更新が遅れましたぞ。
なにせ3ヶ月以上放送した「対決列島」。その最終回を編集しておったのだ。力も入るし、肩もこる。
で、先週の放送。
車中にこもること5日目。
各人の知能指数も著しく低下するころあい。やはり、始まるのである。口汚い罵り合いが。
しかしこれは、我々だからこうなるのではなく、男5人、狭い車中に閉じこもって5日も経過すれば、万人に起こりうる必然である。
フェリーの中で、ひとしきりアップ画面を楽しんだ後のことだ。
私は、番組の流れを見つつ、あれこれと対決の種目、決戦場、すさんだ心を癒す温泉宿の選定に余念がないという状況下、のんきな男がひとり「明日は鹿児島でラーメンを食って帰る」だの、「熊本通るんなら、熊本ラーメンも食いたい」だのと、ひとりごとのように、しかしキッチリと「おいヒゲ聞こえてんだろ」と言いたげなトーンで、ぶつぶつ言っておる。
まぁ、ハナっから相手にするつもりなどないが、あまりにうるさいので、こう言ってやった。
「おまえ、あした昼12時の飛行機で帰るんだぞ。その前に最終決戦もせにゃならん。いつ、ラーメン食う時間があるんだ?」
「・・・。」
「ねぇだろ?すずむしぐらいの脳ミソしかねぇから、そんなことしか言えねぇんだ、おまえは。」
すずむしだ。この微妙な形容は、どうだ。
フェリーの中で言われた本人も、当初、怒る気力さえ失った。
で、こっちは、ようやく「すずむしも鳴き止んだか、やれやれ・・・」ってなもんで、「さて九州対決はどうするか・・・」などと、引き続き緻密な演出プランへと、思いを馳せたわけだ。
しかし、食い物のことになると「番組の流れなど知ったことか!」という、いやしい系タレントは、無い知恵を絞って、こう言ってきた。
「しかし藤村くん、ラーメンというのは数字を取れるぞぉ。熊本ラーメンなんて、みんな知らないんじゃないかな?ねっ、よ~く考えてごらんよ」
よく考えてほしいのは、おまえの方だ。
言いたかったが、とりあえず話しを聞いた。
「おや?あんまり乗り気じゃない。じゃじゃじゃじゃじゃぁ!こうしよう。ぼくが、おもしろい食べ方をして、視聴者を爆笑の渦に巻き込んでみようじゃぁないかぁ!えぇ?どうだい!」
さすが、すずむしともなると、もう言ってることがわからない。いったいどんな食べ方をするつもりなのだ。
「うはははは!おもしろい食べ方?見たいですぞ!」
みたいな反応を期待していたのだろうか?
明らかに「ラーメン食えるなら、もうなんだって言っとこう」ぐらいの浅知恵だ。
「ダメですか?そうですか・・・ふんっ!」
すずむしは、一声鳴いて、またパラパラと雑誌をめくり始めた。
フェリーの中では、もうそれっきり鳴かなくなった。
しかし、九州に上陸し、VTRが回り出すと、再びチリンチリン言い出したのだ。
「おまえ、さっきオレのこと、すずむしの脳ミソっつったろ」
あとは、ご覧の通りの子供のけんかである。
さて、知能指数がさらに低い男もいた。
なにがきっかけだったか、そんなこと覚えちゃいないが、一番後ろの席から猪木さんの雄叫びが聞こえてきたのである。
彼は、熱狂的なプロレス・ファンだ。今回のロケに持参した彼のTシャツは、すべて「プロレスもの」である。
中には、件の猪木氏が、こちらに向かって3本の指を突き出してる、なんてTシャツもあった。
「い~ち!にー!さ~ん!」の「さ~ん!」の瞬間をモチーフにしたイラストだろうが、そこまで行ったんなら「ダーッ!」にしてくれという、もどかしいTシャツである。
この日は、「闘魂・猪木塾」と染め抜かれた赤いTシャツでの参戦だった。だから、というわけでもないだろうが、ひとり猪木口調で嬉野くんにつっかかっていたのである。
「佐賀の名物は、なんですか」
「はぁ?」
「佐賀にいいとこあるんですか」
「・・・」
「なんとか言えッ!」
もう、バカの相手に指名された嬉野くんは、かわいそうである。
「有田焼とかありますけど・・・」
まじめに答える自分もバカに見える。
「有田焼?あぁ・・・有田焼ねぇ・・・」
「・・・」
「有田焼は・・・燃やしますか」
もう、バカに真似された猪木さん自身も気の毒だ。
さっぱり質問の意図がわからない。
「焼きというぐらいですから、燃やすんですね?」
バカは、それでも会話を続けようとしたが、だからといって、なんと答えればいいのだ。
猪木さんは、続ける。
「元気があれば、なんでもできる・・・」
「・・・」
「みなさん・・・元気ですかーッ!」
雄叫びは響くものの、もはや答える者はいない。
そして、九州対決。白熊を前に最後の大一番である。
ミスターの奥方は忙しい方で、だんなよりも家を空けることが多いという。そんな奥様に、大泉さんが聞いたことがある。
「ミスターの食事とか、どうしてるんですか?」
「あぁ、スイカ置いとけば、文句言わないひとだから」
「!・・・」
もはや、すずむしはミスターだったのである。
奥様が留守の間は、スイカを食って生きているというほどのスイカ好きだったのだ。
だが、しかし私もスイカ好きである。
お互い得意技でのぶつかり合い。好勝負が期待される。
スイカ合計8枚。ほぼ1個分。
画面では、わかりづらかったが、大きさはかなりバラツキがあった。
私としては、「それぞれ等しい大きさ」での勝負を思い描いていた。「手に汗握るガチンコ勝負」をやってみたかったわけだ。
ところが、ミスターの提案だ。
「スイカを選ぶのは、副将に任せましょうよ。ジャンケンで・・・」
ゲーム性だ。テレビ的には必要だ。さすがミスター。
さすがの安田さんも、ジャンケンなら・・・と
甘かった。
どうだ!やつの天才ぶり!
1回目は勝った。喜んだよ。しかし、あの野郎は、3番目に小さいやつを取りやがった。
でも・・・まぁいい。次も勝てばいいんだ。
甘かった。激甘だ。
4連敗だ。そのあと全部負けたんだ!あいつは。
もう、ここまで来ると「ヤラセじゃねぇか」と思われてもしょうがない。しかし、断じて言う。
「本当だ!あいつは、もう本物なのだ!」
結局おれは、一番太いやつ、2番目に太いやつ、3番目に太いやつ、そして3番目に薄いやつを食うハメになった。
「あぁ~魔神苦しそうです!」
「魔神!魔神!がんばれ魔神ッ!」
必死な声援を耳にしながら、こう思った。
「なにががんばれだ。全部おまえのせいじゃねぇか」
さて!次週いよいよ「最終白熊決戦」です。
大魔神が生まれるのか!エンペラーが誕生するのか!
ハワイか!川下り200キロか!
最後まで、ご覧ください!
エンディング「自動車ショー歌」も、ございます。