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驚きの技術と奥深い魅力 道場にこもり日本一に輝いた若き職人のスゴ技とは 

《日本一に輝く若き左官職人》
時に大胆に。時に繊細に。コテを自由自在に操り、さまざまなものを生み出す左官。
今回の主人公は高橋泰喜さん、21歳。札幌に本社を置く中屋敷左官工業の4年目です。
左官の代表的な仕事は、コテを使った壁や床の仕上げです。土を塗り付けて仕上げた「和の壁」や、漆喰を使った真っ白い「洋の壁」。小石を混ぜ込んだセメントやモルタルといったさまざまな材料を駆使して、床や壁、階段などを仕上げます。

■高橋さん「ここが技能五輪の時に練習していた道場ですね」
■依田アナ「道場っていうんですか、ここは」

高橋さんは去年、23歳以下の職人を対象にした技能五輪全国大会の左官部門に出場しました。仕上がりの美しさ、スピード、寸法の正確さ、作業態度までもが審査されます。全国の予選を勝ち抜いた11人の中で、北海道の選手としては49年ぶりの「金賞」を受賞しました。

■高橋さん「やっぱり一番苦戦したのは、やり方ですね。この時間にこれをやったら、この工程ができなくなるから順番を変えようとか。工程を工夫することが一番大変でした」
■依田アナ「ゴールは1つあって、その中はこの順番でやりなさいという決まりはないんですね」

つかみ取った「イチバン」。一体、どれほどすごい技術なのでしょうか?縦180センチ、横90センチのトレーニング用の枠でその技を見せていただきました。

■依田アナ実況「厚みも均等です」「みるみる、段差が、線がなくなっていきます」

一面を塗り終えるのにわずか3分。作業を後ろから見てみると、コテ先だけじゃなく全身運動です。体全身を使うことで、平行に塗ることができるといいます。新入社員は、1カ月以内にこの壁塗りを1時間で20回できるよう練習を重ねます。
高橋さんの成長を見守ってきた社長は…

■中屋敷剛社長「ひとコテにどれだけの精度を高めていくかが永遠のテーマ。材料を取る量とか、取り方も含めて、この1枚の端から端まで塗るまでに考えることが山ほどある。
まだまだ上は目指せると思う。それを彼自身が理解している」

《奥が深い壁塗りに挑戦》
■依田アナ「あっ、重っ!こんな重いの…」「どうしても端に付かないんだよな」「あ、あ~…」

材料に混ぜ込まれているのは土と砂と「すさ」です。「すさ」とは土壁をつなぎ、割れるのを防ぐ稲わらです。砂や「すさ」の大きさを変えると、土壁の仕上がり具合は様変わりします。依田さんは初めての左官体験。土壁の材料は柔らかく重いため、扱うのは一苦労です。コテに材料を載せるのも、塗り付けるのもうまく行きません。高橋さんの12倍の時間をかけて塗った壁と、高橋さんの塗った部分を比べてみると、塗り付けた土の厚み、滑らかさに大きな差があります。

■依田アナ「私やって30分ぐらいですけど、左手が一番つらい。明日筋肉痛です。間違いなく」

《技術の伝承が課題》
左官の仕事は、壁や床の仕上げだけではありません。飾りとして置かれる石。なんと中は発泡スチロールです。持ち運びしやすいようモルタルを塗って色を着ける「擬岩」が採用されることがあります。本物の石と並べても、全く見分けがつきません。家具の仕上げをすることも。札幌駅を出てすぐの地下歩行空間にあるベンチは、残雪をイメージした、白いモルタルが塗られています。さまざまな形で、私たちの生活を支える左官の技術。しかし大きな問題を抱えています。
■中屋敷社長「北海道でいうと現在でもう70歳以上が24パーセント。もうあと5年したら間違いなく25パーセントの職人さんがいなくなってしまうので、人材確保や新しい採用、育成が待ったなしの状況だと感じています」

高橋さんの背中を追いかける若者もいます。1つ年下の池田喜平さんは、今年の技能五輪の優勝を目指し、日々、練習を重ねています。
■池田さん「よくよく見ると欠けていたりするところが多いかなと思います。(高橋さんを)越えたくはありますね」
■高橋さん「越えられないと思いますけれど。やる気のある若い子にはどんどん教えていって、一緒に大きな仕事をしたいというのはありますね」

日本を支える技術が受け継がれています。

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