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レポート

スタルヒン スタルヒンが生まれたところは、ロシアのウラル山脈の東側にあるニージニタギールという場所。モスクワから東に空路2時間半のところに位置するエカテリンブルグから更に車で北に2時間走ったところにある製鉄業が盛んな街である。モスクワからおよそ1800キロも離れている。そこで1916年スタルヒンは誕生し、2歳まで過ごした。その後ロシア革命に巻き込まれ、両親とともに離れて以来、スタルヒンはこの地を訪れていない。スタルヒンが生を受けたニージニタギールとは一体どんなところなのか、今回テレビでは初めてスタルヒンの誕生した街を訪問した。11月上旬でも気温はマイナス10度を下回るほど寒い土地であった。煙突が並ぶ工場からは白い煙が立ち昇り、古い街並みと新しい団地が混在する。凍った湖では釣りを楽しむ人が目立った。

スタルヒン両親と 「スタルヒン」は決して多い名字ではない。ニージニタギールで「スタルヒン」姓の方を探したところ、一軒の夫婦にたどりついた。「スタルヒン」姓の夫婦で、ご主人は28歳。スタルヒンとその両親の写真を見せると、興味深く見つめ、スタルヒンの父親を指差しこう言った。「私のひいおばあちゃんに似ています」。この夫婦は、ロシア革命でニージニタギールを追われた自分の親族かもしれない一家のことは知らなかった。そのころの出来事は、封印されたかのように親から聞くこともなかったという。もちろん日本で大活躍した投手・スタルヒンのことも知らなかった。スタルヒン夫婦は「投手スタルヒン」のことを知らされると驚いていたもののすぐに笑顔に変わった。「この地に生まれたスタルヒンが日本で活躍したことを誇りに思います」
ニージニタギール スタルヒンが生きていれば今年で88歳。2歳までしか住んでいなかったニージニタギール。亡命という形で国を捨てたことになるが、スタルヒンが確かにこの地で生まれたことを証明する記述は今も残っていた。当時の記録は資料館に大事に保管されていて、スタルヒンの存在を消してはいなかったのである。


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