now onair

NEXT

SODANEは2020年6月、サイトをリニューアルいたしました。最新記事は下記よりご覧ください

SODANE

「HTBは芳根京子を一生応援する」福屋EP&嬉野Pが語る ドラマ『チャンネルはそのまま!』の楽しみ方

テレビ

乗田綾子

2019/03/06

北海道の皆さん、大変お待たせいたしました!

ついにHTB開局50周年ドラマ『チャンネルはそのまま!』が、3月18日(月)より5夜連続で放送されます!

channel.jpg

ドラマ『チャンネルはそのまま!』は北海道のテレビ局・HHTVを舞台に繰り広げられる、痛快お仕事コメディ。札幌在住の漫画家・佐々木倫子氏の同名人気漫画が原作となっており、謎の採用枠"バカ枠"で入社した新人記者・雪丸花子と彼女を取り巻くローカルテレビ局員たちの日々が、コミカルかつ魅力的に描かれた作品になっています。

まもなく始まる北海道での本放送に向け、今回SODANEでは、先日行われた『チャンネルはそのまま!』のメディア向け試写会から、福屋渉エグゼクティブプロデューサー、嬉野雅道プロデューサーのコメントを字数の許す限りご紹介。

s1.JPG

初の連続ドラマに託したローカルテレビマンとしての信念から、ロケ地となったHTB旧社屋(札幌市豊平区平岸)への思い、また初めてドラマの現場で一緒になった"北海道の大スター"への意外なエピソードまで。この記事を読めば『チャンネルはそのまま!』の放送が、もっと楽しみになるはずです!

ドラマ『チャンネルはそのまま!』の注目ポイント

s2.JPG
福屋渉エグゼクティブプロデューサー(過去の主な担当番組:ハナタレナックス)

福屋:原作を描かれた佐々木先生の漫画は『チャンネルはそのまま!』も含め、どの作品にも"群像劇"という大きな共通点があると感じていました。その中で今回のドラマ化に関しては、原作を反映した部分と、ドラマだけのオリジナルエピソードになっている部分がありますが、結果として両方がうまく組み合い、良い作品に仕上がりました。

また今回、総監督を務めた本広克行氏は、普段から舞台で頑張っている役者さんを発掘したいという考えの方で、本作でも「札幌の役者さんを沢山使いたい」とのお話がありました。それを受けて『チャンネルはそのまま!』にはHHTV・編成局長役の斎藤歩さんを筆頭に、80人以上の札幌の役者さんが様々な役で登場しています。

北海道はもちろん、ドラマはNETFLIXを通じて全国にも配信されていますので、これは札幌の役者さんにとっては、全国で評価されるという大きなチャンス。その点にもぜひ注目して、本作を見ていただけたらと思います。

s3.JPG
嬉野雅道プロデューサー(過去の主な担当番組:水曜どうでしょう)

嬉野:これだけテレビ局内すべてを撮影に使用できたドラマは、たぶん今までにないと思うんです。開局からずーっと50年使用してきたHTB旧社屋のリアリティがそこにあり、だからこそ役者の皆さんにも気持ちが入ってくる。時に現場のテレビマンも感銘を受けるそのお芝居は、本作の強く推せるところです。

また2月10日には香川県高松市のさぬき映画祭で第一話の先行上映を行ったのですが、ありがたいことに上映直後から、Twitterでたくさんの高評価をいただきました。そしてその高評価の声には、原作のファンの皆さんのものも含まれています。

原作のファンの方も、このドラマを佐々木先生の作品そのものとして好意的に受け入れてくださっている。この反応はとても珍しく、特筆すべきことだと思っています。

主人公・雪丸花子役を演じた芳根京子さんについて

yoshine02.JPG
©佐々木倫子・小学館/HTB

福屋:『チャンネルはそのまま!』はHTBが取材対象として描かれた漫画であり、キャストオファーに関しては実際に取材された局員たちにとって関心度の高いことでした。なのでキャストを決める前に、HTB社内でも一度アンケートを取ったことがあったんです。その際に多くの社員から雪丸花子役に名前が挙がっていたのが、芳根京子さんでした。

彼女は今後も活躍が期待される素晴らしい女優さんであるとともに、お母様が北海道出身というご縁もあります。主人公の雪丸花子は実はすごく難しい役柄で、芳根さんは今回プレッシャーも大きかったと思いますが、見事に演じきってくれました。またお芝居以外でも、22歳という若さの中、あの大所帯の現場でセンターとしてよく走り切ってくれたという思いがあります。

