道南いさりび鉄道赤字 道と沿線自治体で負担割合めぐり協議開始 沿線自治体「8:2が基準」「道の負担増を」
2025年 5月22日 15:50 掲載

北海道唯一の第三セクター「道南いさりび鉄道」の赤字補填の負担割合の見直しについて20日、北海道と沿線の函館市・北斗市・木古内町による話し合いが始まりました。沿線自治体からは「現行の『8(道):2(自治体)から議論を始めるべき」、「道の負担割合を高めてほしい」などの声があがりました。
道南いさりび鉄道は2016年の北海道新幹線の新函館北斗開業に伴い、JR北海道から経営分離された旧江差線の五稜郭・木古内間を引き継ぎました。その際、路線を維持するため道が赤字の8割を負担し、残りの2割を沿線自治体の函館市と北斗市、木古内町が負担することとしましたが、道は今年1月末に行った沿線3市町との協議で、25年度から赤字負担の割合の見直しを提案していました。
20日、函館市の渡島総合振興局で行われた「道南いさりび鉄道沿線地域協議会」では各自治体から負担割合の見直しについて慎重な意見があがりました。
函館市)
「現行の『8:2』の負担割合からの議論のスタートとなるもので、適正な負担割合が北海道の割合を引き下げることを前提とするものではない」。
北斗市)
「議論のスタートラインは『8:2』からである」、「北海道の負担割合を高めていただくようお願いしたい」。
木古内町)
「『8:2』を基準とすべき」、「沿線自治体の努力だけでは限界があると考えており、北海道や国全体としての理解と支援、財政負担の分担を強く要望したい」。
一方、道は、全国各地の第三セクター鉄道8社の県と沿線市町の負担割合を比較する資料で説明を行いながら、具体的な負担割合の数字は示しませんでした。
北海道総合政策部 斎藤由彦交通企画監)
「負担割合の数字ありきで議論しているのではない。柔軟な対応、幅を持っていろんな検討していきたい」。
負担割合の再検討の結論を出す時期についても「各自治体との意見を照らし合わせながらやっていきたい」として明言はありませんでした。
道南いさりび鉄道は、北海道と本州を結ぶ貨物列車が通る物流の大動脈ですが、開業以来赤字が続いていて収支は来年度から5年間であわせて13億8千万の収支不足となる見通しです。