「酪農王国」中標津町、人口が根室市を超え管内で最大の町に 工場やホテルの建設も「中標津モデル」とは?
2025年 6月24日 17:38 掲載
北海道の中標津町の人口が根室市の人口を初めて上回りました。地方での人口流出が全国的な問題となっている中、いま中標津町に何が起きているのでしょうか。
人口のおよそ2倍、4万頭もの牛が飼育されている「酪農王国」の中標津町。その中標津町の人口がついに根室市の人口を超え、根室管内で最大の町となりました。
根室市の人口は1968年のピーク時に5万人近くまで増えましたが、その後は減少の一途を辿り先月末時点で2万2135人。一方、中標津町は2013年以降、毎年減少しているものの減り幅が緩やかで先月末時点で2万2139人と根室市より4人上回っています。
根室市民)
「いずれっていうのは思っていたんですけど、いざってなるとちょっとびっくりしました」。
水産業の衰退などで人口が減少した根室市。一方の中標津町ではなぜ人口の減少が緩やかだったのでしょうか。
国士舘大学 加藤幸治教授)
「中心地なのに周囲に働きに行く人が住むベッドタウン的な役割を持っている。中標津モデルというものです」。
国士館大学の加藤教授が提唱する「中標津モデル」。チェーン店が充実していて買い物に来る人が多いことに加え、空港をはじめとする交通の利便性が高いため中標津町から近くのマチはもちろん、本州や札幌へ働きに行く人も多いと言います。
国士舘大学 加藤幸治教授)
「人口が増え、産業が増え、超活性化していくことはなかなか難しい。北海道全体の減少に比べて弱い減少であれば相対的に成長していることになる」。
高橋海斗記者)
「現在、工場の建設が進んでいます。この工場で働く人に向けた宿泊施設の需要がいま町内で高まっているんです」。
町内で建設が進んでいるのは2027年3月から稼働予定の大手乳業メーカー、明治の新工場です。
宿泊施設を手がけるアルムシステム 清信祐司社長)
「明治乳業を請け負った建築会社が(利用する)宿泊施設として仮の施設を作って貸さないかという話がきたので。いま単身赴任の方が多いのでアパートとしても活用できる風に考えて作った」。
今月、開業したホテルとウィークリーマンション。明治の新工場で働く人の宿泊施設として、およそ2年間47部屋すべてで利用契約が結ばれました。
町内では単身赴任や出張で訪れる人に向け、去年から今年にかけてホテルやウィークリーマンションが4カ所、あわせて145部屋増えるということです。
大手企業の進出やホテルの建設ラッシュなど明るい話題が多いものの、周辺地域で人口流出が続く現状に中標津町は危機感を募らせています。
中標津町 西村穣町長)
「周りの人口減少はうちの町に直結する。町が支えているものをどうすべきなのか、どう守るべきなのか考えていかないとこの辺の地域全体がへこんでしまう」。
根室管内で最大のマチとなった中標津町。「中標津モデル」がほかの地方でも人口減少問題に対する有効な手立てとなるのか、注目が集まります。