「まずいことがおきたなと…」深刻化する鳥インフル アザラシ・ラッコにも感染拡大…何が起きているのか?
2025年 5月 2日 16:09 掲載
高病原性鳥インフルエンザが猛威を振るっています。北海道の道東を中心に野鳥への感染が相次いでいるほか、ラッコやアザラシへの感染も確認されています。一体、何が起きているのでしょうか。
根室市の海岸では、2日のあさも多くの海鳥の死がいが発見されました。
根室市歴史と自然の資料館 外山雅大学芸員)
「これたぶんウミガラスかな。これ(鳥が)食べちゃうことで(感染が)広がってしまうので、なるべく回収するようにしているんですけど」
根室市歴史と自然の資料館の学芸員、外山雅大さん。地元の野鳥の会とともに週に2回ほど市内の海岸などを回り、海鳥の調査を行っています。2日の調査では、エトロフウミスズメなど11羽の死がいを発見。発見した海鳥の死がいは、3月中旬から2日までに600羽近くにのぼります。
一部の死がいは検査に回され、高病原性鳥インフルエンザの感染が確認されました。
外山さんは異常な事態だと感じています。
根室市歴史と自然の資料館 外山雅大学芸員)
「検査にまわったほとんどで陽性が確認されているので600羽のうち、かなりの数が鳥インフルエンザによって死んでいると考えられる。このような自体はいままでなかった」
鳥だけではありません。こちらは外山さんが先月18日に根室市の海岸で発見したゼニガタアザラシ。目が充血し、かなり衰弱している様子がわかります。その後死んだこのアザラシを検査したところ高病原性鳥インフルエンザの感染が確認されました。アザラシの感染が確認されたのは国内初で、他にも衰弱した個体や死がいなど5頭が見つかっています。
異常な事態は、隣の浜中町でも。
高橋海斗記者)
「野生のラッコが見られることで有名な霧多布岬ですが、看板には死んだ野生動物には触らないよう注意書きが貼られています」
先月22日に浜中町の海岸で回収された絶滅危惧種のラッコの死がい。その後の検査で高病原性鳥インフルエンザへの感染が確認されました。
地元でラッコの保護活動を行う男性は、ラッコの近くで海鳥の死がいを見たと話します。
NPO法人エトピリカ基金 片岡義廣理事長)
「まずいことがおきたなと思いました。ここでも海鳥の死がいはあったんですよ。死がいでラッコが遊んだりしているのもあるので、3月下旬でも一回あったので、鳥インフルエンザに感染していればここの影響にもあると思ったので」
環境省によりますと、ラッコへの感染は世界で初めてだとみられるということです。専門家は危機感を募らせています。
猛禽類医学研究所 渡邊有希子副代表)
「海鳥から海生哺乳類への感染が広がるというようなパターンというのは、海外でも見られていました。それがいよいよ北海道内、国内でも発生したというところで、ある意味みんなが気を引き締めて、どうこれを捉えていくかっていうのを考えないといけない」
今後は海に直接関わりのない哺乳類への影響が出る可能性もあるため、対策が必要だと指摘します。
猛禽類医学研究所 渡邊有希子副代表)
「例えば犬や猫といったそのペットが、海岸ですとか、それ(死がい)を食べたりしないような防除策っていうのも必要だと思いますし、複数個体の死亡個体があるというのが発見された場合には、速やかに近隣の振興局ですとか役場の方に一報を入れていただきたい」