これは彼女には直接伝えていますけれども、「HTBは芳根京子を一生応援する」。それぐらい、人格面でも本当に素敵な女優さんです。

嬉野:高校生のときに芸能界デビューしているということもあり、彼女自身は今までの現場では役者さんもスタッフも年上の人ばかり、というケースが多かったと思います。ですが今回は彼女を中心とした新人たちの物語ということで、彼女の中に「1人残らず背負っていこう」というような気合がおそらくあったのではないでしょうか。

53日間に及んだ撮影の中で、芳根さんが1日たりともテンションを落とすことなく雪丸花子として駆け回ってくれた姿に、僕は本当に感動しましたね。

HTBと"旧知の仲"でもある、俳優・大泉洋さんの撮影エピソード

ooizumiyo.jpg
©佐々木倫子・小学館/HTB

嬉野:今回の『チャンネルはそのまま!』では、各話に大泉洋さんが少しずつ出てくるんですけれども。彼は原作にはない役柄で、このドラマのオリジナルストーリーを見事に盛り上げてくれています。

彼の演じる蒲原正義に関しては、監督を務めているHTBの藤村(忠寿)たちとも話し合いながら、じっくり人物像を練り上げていきました。最終的に完成したその人物像などを送ってから約1週間後、彼は台風とともに撮影にやってきて、そこから見事な芝居を見せてくれました。

私としては彼が学生だった頃からの付き合いなので、大泉洋がどれだけ有名俳優になっても、いまだに親戚のオヤジ目線で「やつは何をやってもやつにしか見えない」と今の今まで思ってたんですけれども......(笑)。

今回ばかりは、俳優大泉洋の迫力に圧倒され「すごい!さすがアカデミー俳優!」と、演技に取り組む彼の姿勢とその集中力の高さに襟を正す思いでした。

福屋:あと大泉さんに関して、今回はHTB旧社屋で最後の撮影が終わった後、打ち上げに最後まで残ってくれていたのがとても印象的でした。いつもはそんなに打ち上げに出ない人なんです。

『チャンネルはそのまま!』の撮影が終わったということは、同時にHTB旧社屋も、本当にすべての役目を終えたということでもありました。きっと大泉さんも学生時代から20年以上通い続けたその場所に、何か感慨深いものがあったんだろうなと思います。

『チャンネルはそのまま!』に込めた思いと、そしてHTBのこれから

s4.JPG

嬉野:人は普段どうしても、空気を読んでしまったり、周りに合わせてしまう方に流されやすいものだと思います。ただ時には自分の意見をちゃんと言う、そして自分がやりたいことをやることで、人は改めて生きていることを実感することができる。

『チャンネルはそのまま!』の主人公・雪丸花子は、そんなことを再認識させてくれるポジションなんです。

特に今みたいな時代には、彼女のような存在こそ必要だと思っています。だからこそ、こういうドラマを制作し、お届けできることは本当に良かったです。

福屋:ローカル局である我々HTBは当たり前ですが、まず今まで連続ドラマを作った経験がありませんでした。ということはキー局なら知っていて当然のルールすら分からないわけで、製作途中には実際、話が何度も立ち往生してしまっています。ただそれでも、こちらが熱意さえ持っていれば、なんとか道は開けていく。そうして仕上がったのが本作です。

『チャンネルはそのまま!』は北海道でのテレビ放送が終わった後でも、NETFLIXで数年にわたって配信が行われます。原作漫画はまさに何年たっても色あせないおもしろさがあり、この映像作品もたとえ何年後に見てもらっても、伝わる力を持っていると願いたい。「北海道の人たちに喜んでもらえると同時に、先に繋がるものを作ろう」という思いから誕生した作品ですし、決してこれを一過性のイベントに終わらせたくない、と考えています。

また会社としては、この作品に関わっていろんな勉強をした若手スタッフたちが、今回の経験をもとにこれから何を考えていくのか。そこにも今後大きく期待しています。

この記事を書いたのは

乗田綾子

北海道在住のライター。著書『SMAPと、とあるファンの物語』(双葉社)の他、『月刊エンタメ』『週女PRIME』等でも執筆中。HTBで一番好きな番組は夜のお楽しみ寝落ちちゃん。Twitter/ @drifter_2181