「殺されたも同然で納得できない」運転手と所有者に執行猶予と罰金判決 タイヤ脱落し直撃女児は今も重体
2025年 4月24日 16:22 掲載
札幌市西区でおととし、車から外れたタイヤが女の子に直撃し意識不明となった事故の裁判。札幌地裁は運転手に執行猶予付きの有罪判決、車の所有者に罰金の判決を言い渡しました。
女の子の父親)
「家族の心情としては子どもが殺されたも同然、納得できるはずがない」
被害者の女の子の父親にとって、納得できる判決ではありませんでした。
伊藤榮祐記者)
「現場は幼稚園のすぐ隣の市道です。坂の上には前輪のない軽乗用車が止まっています」
おととし11月、札幌市西区で走行中の軽乗用車から左前方のタイヤが外れ、近くを歩いていた当時4歳の女の子に直撃。女の子は頚髄を損傷するなどのけがを負い、いまも意識不明のままです。
札幌地検は軽乗用車を運転していた若本豊嗣被告51歳と軽乗用車を所有者する田中正満被告51歳を起訴。
起訴状などによりますと、2人は事故のおよそ2週間前、軽乗用車のタイヤを安全基準を満たさない状態に改造した道路運送車両法違反の罪に問われています。
また若本被告は、点検を怠り軽乗用車を運転し、タイヤを脱落させ女の子に重傷を負わせた過失運転致傷の罪にも問われています。
札幌地裁で開かれた2人の判決公判。
本間壮惟記者)
「2人の被告は証言台の前で一礼をし、判決が言い渡されたときまっすぐ正面を見つめていました」
裁判長が判決で言及したのは、タイヤを車の外側に「突出」させる改造方法です。
裁判長)
「タイヤの突出は、不正改造の中でも事故の危険性を高める改造で、悪質である」
その上で、田中被告について「若本被告に協力を求めて改造を主導したもので負うべき責任は大きい」と指摘。
若本被告については「事故当日、ホイールナットに不具合がある可能性に思い至り点検義務を果たすことは容易であった」と指摘しました。
その上で。
裁判長)
「漫然と運転した過失は悪質」
言い渡されたのは若本被告に懲役3年・執行猶予5年、田中被告に罰金20万円という判決でした。
女の子の父親は。
女の子の父親)
「心情的には全く納得していない。被害の大きさと刑罰の大きさのバランスが取れていないと感じています」
父親は、車の所有者の田中被告についても過失運転致傷罪が適用されるよう、きのう付けで検察審査会に申し立てを行ったことを明らかにしました。
女の子の父親)
「裁判所も今回認めていただいたように責任は非常に大きい。所有者の田中被告には、明確に罪として刑罰としてあらわしてほしい、それが抑止力になれば社会にとってもいいこと」
女の子の父親の弁護士は、控訴も含めて検討するとしています。