カツ丼」風味チャーハン。
以上の二品。
結論だけ言おう。
まさに奇蹟だった。
スープは、食後「こらえきれない激辛感」に襲われ、「さすがシェフ!」と、その夜再び喧嘩となったが、チャーハンは、信じられないことだが「美味かった」。
ミスターは「ぼくは好きじゃないけど・・・」と言ったが、私は美味かった。
つまり、チャーハンのくせに「甘さ」があるのだ。
言うまでもなく「カツ丼」の玉子の甘さだ。「牛丼」にもほのかな甘さがある。
それが「マーボ」の辛さと喧嘩することもなく、というかお互い知らん顔で、てんでに味を醸し出しているわけ。
つまり全部の味がいっしょにするんだ!
いや!説明してもわからんから、「作れ」!
決して「食えないものじゃない」。
美味いかどうかは別にして、食えなくもないぞ・・・。
ん?・・・そうだ。
なんだよ!考えてみれば、「グレイリング飯」なんて、とんでもねぇもの食わせやがったから、もう「食えるもん」だったら「奇蹟だ!」と思ったんだオレは。
そうだ!別に美味くもなかったぞ!あのチャーハン!