人手不足や移動負担の解消に 遠隔診療サービス「アニマルック」最先端のIT技術が北海道の家畜診療を変える
2025年 6月23日 16:32 掲載
獣医師の人手不足や移動負担が課題となっている家畜診療の分野で、最先端のIT技術が課題解消につながっています。
「分娩はいつでしょうか」、「分娩は昨日です」
「なん産目になりますか」、「ふた産目になります」
「体温は何度になりますか」、「体温は先ほどはかりましたが38.2度」
「少し低いんですね。」「はい」。
牛を映しながらタブレット越しに会話をするのは、農家と獣医師。
こちら、実は家畜の診療を遠隔で行っているんです。
SBテクノロジー(株)執行役員 上原郁磨さん)
「獣医の皆さんも年々減っているというのもあり、この領域というのは新しい働き方を考えていくことが重要だなという風に感じました」。
ソフトバンクのグループ会社「SBテクノロジー」が開発した、「アニマルック」というサービス。LINEアプリでビデオ通話による診療から、診療の予約・管理まで行うことができます。
「アニマルック」は、昨年4月から道内などで導入が進められ、いまでは全国80の診療所で使用されています。
北海道農業共済組合石狩北部家畜診療所 富永翔太主任(獣医師)
「大動物の臨床獣医師は不足していて、そういう中で遠隔診療場所も時間も選ばないアニマルックのようなツールを有効的に用いることで今後もっと広く診療ができると思います」。
家畜診療の分野では、獣医師の勤務時間のおよそ3割が現場までの移動に費やされていました。アニマルックの導入により獣医師の移動時間が短縮されるばかりでなく、農家にとっても負担の軽減につながっているそうです。
小林牧場 小林紀彦社長)
「やっぱり映像があったほうがより(症状を)伝えやすく、その中で自分らで(治療を)やれるっていうのがあれば楽だし、その時にやっぱり(獣医師が)来なきゃならんかなというときには来てもらうことになる。その判断を獣医さんにしてもらって、やるっていうのが、僕らにとっては非常にいいこと」。
多くの獣医師が所属する北海道農業共済組合では、「アニマルック」を活用し、診療データをもとに準備した治療薬を、農家へ事前に配置する取り組みを導入する予定です。