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アイヌの人々がクマの魂を送る儀式「カムイホプニレ」 近年ではほとんど行われない儀式にカメラが密着

先月、北海道の新ひだか町でシカの罠にかかって駆除したクマを供養しようとアイヌの人々がクマの魂を送る儀式「カムイホプニレ」を行いました。近年ではほとんど行われず継承が懸念されている儀式に、HTBのカメラが密着しました。

囲炉裏に供えられたクマの肉。いまではほとんど行われなくなった儀式「カムイホプニレ」です。今回、実現した背景には様々な偶然がありました。

坂元優太カメラマン)
「猟友会のメンバーが山の中に入っていきました」

先月29日、新ひだか町三石でシカのわなにクマがかかり、猟友会によって駆除されました。捕獲された場所は三石アイヌ協会の会長が所有する森でした。ヒグマはアイヌ語でキムンカムイ。アイヌの人々が畏れ敬う最高位の山の神です。

新ひだか町でアイヌ文化の伝承を行う葛野次雄さんです。駆除されたクマは通常すぐに解体されますが、葛野さんが辺りを清めクマを弔います。そして三石アイヌ協会では少なくとも80年は行われていない「カムイホプニレ」という儀式を行うことを決めました。

葛野次雄さん)
「かわいそうだなっていうのと、それはこっちに置いて、カムイイモカ、天からのお土産だとわしらは思って供養して儀礼をする」

「カムイホプニレ」は子グマを送る「イオマンテ」とは違い、狩猟で捕まえた動物の魂を送る儀式です。三石アイヌ協会の幌村司会長と話しあい、このクマに対して3日をかけて儀式を行うことにしました。

最終日。「チセ」と呼ばれる家屋に祭壇を用意し、供え物や料理を作り盛大に儀式を行います。アイヌ民族にはカムイが動物などの姿をまとって人間に「肉」や「皮」などの「お土産」を持ってくるという世界観があります。儀式ではクマの姿となったカムイに感謝を伝えて魂を天界に送りかえし、再びお土産を届けてくれるよう祈りを捧げます。

「モシリコロフチオレン(国土を領する火の姥神へ)カムイホプニレイノンノポロセイタクアリキンテキナ(クマの魂を送り、祈りの言葉を私が捧げます」

クマの魂を供養する「カムイノミ」です。葛野さんが祈りの祝詞を読み上げ参列者は神々にお神酒を捧げます。
明治政府によって、アイヌ民族が独自に行ってきた狩猟が禁じられ、獲物の魂を送る「カムイホプニレ」も行われなくなりました。

「カムイノミ」に続いて先祖の霊にもカムイの贈り物をおくる先祖供養「イチャルパ」を行い、「カムイホプニレ」を終えます。

葛野次雄さん)
「これをもちまして、キムンカムイも天界にあがっているでしょう。そして生まれ変わってまた私たちにカムイイモカを授けてくれると思います」

儀式の後、今回捕獲され解体されたクマの肉を使ったカムイからの贈り物を参列者で食べます。

葛野次雄さん)
「美味しさ、柔らかさ、固さ・・・これがありがたみなんだ。(この儀式は)やるべきだ。やりたい。それがアイヌの使命だ。こうしてみんなの協力があったから俺には良かったな、これをすべきだな、してよかったなと思ってるところです」

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