2010年08月13日(金)
蘇る授業の記憶
「これからじゃがいも畑に行きます」
私が小学校一年生の時のことである。
道徳の授業で、じゃがいも畑に行くことになった。
北海道で見られる丘のような広大な畑ではなく、子どもの足で学校から歩いて10分くらいのところにある小さな畑であるが、
生まれて初めてのじゃがいも掘りにドキドキワクワクしていた。
ところが、その期待を裏切るかのように、畑に着いてすぐ、先生はこう言った。「今日はじゃいもは掘りません。じゃがいもツルを少し切って下さい。」
え~!なんでなんで?!
疑問と不満を抱きながら、それでも言われた通り、
太陽が照りつける畑でハサミを使ってツルを二センチくらい切り、
とぼとぼと学校に持って帰った。
教室に戻り、先生は、クラス全員分のいものツルを煮た。
そして、一人一人に渡し、食べるよう促した。
マズイ。苦い。土臭い。
ワーワー言いながらほとんどの児童が端っこを少しかじっただけで残した。
先生はこう続けた。
「これは、戦時中のごちそうです。
食べ物がなかったからこういうものを大切に食べていました。」
静まり返る教室。
給食で、残さず食べなさいときつく言われるよりよっぽど食べ物のありがたみが身に染みた。
戦争の悲惨さやその時の生活の苦しさについて、小さい頭で目一杯考えた。
あれから20年近く経った今でもこの日のことを思い出すことがある。
あさって15日日曜日は終戦記念日。
今度は、戦争を経験したことのない私たち世代が、戦争について、
何らかの形で、次の世代に伝えなければならないと強く思う。