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めぐみ横丁

2015年05月05日(火)


余韻に満ちた重低音が
体中、響き渡っているかのように、 
言葉が、佇まいが、ずーんと迫ってきました。

落語家・立川談春さんの独演会です。  

10000.jpg今まで行った落語会での演目や感想などを綴ったメモ帳 


このメモを見返すと、
談春さんの独演会に行くのは9回目。
すべて違う演目です。 

とりわけ今回は、

『百年目の会』
三十周年記念落語会 もとのその一  

と題された、いつもと違う趣向の落語会でした。 


タイトルにもある『百年目』とは、
今年3月に旅立たれた、人間国宝・桂米朝さんが
「一番難しい」と話していたという、大ネタ。
師匠の談志さんも高座ではかけたことはないのでは?と
言われるそのネタを、談春さんが
落語家生活三十周年という節目の会に選んだところに、
語弊を恐れずに言うと、何かこう、ご自身の中で、
新しいステージを見据えているように映りました。 

20000.jpgかなり珍しく"パンフレット"が配られました  

三十周年記念らしく、こんな演目も。

一、談春半世紀 

入門から今までの出来事を語る中で、
このような話をされていました。

10代後半で立川流に入門した時、
自分よりうまい人は周りにたくさんいたけれど、
今、落語家として活動している人は数人。 

その違いは、「落語が好きかどうか」。

多くの入門者は、
あくまでも表現のひとつとして、落語をやりたかった。 
でも、それを師匠である談志さんは許さなかった、と。 

好き、という感情は、
さすらいの旅人のように、どこか気まぐれだったり、
深まることもあれば、遠ざかることもありますよね。 

それでも、向き不向きを差し置いて、
何かひとつ、どっぷりと心酔すること。
その大切さを教えてもらった気がした、独演会でした。