ふるさとを繋いでいた鉄道が断ち切られた。
赤字ローカル線に復旧費用が重くのしかかる。
それでも、列車は走り出した。
住民たちの “日常”を取り戻すために・・・。
3月11日。大津波に飲み込まれ、駅舎は跡形もなくなり、高架橋や線路はずたずたに寸断された。住民から“三鉄(さんてつ)”と親しみを込めて呼ばれる岩手県の三陸鉄道。入り組んだ沿岸部を走る三鉄は、震災からわずか5日後、“復興支援列車”として一部の区間で運転を再開した。「三鉄が動いていれば、いつもの生活ができているという気持ちになってもらえるのでは…」運転士は祈るような気持ちで語った。通学、通院、買い物…。三鉄は赤字を抱えながらも、地域の足として走り続けてきた。1984年の開業以来、三鉄を利用してきた漁師は、村中の人たちが集まって一番列車に旗を振ったあの日のように、三鉄が復活する日を心待ちにしている。家も仕事も、津波で大切なものを奪われた人たちにとって一筋の光なのだ。赤字ローカル線の三鉄は、国の支援がなければ全線を復旧させることは不可能だ。それでも、瓦礫のまちを走り出した。地域住民の希望を乗せ、“復興への鉄路”となることを信じて。
- ナレーター
- 桑島 法子
- 撮影
- 図司 祐介
- 音声
- 永井 孝典
- 編集
- 角田 朋美
- 音響効果
- 宮田 友紀子
- ディレクター
- 金子 陽
- プロデューサー
- 数浜 照吾