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番組審議会だより
北海道テレビ放送では、番組審議会委員8名の方による放送番組審議会を設け、毎月1回(8月と12月を除く)審議会を開催して、放送番組の内容をはじめ、放送に関する全般的な問題についてご意見を伺い、番組制作の参考にさせていただいております。
番組審議会でのご意見は、2ヶ月に一度第4日曜午前5:40から放送の「あなたとHTB」でもご紹介していますのでどうぞご覧ください。
第569回北海道テレビ放送番組審議会概要
日時
2024年11月28日(木)15:00~17:00
審議テーマ
テレメンタリー2024 沈黙の搾取 見過ごされた障害者虐待(2024年10月20日(日)放送)
出席委員
岡田美弥子 | 委員長 |
桜木紫乃 | 副委員長 |
及川華恵 | 委員 |
田村ジャニーン | 委員 |
樋口 太 | 委員 |
横田伸一 | 委員(レポート参加) |
清水友陽 | 委員 |
土田 拓 | 委員 |
会社側出席者
代表取締役社長 | 寺内達郎 |
取締役 | 佐古浩敏 |
報道情報局長 | 伊藤伸太郎 |
編成局長 | 戸島龍太郎 |
番組担当プロデューサー | 広瀬久美子 |
番組担当ディレクター | 須藤真之介 |
番組審議会事務局長 | 渡辺 学 |
番組審議会事務局 | 吉田みどり |
【審議対象番組についての委員意見要旨】
≪評価点≫
・全体を通して、様々な障害がありながら、生きづらさを感じないで過ごしていける社会をどう作ればいいのかを、言葉ではなく映像で語っている番組だと感じた。
・障害者への虐待の実態が明確にわかる内容で、牧場や周辺住民、恵庭市、障害福祉の研究者へのインタビューや、障害年金の出金データなど、丁寧な取材がなされていた。
・登場人物それぞれのリアルな「言葉」と、それだけでは説明できないリアルな「身体」から伝わってくるものが詰め込まれていた。30分弱という枠の中で、雄弁に語り、考えるべき課題が炙り出されていた作品だった。
・佐藤さんへのインタビューで「ストーブは使えなかったのか?」との問いに「燃料も高くなったからダメだと言われた」。「髪はどうやって切っていたのか」との問いには「牛用のバリカン」といったリアルな表現は、当時の実態を視聴者に強く印象づけた。
・共働学舎新得農場での仕事や食事の生活風景で、すべての人が顔出しだったことに驚いた。社会での生きづらさを隠すことなく生きている、そこには「差別というものはない」という強いメッセージにも感じ取れ、感銘を受けた。
・牧場経営者の妻の言葉からは、経営者を単純に「悪」としない役割を担っていると感じた。夫婦にとっての正義もあったはずで、そこをこぼさずに伝えることで、問題の複雑さが浮き彫りになった。
・アップの映像が多く、それらの効果が高かった。たとえば、佐藤さんの顔は映されていなかったが、手の動きから怒りや戸惑いなどの感情が伝わってくるようだった。
≪要望点・改善点≫
・過激なタイトルを使用した割には、深掘りされた事実が放送されていなかった。これまでの新聞報道をなぞった取材にすぎず、「搾取」や「虐待」を裏付ける新たな事実は紹介されなかった。
・番組では、知的障害者が働いた場合の賃金体系などについて詳しく触れていなかったが、「搾取」という視点から考えると、この点も深く掘り下げて欲しかった。
・時系列がわかりづらかった。佐藤さんがいつ生まれ、いつ北海道へ移り住んだのか、虐待がいつ報告され、遠藤牧場がいつ経営破たんしたのか、タイムラインがわかるような工夫があればよかった。
・恵庭市が虐待として扱わなかったことと、年金搾取の問題は分けて考えるべき。佐藤さんらのお金が消えたことと、市役所の対応をひとくくりにして考えると、番組がおかしな方向へ流れてしまう。
≪提言≫
・障害者虐待や年金搾取の背後にあった、有力者への忖度が強く印象に残った。地方であればあるほど忖度がはたらきやすく、問題が発覚しにくいという構図は、障害者への虐待だけでなく、さまざまなトラブルの根底にあることを痛感した。このような問題を世の中に伝えることは、ドキュメンタリーの役割である。
次回の放送番組審議会は2025年1月30日(木)開催予定です。