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HTB 北海道テレビ放送 会社案内

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番組審議会だより


 北海道テレビ放送では、番組審議会委員10名の方による放送番組審議会を設け、毎月1回(8月と12月を除く)審議会を開催して、放送番組の内容をはじめ、放送に関する全般的な問題についてご意見を伺い、番組制作の参考にさせていただいております。
番組審議会でのご意見は,番組モニターの方のご意見とともに、2ヶ月に一度第4日曜午前5:05から放送の「あなたとHTB」でもご紹介していますのでどうぞご覧ください。

第471回北海道テレビ放送番組審議会概要

日時

2015年1月23日(金)
15:00~17:000

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審議対象番組

HTBスペシャルドラマ「UBASUTE」

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出席委員
平本健太 委員長
作間豪昭 副委員長
閔 鎭京 委員(レポート)
渡辺淳也 委員
福津京子 委員
髙橋留智亜 委員
森田良平 委員
古郡宏章 委員
遠藤香織 委員
会社側出席者
代表取締役社長 樋泉 実
常務取締役 田中英也
取締役 寺内達郎
役員待遇CSR広報室長 国本昌秀
編成局長 川筋雅文
報道情報局長 東 直樹
CSR広報室部長 岡 仁子
「UBASUTE」企画・脚本・監督 海野祐至
「UBASUTE」プロデューサー 数浜照吾
番組審議会事務局長 四宮康雅

【会社報告】

  • 第18回HTB・朝日ジルベスターコンサート、盛況裡に終了
  • HTB釧路支社、高台に移転
  • 「イチオシ!」1月29日に3000回達成
  • 「チームラボ学ぶ!未来の遊園地atユメミル☆ひろば」5万人ご来場

【審議対象番組についての委員意見要旨】

【評価点】

◇完成度の高いドラマだった。柱となる登場人物を絞ったことで、かえってすっきりしたわかりやすさに繋がっていた。何よりブログやネット空間をツールとした今の時代状況とマッチした仕立てにより、すんなりと感情移入することができた。

◇大和田さん、草村さんをはじめ、出演者のみなさんが出過ぎず抑制の利いた演技で好印象だった。

◇「働き方」「生き方」「人との関わり方」など個人的にも関心があるテーマが詰まった作品。深く掘り下げる過ぎるとネガティブなスパイラルから抜け出せなくなりそうな内容も、自分事と捉えやすく、わかりやすく描かれていて良かった。

◇高齢者こそネットメディアでのコミュニケーションが有効だと思う。きっかけはバーチャルでも紡いだ文字に人柄が出て、やりとりする中で絆がうまれていくこのドラマを見て、SNSアレルギーの人が少なくなればいいと思った。

◇若い世代と働き方や生き方の話をすると、収入や拘束時間より「幸福度」「フィット感」「社会の役にたっているか」などの優先順位が高く、その純粋さに驚かされることがある。一方で「幸せ」かどうかの順位が高くないと、生きる希望が持てないのだろう。ドラマを見て、幸せのグリップを強くするには、やはり人と関わりながら、自ら成長していくことしかないのであろうと、あらためて気付かされた。

◇ネットカフェと高級老人ホームという主人公二人の居場所の設定が興味深く、世代間格差をそのもので、いろいろな見方が出来るドラマだった。全体として、非常に厳しい現実をしっかり描きながらも、映像を含めてとてもキレイな作品に仕上がっているという感想を持った。

◇ダイアナの励ましで冬馬が立ち直り前向きに歩み出す過程が見どころだが、物語の展開に大きな不自然さはなく、作品の完成度は高いと感じた。また、晩秋の札幌の情景がとても美しく、魅力的に映像化されており、札幌市民として嬉しい限り。

◇冒頭で世代間の壁をきちんと表現した上で、トシエの別人格「ダイアナ」を通すことで会話が成立していく組み立てが面白かった。ダイアナのフィルターを通すことで冬馬が心を開いていく過程を楽しく見ることができた。

◇エンディングで、トシエがダイアナだと明かしたあとにどんな会話がなされたのか、いろいろと思いを馳せることができる含みのある演出はとてもいい。

◇「ニート」「高齢化社会」、日本の二つの大きな問題を取り上げたドラマは、テーマ性が非常にタイムリーであり、かつ、二世代の問題を上手くドッキングさせて解決に導いているため、どの世代でも共感を生み、考えさせられる内容が多かった。

◇主軸の二人の間で一番ネックになっている「他者との関わり」について、上手くいかなくても、困難があっても、他者との結びつきを恐れず、積極性を持つ必要性を痛感した。十分に制作者の意図が伝わってきた。

◇ダイアナの登場シーンでの、真っ白な背景がかなり印象的だった。優しい印象や包容力に溢れていた。

◇今まさに社会問題化している若年層の就職難と、高齢化社会が抱える課題を、SNSをリアルな表現方法として活用したところに新しさと驚きを感じた。85分間を飽きることなく、あっという間に見ることができた。

◇「ただ生きているのは死んでいると同じ」「人を助けることは自分を助けること。誰も助けられない人は自分も救えない」「私を必要としているのは、今は彼だけ」「夢が人生をつくる」等々、思わず書き留めておきたい珠玉の表現やせりふが数多くあった。

◇穏やかで優しいトシエを演ずる草村さん、どこにでも居そうな普通の若者の冬馬役の大和田さんは、まさにハマリ役で、ドラマに自然な感じを醸し出していた。加えて子供たちの演技力に圧倒された。シナリオにも無駄が無く、展開のテンポも巧みで、緊張感と安らぎを感じる部分のバランスが良かった。

◇音楽は、観る者の感情を先取りしない、ドラマを邪魔しないものだった。主題歌が無かったことも好ましく感じた。

◇プロットは非常に自然だった。また、大和田さんは、ゆとり世代と呼ばれる若者のいらだちや不安感を上手く表現しており、とても上手な役者だと思う。草村さんの演技も気持ちが良かった。波瑠さんは天女のような雰囲気をうまく醸しだし、ダイアナという架空のキャラクターが活き活きと描かれていた。

◇海野監督の、ニュース記者、ドキュメンタリーのディレクターとして培った経験がベースになり、冬馬像やトシエ像がつくられていると感じた。その結果、主人公の人物像がとてもリアリティーのあるものになっていた。

【疑問点・改善点】

●冬馬の人物造形については、「ゆとり」という言葉がキーワード的に扱われているが、自分の周囲ではあまり聞かれない言葉でやや違和感を覚えた。

●冬馬の親が全く登場しないことが気になった。ゆとり世代の親子関係を描写することで、もう少し彼の人物像を丁寧に伝えることができ、二人の主人公の対比がさらに際立ったのではないだろうか。

●冒頭のSNSでメッセージをやりとりで、「年寄りとかマジ要らねえ」「年寄りが多いから消費税も上がったし・・」など、若者がやや年寄りを嫌悪しすぎているのでないだろうか。

●タイトルと内容がフィットしていない印象が見終わった後もぬぐえなかった。「UBASUTE」はとてもインパクトのある響きを持つ言葉なので使い方が難しいと感じた。

【要望】

※これからも、幅広い年齢層が楽しめる作品を制作してほしい。

※その後の冬馬とトシエを描く続編を期待。

☆次回の放送番組審議会は、2015年2月26日 (木)の開催です。