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―2017年放送―

2017年08月01日
2016/04/18 (月)掲載「うれしい朝 」 久保祥子(くぼ・さちこ 40歳・主婦)=札幌市中央区

2016/04/18 (月)掲載「うれしい朝 」 久保祥子(くぼ・さちこ 40歳・主婦)=札幌市中央区

小学校入学式の前日、
新2年生になった息子は、新1年生を応援する踊りを練習するため、
「行ってきます」と、タタタッと駆けだした。
車に気を付けて、と言おうとしたが間に合わず、慌てて追いかけた。

けれど、いくら走っても追いつけず、
ついに息子は、学校前の横断歩道を渡って見えなくなってしまった。

なーんだ、行っちゃった。
拍子抜けして、息を整えつつ家までゆっくりと歩いた。
 
去年の1学期は、毎朝手をつないで登校したのになあ。
ある日から「お母さんと行くと泣きそうになるから、パパと行く」
と言い出した。
学校という緊張が続く場を前に、
母の顔を見ると、
張り詰めていた心が折れそうになると感じたのかもしれない。

 自分で選んだ父との登校も、距離がだんだんと短くなった。
「今日は二つ目の横断歩道で別れたよ」
「最初の角でいいんだってさ」
「今日は1人で大丈夫だって」。
息子を送って帰って来た夫はいつも晴れ晴れとしていて、
何だかねたましくなったものだ。

 特別支援学級に通う息子との関わり方は、
常に時間をかけてていねいに、を心掛けている。
何かを達成できたら、うんと褒めての連続であり、とにかく忍耐を要する。
それでも、去年までは困難に思えたことを、今年は難なくクリアできたりして、
子どもってすごい。

息子の成長をしっかりとかんで味わったような、朝の出来事だった。 〆