2018年05月30日(水)
鏡
青もみじが美しい初夏の京都へ。
予定をかっちり決めず
思いのままぷらぷら街歩きです。
南禅寺を起点として哲学の道を散策していると、
地元のガイドさんが
それはそれは丁寧な口調で話しかけてくれました。
「 お姉さん、水鏡をよくご覧なさい。
青もみじがうつっているでしょう。
京都人は"直接的"ではなく"間接的" にみるのを風流に想うんですよ 」
このようなことを、はんなりとした京都弁で。
言葉に呼応して目線を下に向けてみると。
うわぁっ。きれい。
ぽかぽか陽気で風も吹いていなかったので、
木の枝の輪郭までもがくっきりうつってみえます。
さらに。
「 橋の上に立ってみて。
これを持ってぱっと手を離してみてください。何も考えず 」
そう言って、
いくつかの木の実を載せたその舟は、ひっくりかえることなく水面に着地、
流れにまかせてゆっくりと進んでいきます。
「 あなたの未来は明るいですよ。
ほら、荷物がひとつも落ちず
まっすぐ前に進んでいるでしょう 」
柔和な笑顔でゆったりと語りかけてくれるガイドさん。
占いを普段あまり気にするタイプではないんですが
とても豊かな気持ちになりました。
旅って、何年か経って思い出す時
こういう人との会話が
心に残っていたりするものですよね。
お礼を言って、再び、あてもなく散策。
ガイドさんが言ってたみたいに、お寺巡りなどをしながら
"間接的に" 鑑賞してみることにしました。
庭園は、明治時代につくられたという、
表面がゆがんでゆらゆら揺れてみえるガラス越しに。
黒い漆のテーブルでは、青もみじの木々が逆立ちして、輝いてみえました。
ちょっと見方を変えるだけで、ぐっと、新たな世界が広がるものですね。
仕事でも、生活でも、もっともっと心の鏡に映して物事を見てみようっと。
ぱっと目に見えるものの陰に隠れたきらめきを、発見できるように。