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山頂近くのお花畑には、花の宝石がちらばります。そして、島の周囲には海底湧水が点在しています。さらに沖合いでは年に1度、動物プランクトンを求めて数万というホッケの大群が渦を巻きます。利尻山の魅力と島の人々の山への思い、知られざる北の海の大魚影に迫ります。
 利尻は、アイヌ語で「リィシリ」が語源で“高い島”の意味です。標高1,721メートルの利尻山は、20~30万年前に火山活動が始まり、今の形になったのは約8千年前のことです。高山植物が美しい利尻ですが、太古の人々はロシアバイカル湖畔で使われたと同じ“石刃”を持っていました。7~8世紀には北海道には生息しないトナカイの角で出来た彫刻品を使っていました。利尻富士とも呼ばれる利尻山は、日本海に浮かぶランドマーク。太古の昔から利尻山は、北の海の灯台だったのです。
写真
夕日の利尻山

小杉 和樹(こすぎ かずき)
 1960年3月15日生まれ。利尻島生まれ育ちの生粋の利尻ッ子。利尻町職員の傍ら利尻島自然情報センターを主宰して、利尻にかかわる自然、野鳥、利尻山、観光情報を提供する一方、子供たちなど集めて野鳥観察会などを実践するナチュラリスト。日本野鳥の会・道北支部支部長。

 小杉さんは、「利尻に暮らす者は人間を含めて総てのものが、利尻山に育てられている」と、名峰利尻山には人一倍の愛着を持っています。特に最近は、中高年の登山ブームが続いており、夏山シーズンには団体を含めた大勢の登山者が山頂を目指します。
 しかし、利尻山は火山の噴火による堆積物が積もり重なった極めて脆い山です。雨や雪による侵食と大勢の登山者によるオーバーユースが原因で登山道が深く掘れたり広がったりしています。利尻山の山頂付近には、リシリを冠するリシリヒナゲシやボタンキンバイなどの利尻山にしかない高山植物が咲き誇っていますが、登山道の拡幅により貴重な高山植物が姿を消していくなどの問題も抱えています。

写真:シンボル・ローソク岩
シンボル・ローソク岩

写真:利尻山のお花畑
利尻山のお花畑
 小杉さんは、利尻島自然情報センターのライフワーク活動の一つとして、数年前から山にストレスを与えない登山を訴えています。携帯トイレの普及ややさしい登山の勧めがそれです。「本当は登らずに下から眺めてほしいのですが、実際には無理です。ならば登山者それぞれが、雨の日は登らない、ゴミを出さない、登山道をはずさないなど、山との対話を交わし自己責任ある登山をしてほしい」と。
 今年初めて、登山道の実態調査に乗り出しました。登山道の荒廃が実際にどうなっているのか、登り口から山頂まで定点を決めて、登山道の道幅、掘れ下がっている深さなどの実測を行いました。小杉さんは3年ほどこの調査を行い、侵食被害をまとめ、登山者へのPRや山を守るための対策に役立てたいとしています 。

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