5月9日放送 「中米・コスタリカで幻の鳥を激写する!」第4夜

藤村  | 2001. 5/10(THU) 14:26


 「もう・・・もう先生早くシャッター切ってください!」

 「う・・・撃ってください!撃ってください先生!早く!」

 大泉さんが、バズーカを小脇にかかえてハナジロハナグマを追う後ろ姿に向かって、「撮ってください!」ではなく、思わず「撃ってください!」という言葉が出てしまいました。

 決して笑いをとろうとか、そういう気持ちで言った言葉ではありません。

 必死だったのです。

 6時間以上もジャングルの中を歩き回り、その最後に、たいへん愛らしい顔をした小動物が突如現れた!それも至近距離!

 「これはいい写真が撮れる!」

 誰もが思いましたよ。大泉さんも必死だ。

 ギュイーン。バズーカが天空を突き、大木の陰から顔を出すハナグマに狙いを定める。

 が、次の瞬間!

 「標的」はこともあろうに下へ降りてくるのだ。こっちへ向かって来るのだ。

 直後、大泉さんはバズーカを抱え、標的とは反対方向へ走り出す。

 不思議な行動とも思えるが、実は違う。

 600ミリ砲の焦点距離は、最低12メートル。つまり、12メートル以上離れないとピントが合わないんだ。

 「そんな馬鹿な!近づけば近づくほど迫力のある写真が撮れるだろ!」

 そう思いましたよ、私も。

 ミスターなんか、ハナグマが目の前を歩いてた。
 ミスターにしたら、じれったくてしょうがない。

 だって子供の運動会撮るより簡単だもの。
 
 想像してごらんよ。

 「よーいドン!」っつって向こうから走ってきた娘が、こともあろうに、ニッコリ笑って、ポーズとっってんだ。目の前でだ!徒競争の最中にだ!
 
 「おとうさん撮って!」なんて言ってんだ娘が。

 
 「ぬぅおおおーっ!撮るぞ!撮るぞ!なん枚でも撮るぞ!おとうさんは撮るぞぉーっ!」

 「あなたッ!撮って!早く!早く!」

 「ぬわっ!しまった!近すぎる!ピントあわねぇっ!」

 「なに言ってんの!いいから早く!」

 「ぬ・・・ぬッ・・・ぬわぁーッ!」

 「どこ行くのーッ!なんで!なんで後ろに行くのよーッ!いいから撮って!撮って!あなたとってぇーッ」

 そんな感じだ。こっちはカメラのことよくわかんねぇから、

 「いいから撮って!」だ。

 しかし、大泉さんは、ハナグマとの距離12メートルを測りながら、走る。

 娘の笑顔を目の前にしたミスターは堪えきれず悲痛な叫びを上げる。 
 
 「もう・・・もういいからシャッター切ってください!」

 娘だって徒競争の真っ最中だ。いつまでもおとうさんの前でポーズとってたら先生に怒られる。

 ファインダーを覗くことすらままならない大泉さんも、ついにバズーカを小脇にかかえたままハナグマに狙いを定める。

 中腰だ。いい姿勢だ。腰をぐっと落として、バズーカはへその位置だ。

 「撃ってください!」

  ドーン!

 「撃った!撃った!撃った!撃った!」

  もう一発だ。

  ドーン!

 ・・・結果は、ごらんの通り。写ってたのは、葉っぱだ。

 どこ撃ったんだか。

 ロッジに戻り、疲れた体を休めるヒマもなく現れたのがキツツキだ。

 もうこっちは、動物写真の虜だ。目の前に来たやつは、もうなんだって標的だ。むこうだって打ってる。

 「撃て!」

 ドーン!

 んでまた、ジャングルなんかより、ロッジの前で待ってた方がよっぽどいろんな動物がやってくる。

 サル。

 嬉野くんが、地面にカメラを置いて、三脚を直してる時。その後ろでは、ミスターと私がサルを探して走り回ってる。

 「絶対いるなぁ・・・」なんて声が漏れ聞こえる。

 視聴者はおいてきぼりだ。だって、地面に転がされてんだもの。映ってんのは、嬉野くんの足と写真家の足だ。

 「ななな・・・なんですか?どうしました?このテレビ」

 そこに、突如私のうわずった声が飛び込んでくる。
 
 「せせ・・・先生!先生!サ!サルです!サルです!」

 「・・・と!撮れ!」

 カメラを慌ててひっつかむ嬉野くん!

 「お、おいおい!」

 見てる方も、嬉野くんに首根っこつかまれたみたいなもんだ。

 「い、いやいやいや・・・サルですか?慌ててるけどケツァールではないんですね?」

 そうなんだ。ケツァールじゃなくても、あの慌てぶりだ。

 

 そういえば、サルを一発も撃てなかったことを、大泉さん悔やんでましたねぇ。

 「サルの写真が撮れなかった」という意味ではなくて。

 あんだけ引っぱったんだから、バラエティーの流れとして「結局なんも写ってなかった・・・」ぐらいの「オチ」をつける意味で、一枚ぐらいシャッターを切っておくべきではなかったか・・・と。

 でもあの場では、「葉に隠れて姿が見えないサル」には、どうしてもシャッターが切れなかったらしいんだね。

 私も編集していて、「あぁ大泉さん・・・一発ぐらい撃っといてくれれば、もうちょっと派手になるのになぁ」なんて思いましたよ。一瞬ね。

 そしてインコ。

 粉々になっちゃった。

 文字通り「撃った」わけ。

 そういえば、でも「撮影する」って英語で「shoot」(シュート:撃つ)って言いますなぁ・・・。

 そんなことを言ってたら嬉野くんが、むかし東京で遊園地の撮影をしてた時の話をしてくれました。

 鉄塔かなんかの上から、遊園地の乗り物を撮影しようとしてたんだって。

 そしたら、ちょうど撮ろうとしてる所に外国人の家族連れが、入り込んできた。

 むこうはこっちに気づいてないから、カメラマンが大声で、

 「シュート!ナウ!」

 って叫んだら、横にいた日本人の家族が慌てふためいたそうな。
 
 そりゃそうだ。鉄塔の上から「今から撃つぞ!」って叫んでんだから。


 さて、長くなりましたが、次回の放送は5月30日の大相撲明け。

 「なんだよ!結局ケツァールどうなったんだよ!」

 ごもっとも。

 「モンテベルデにもケツァールはいない!?」

 「どういうことだ!」

 どういうことなんでしょう?

 引っぱります。2週間引っぱります。

 次回から一気にクライマックスへと登りつめます!



 

 

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